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[東野圭吾] 手紙


手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。


丸善でこれでもかっ、と山積みされていたので、買ってみました。感動ものやとは、帯からしてもわかったけど、予想を超える展開でよかったです。強盗殺人を犯してしまい服役した兄とその弟夫婦、また被害者のそれぞれ過酷な人生を描いてます。ジョンレノン“イマジン”の歌詞にある「差別や偏見のない世界」と対比させ、「そんなものは想像の産物でしかない。人間とはそういうものと付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」と現実を説いてます。それどころか「差別は必要」とまで言い切っています。「犯罪者は自分が刑務所に入れば済むという問題ではない、自分の家族や被害者の家族が一生受け続ける苦難もひっくるめて、犯した罪の刑なのだ」

う〜ん、重たい内容です。映画版も見たけど、最後のシーン、絶縁した兄の刑務所で慰問公演する弟が、「バカな兄ですが、これからもずーっと兄です。バカな兄ですけど、ずーっと・・・」ラーラーラー、ララーラ♪(小田和正) で、号泣。社会勉強としても、読んでみる価値ありです。