雨の季節
乾いた大地に、一粒雨粒が落ちる。
雨粒が落ちたところは砂土の色が濃くなる。
また一つ落ち、また一つ。
ぽつ、ぽつ、ぽっ、ぽっ、ぽっぽぽぽぽ。。。。。
そうして雨粒は大地を濃い茶色に塗り替えていく。
雨が大地をぬらして数日立つと、今度は大地が緑に変わる。
何回かそれを繰り返すうちに、すっかり大地は若い緑で覆われ、生気で満ちている。
南アでは12月から3月くらいまでが雨季ということになっている。
雨季と言ってもずっと雨が続くわけではなく、晴れの日の方が寧ろ多い。
僕が南アに来たときは大地は枯れた草で覆われ、生気は眠りについていた。
しかし今は違う。
人が歩かぬ場所はすっかり緑に変わっている。
人の歩く「道」のみが薄茶を呈している。
草が目覚めると、虫も目覚める。
虫が目覚めると、鳥も目覚める。
キャンパスのトウモロコシ畑や、草むらに最近大勢のツバメが飛び交っている。
凄い勢いで低空飛行しながら、草丈の世界に飛び交う虫を捕らえる。
低空飛行するため、僕の目にはツバメの背がちらちらと見える。
その碧さ。
日本のツバメより少し小柄ながら、俊敏に飛びながらツバメらしい碧さを翻す。
あまりに早いので一瞬しか見えないのだが、それがまた見てる者に、もっと見たいという思いを引き起こす。
ツバメの動きに合わせて首を振り目を動かし、その動きと色を捕らえる。
雨を孕んでどんよりとした雲の下だから一層その碧さが際立つ。
そうそう、今日パセリからいい言葉を教えてもらった。
雨が降りそうな雲を「Pregnant cloud」と言うそうだ。
雲が子供を身籠って空に浮かんでいる姿を想像すると、ついついほんのり温かくなるじゃないか。
憂鬱な雨雲もそんな風に表現されると、見ていて嫌じゃなくなる。