大菩薩嶺(丹波−大菩薩嶺−塩山)2013.07.13〜14 第3話

12:08、藤タワに到着した僕は、ゲリラ豪雨の中で地図を広げていた。
次から次へと地図に降り注ぎ、軽快なリズムを奏でていた雨音は、
テンポが早すぎてもうすっかり何がなんだか分からない。
辺りは一面、灰色の世界。激しく降り注ぐ雨にすっかり心が折れていた。



びしょ濡れになった地図の雨粒を払い、現在地を確認する。
藤タワからは、4本の道が伸びていた。
そのひとつを選び、指でたどって行く・・・そう、これが大菩薩へと続くルートだ。
今度は別のひとつを指でたどって行く・・・あれ、1時間で下山できますけど!
・・・あれ、こっちの道も1時間半で下山できますけど!



「それでも・・・行くしかないのだ!」
僕は力強く立ち上がった。レインウェアをザックから取り出す。
激しい雨の中、僕は強い決意とともにレインウェアに袖を通した。
そう、僕は進むのだ。



フードをかぶり、ジャケットの止水ジッパーを首まで上げた。
レインカバーを付けたザックを背負い、ストックを握りしめる。
準備万端。さあ、行こう!



しかし、それと同時に、僕は気付いてもいた。
しばらくは歩いてみたものの、ついには立ち止まり、叫んでしまうのだった・・・。



「出たーッ! レインウェア着込んだら雨がやむパターン!
 そうそれはまさにコンビニまでビニール傘買いに行ったら雨止むパターンと同じパターン!」



雨はすっかり小降りになっていた・・・。



つづく


イシカワケイ next live!
2013/09/17 (火) 新宿・御苑サウンド
2013/09/24 (火) 新宿・御苑サウンド

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