ふしぎな鈴


   ふしぎな鈴9


一つは、桜の花びらで囲まれた中
に、小さな鈴が入っていました。
「リーン・リーン・リーン」
鈴虫が鳴いているような、すんだ
音色の鈴でした。
姫はこの鈴がお気に入りで、なく
なるまで大切にしていました。 



もう一つの鈴は、桃の実の形をし
ていて、中に入っている鈴も、少
し大きめです。



「リーン・リーン・コロンころん」
なんともいえない良い音がします。
和紙でできていて、あどけないこ
どもの顔がかいてありました。



姫が十才になった春のある日。
姫は庭へでて、満開の桜をじっと
ながめていました。


           つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100617#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100610#p1



「ふしぎな鈴」は、みほようこ
三冊目の童話。
2005年9月、「鳥影社」から
発行されました。









リーン・リーン・リーン。…
五百年の時をへて、心やさしい小
桜姫と現代の少女をむすぶ、美し
い鈴の音が聞こえる。
信州諏訪の「風の神様」が、そっ
と教えてくれたお話。



http://www.bk1.jp/product/02593627