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[今野敏] 果断―隠蔽捜査〈2〉


果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)

果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)

長男の不祥事により所轄へ左遷された竜崎伸也警視長は、着任早々、立てこもり事件に直面する。容疑者は拳銃を所持。事態の打開策をめぐり、現場に派遣されたSITとSATが対立する。異例ながら、彼は自ら指揮を執った。そして、この事案は解決したはずだったが―。警視庁第二方面大森署署長・竜崎の新たな闘いが始まる。山本周五郎賞・日本推理作家協会賞に輝く、本格警察小説。


隠蔽捜査の続編。キャリア官僚の竜崎は息子の不祥事で都内の警察署長に赴任した。本庁から下りてくる署長はお飾りで実務を仕切るのは副署長という慣例にも臆する事なく署の最高責任者として振る舞う。出世するにしたがい角が取れて丸くなりそうなものだが偉くなっても上にも下にも媚びず、正論、大義を吐く竜崎と周囲が折り合いをつけている様が心地よい。前編同様、読み応えのある警察小説。この続編が3部あるので必読である。

「納税は憲法で定められた国民の義務です。私たちは、集められた税金と国債などを合わせた歳入の中から予算を割り当てられて仕事をしています。あなたたちから直接お金をもらっているわけではありません。納税者のために働けというのなら、私たちは高額納税者により多くのサービスをしなければならなくなります」

「国家公務員が」すべきことは、現状に自分の判断を合わせることではない。現状を理想に近づけることだ。そのために、確固たる判断力が必要なのだ」

「自分が属する社会の約束事を守れない人間は、その社会に所属する資格はない。それがルールだ。警察官をはじめとする司法関係者は、このルールのために存在する」

「手強い犯罪に対する一番の武器は合理性だと、私は信じている」

「戦うために大義はいらない。ほんの小さなものでもいい。何か信じるものがあれば、そのために戦うのだ。守りたい何者かがいるなら、そのために戦えばいいのだ」

「小物に立場や権限を与えると、ああいうことになる」