言い訳じみたことを書いていたら無駄に長くなってしまった、の巻

理想の彼女のつくりかたをよみました。
この作品は、同日発売の官能小説を書く云々ってやつと似た系統だと思われます。
すなわち、おもにエロゲにおいて成功した手法をラノベに輸入してみた、的なコンセプトが
最初においてあるものと思われます。
同様の作品は過去にも多数前例があります。
近年でいえば俺妹、迷い猫、さくら荘などが該当作と言えるでしょうか。
 
エロゲにおいてキャラゲーキャラゲーたり得ている理由として
Hシーンの存在は無視できないと思うのですが、
ラノベにおいてはそういうものは無いので何かで代替するしかないわけです。
ひとつの解決策としては、Key作品などのような、Hシーンなんてなくてもいいと
言われるようなエロゲを借り物してくる方法ですが、
これは残念ながら似たような作品がすでにラノベにもある可能性があるのと、
エロゲの中でも最高レベルのものをそんな簡単に書けたら苦労しないという理由から
容易ではないことが想像できます。
じゃあどうするか、というと、Hシーンのかわりとなるような「山場」シーンをちゃんと
用意してやればよいわけです。
 
今回上で上げた二作品、理想の〜と官能〜に関しては、どちらも足りてなかったのが問題の
根幹にあるのは間違いありません。
特に後者。
官能小説を書くヒロイン、なんて、まぁエロゲの題材以外のなにものでもないわけです。
しかしながら当然予想される「エロゲでやれば?」という批判に答えるだけのものが全くなかった。
エロゲっぽい舞台から、エロゲっぽいイベントを引っ張ってきて、でも本番は無い。
今時エロゲの体験版でももっとましなものを用意してきます。
 
それに対して理想の〜のほうはといえば、こちらははっきりと「惜しい」と言えます。
改善すべき点が明白だからです。
地の文のハイテンションギャグに関しては、ラノベの伝統とも近年のエロゲのなぞりとも
いかようにも取れますが、ギャグのあうあわないは体質なのでいかんともしがたいとすれば、
一部合う層に向けて発信してると開き直れば問題はありません。
下手に歩み寄ろうとする必要はないでしょう。
すくなくともぼくは大笑いしながら読んでました。それで十分です。
つまり、この時点で商品として最低限のラインを越えているのです。
ギャグ部分以外の地の文も、必要に応じて適度にメランコリックになり、
会話文主体の場面への切り替えもうまい。キャラも立ってる。
ここまでは何も問題はありません。
 
問題もあります。ひとつに、まず、キャラが多い。
不必要なキャラを削ることで、もっとすっきりと物語の筋が浮かび上がり、
同時に特定のヒロインに対する書き込みが増えて感情移入もしやすくなるのです。
たしかに出てくるヒロインはみな個性的で魅力がありました。
その部分の力量は見事です。
が、あんまり一気にだされても頭が混乱するだけです。
また、それに関連して、長い。いくらなんでも飽きます。
これはもっと、半分くらいの分量で書く作品ではないでしょうか。
 
また、オチが弱いというのもあります。
ラストの、お涙ちょうだい風イベントに関しては、お涙をもらえるかどうかはひとえに
キャラの書き込みにかかっているわけですが、ギャグイベントの割合が多すぎるせいで、
肝心の回想シーンの書き込みが甘い。だからおいてきぼり感を喰らうわけです。
回想シーンはこれでいいので、それ以外の日常イベントを大幅に削れば、
メリハリの利いた物語に仕上がったのに、と残念に思います。
 
キャラを描くのがうまい。文章もうまい。ギャグも問題ない。
長いのとオチが弱いのを改善すれば、これは良作になれたと思います。
 
ただ、二巻がおなじくらい分厚かったら切るだろうなぁ……

シュガーアップル

読みました。
 
ひさしぶりに少女ものの王道、しかも非常に完成度の高い王道を見せつけられました。
王道を読むなら、ぼくはやっぱり少女もののほうが好きのようです。
ヒロインがいて、王子様がいて、恋路には障害があって、悪役がいて、そして最後には結ばれる。
たったこれだけなんだけど、それがとてもおもしろい。
 
ヒロインがなぜ旅に出ないといけないのか、なぜ王子様と出会わなければいけなかったのか、
そして二人は、どうして心を通わせることができたのか。
そのあたりの動機付けがわかりやすくて、共感できる。
だからヒロインと一緒になって、怒り、泣き、喜ぶことができる。
 
ひとつもったいないとすれば、終盤の盛り上がりの欠如でしょうか。
この作品で一番美しかったシーンといえば、たぶん妖精が生まれるシーンだと思うのですが、
あのシーンと同等程度の美しいシーンが、終盤に一つあったら、
もっと映像的にもりあがった気がします。
 
ともあれ、おもしろかった。
またなにか少女ものが読みたくなってきました。

なにかと話題の

俺と彼女と魔王と勇者と生徒会長がタイトルに入ってる例の作品を読みました。
 
話題になるだけあって、おもしろい。
少々ギアスっぽさが目に付くかんじはありますが、世界観がギアスとは全然違うので
そのへんはそれほど気にならない。
こぎれいにまとまった、良質のギャグ小説。
これ、二巻出ないとかだったらいやだなぁ。