シャマラン最新作!

パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)

パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)

鬼才映画監督、M・ナイト・シャマラン(笑わないで下さい)。『シックスセンス』で爆発的に売れ、『アンブレイカブル』『サイン』『ビレッジ』くらいまでは評判が良かった。

スリリングな展開と衝撃的なラスト。

が、行き過ぎたシャマラニズムの『レディ・イン・ザ・ウォーター』で迷走しはじめ、『ハプニング』はまあまあ佳作だけど『エアベンダー』ではファンをもがっかりさせ、最新作『アフター・アース』はウィル・スミス親子にラジー賞をもたらした。

そんなシャマランを僕は偏愛しているわけだけども、彼の最新作は、2014年アメリカで放送されるテレビドラマシリーズ『Wayward Pines』だ。

その原作小説が日本で出版されたのでさっそく読んだ。『パインズ−美しい地獄−』。

シークレットサービスの捜査官が、ケガを負った状態で目覚めると、そこは見知らぬ町『パインズ』だった。なぜ彼はケガをしているのか、なぜこの町にいるのか、なぜ住人たちは彼に非協力的なのか。

この町の秘密がわかるラストは、たしかに驚愕というか何というか。謎に満ちたオープニング、緊張感のある中盤、怒濤の展開の終盤など、まさにシャマラン向け原作と言っていい。

だけど……

このラストのどんでん返しを映像化して放送したら……きっと怒る人はいるんだろうなあ。がっかりする人も。

特にそれがシャマラン作品となると……正確にはシャマランが監督するのは1話目であとはプロデューサーとして関わるだけなんだけど……

またシャマランがやらかした! みたいにならないことを願うばかり。

主人公が、町で知り合いを見つけると、なぜか自分よりもずっと歳を取っている謎とか、途中挿入される主人公の妻と子のエピソードの意味とか、それらが、この町の真相とすべてリンクしてラストに明かされる展開とかは、かなり面白く読めたので、奇抜なバカドラマにならずに、シャマラン再評価に繋がる出来になることを願うばかり。