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「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

2011年7月5日 番外:8月27日、舞台「ラジオスターレストラン―星の記憶―への道」

ysk2011-07-05

8月27日(土)、金沢で舞台「ラジオスターレストラン―星の記憶―への道」が上演されます。

ボクらは行く。宇宙のレストランへ。オペラの旅はこうして始まった。
2012年8月19日上演予定のオペラ「ラジオスターレストラン 星の記憶」へ向けたプレ公演。

オペラ制作の裏舞台を舞台化。原作・脚本の寮美千子が本人役で出演します。

金沢ジュニアオペラスクールの中間発表として、来年のオペラのための新曲もお披露目。寮美千子が作詞、谷川賢作さんの作曲で、すばらしい歌ができあがってきています。

日時:2011年8月27日(土) 13:30開場 14:00開演

場所:金沢市民芸術村 パフォーミングスクエア
   石川県金沢市大和町1−1 電話076−265−8300
(北鉄バス 武蔵ヶ辻バス停発・香林坊経由「西金沢4丁目」行き、大豆田バス停下車/
 片町交差点またはJR金沢駅よりタクシー5分、または徒歩15分)

料金:全席自由(定員220名)前売800円/当日1000円
   立見席(およそ30名)前売500円/当日700円
   ※未就学児入場不可

主催:公益財団法人金沢芸術創造財団 電話076−223−9898

共催:金沢市、金沢市教育委員会

助成:芸術文化振興基金

協力:金沢オペラクルージングクラブ

チケット取扱:
金沢芸術創造財団、茶房犀せい、石川県立音楽堂チケットボックス、香林坊大和プレイガイド、金沢市民芸術村、
チケットぴあ(Pコード142−075)、ローソン(Lコード53896)

音楽:谷川賢作

上演台本:村井幸子

演出:丹下一

出演:金沢ジュニアオペラスクール生、寮美千子、谷川賢作、丹下一、石川公美、水上絵梨奈、門田宇、清水史津、浦本真知子

2009年8月24日 『夢見る水の王国』日刊ゲンダイで紹介

  • 日刊ゲンダイで紹介されました。
     祖父が急逝したショックで記憶をなくしてしまった少女マミコ。
    気がつくと、時の止まった海岸にたたずみ、目の前には漂着した木馬と壊れた角。
    少女の体から分かれた影は分身「マコ」を名乗り、角を抱え、水平線のかなたに消えてしまう。
    角を取られた木馬は白馬となり、少女を乗せてマコの後を追う……。
     泉鏡花文学賞受賞の著者が描く耽美ファンタジー。
    日刊ゲンダイ「新刊あらかると」、2009年8月21日(20日発行)※書影あり
    ……というわけで、日刊ゲンダイ的には「耽美ファンタジー」となるようです。これはこれで納得の形容。

2009年8月20日 『夢見る水の王国』日経新聞に書評掲載

  • 書評といっても短いものですが、いちばん早い掲載でした。
     児童文学+ファンタジーのコンセプトで出発した〈銀のさじ〉叢書の1作。
    祖父と孫娘の水と石をめぐる迷宮的冒険を描く。
    ポリフォニックな語り方の工夫に目を見張った。
    小谷真理「目利きが選ぶ今週の3冊」(寮美千子『夢見る水の王国』書評、日本経済新聞、2009年6月17日夕刊)
    「目利きが選ぶ今週の3冊」というコーナー。他の二冊は『アーサー王ここに眠る』と『スパイダー・スター』。

2009年8月14日 『夢見る水の王国』公明新聞に書評掲載

  • 公明新聞の書評。
     村上龍の初期の傑作『コインロッカー・ベイビーズ』がハリウッドで映画化され、来年公開されるという。コインロッカーに捨てられた子供たちが成人してから、自分たちを捨てた母親を探して復讐するという話だったが、あれから三十年、育児放棄は社会に蔓延し、親殺しも今ではありふれた事件の一つにすぎない。『コインロッカー・ベイビーズ』が予感していたような社会が現実になってしまったのだ。
     寮美千子氏の泉鏡花賞受賞後第一作となる『夢見る水の王国』は、一見すると、『コインロッカー・ベイビーズ』の血腥い世界とは対極の繊細で美しいファンタジーのように見える。
     ヒロインのマミコは新進オペラ歌手で、故郷の海辺の町でデビュー・コンサートをおこなうためにもどってくる。町はずれには祖父、香月光介と少女時代をすごした別荘がそのまま残っており、郵便配達員は親子二代で親切にしてくれる。母の美沙は世界的な写真家で、誕生日には必ず外国からプレゼントを贈ってくれる。
     きれいなものずくめだが、ちょっと引いて見ると、親子二代の育児放棄という構図が見えてくる。祖父は若い頃は仕事中毒の会計士で、妻を亡くすと、幼かった美沙を全寮制の学校に預けてしまう。成人した美沙はコピーライターになるが、独身のままマミコを産み、育児放棄した父親に復讐するかのように、赤ん坊のマミコを押しつけ、自分は写真の仕事で海外を飛びまわる生活をはじめる。
     赤ん坊をコインロッカーに捨てるというようなひどいことをした親なら公然と憎めるが、きれいなものずくめの世界では憎しみは内攻せざるをえない。マミコは悪魔の童子マコ(魔子=真子)とミコに分裂し、何重にも入れ子になった幻想の世界をまたにかけた追跡劇がはじまる。甘口のファンタジーのようでも、この小説には現代の病理が埋めこまれているのである。
    加藤弘一「現代の病理が埋めこまれたファンタジー小説」(寮美千子『夢見る水の王国』書評、公明新聞、2009年8月10日)※書影あり
    ここに書いてある「きれいなものずくめの世界では憎しみは内攻せざるをえない」というのはまさにその通りで、そこらへんの困難をどう突破するかが、この世界におけるサバイバルの鍵だろう。本書はその道程を描いている。

2009年8月13日 『夢見る水の王国』産経新聞に書評掲載

  • 産経新聞の書評。
     新人オペラ歌手のマミコが海辺の小さな町を訪れます。少女時代、マミコは祖父さんと2人、ここにある別荘で暮らしていました。その縁で、新ホールのこけら落とし公演をすることになったのです。
     懐かしい別荘での一夜、マミコは不思議な夢を見ます。ひとりの少女が父王に捨てられ、泣き叫ぶ姿。彼女を守ろうとする謎の少年。いったい何? 翌日、コンサートは大成功しますが、そのことより気に掛かるのは、少女の記憶です。
     マミコの祖父は妻が亡くなった後、残された娘を育てる自信がなく、全寮制の学校に任せてしまいました。今度はその娘が、まるで自分を育てなかった代わりに、孫娘を育てなさいとでも言うかのように、マミコを祖父に預けたのでした。そして祖父は昔、子育ての喜びを放棄したのが、なんと愚かだったかを知ります。一見幸せそうに暮らす祖父と孫娘。しかし……。
     ここから物語はマミコをファンタジー空間へと連れて行きます。記憶を失ったまま彼女はミコとなり、彼女から分離したマコ(魔子)を追う旅が始まるのです。なぜ、マミコはミコとマコに分離してしまったのか? マコは何を探しているのか? ここは本当に別世界なのか? 失われた記憶と、この世界の関係は?
     謎は謎を生み、どんどん膨らんでいきます。導いてくれる魔法使いも、助けてくれる騎士も出てきません。読者はミコと一緒に、時にはマコと一緒に、この旅を続けていくしかないのです。
     謎解きがつまらなくなりますからヒントは「愛の記憶」とだけ言っておきましょう。
     様々な神話・伝説・昔話の断片や、想像力によって生まれた鮮やかなイメージが、これでもかこれでもかと押し寄せてきます。決して読者に親切な物語ではありませんので、転覆しないための舵(かじ)取りには、多少の腕が必要でしょう。ですから、シンプルな冒険ファンタジーを好みの人は手を出さない方がいいです。
     でももうすぐ夏休み。
     この急流を乗り切って、河口までたどり着けるか、挑戦してみる?
    ひこ・田中「謎が謎を生むファンタジー」(寮美千子『夢見る水の王国』書評、産経新聞、2009年6月28日)※カラー書影あり
    なるほど、ひこ氏らしく、家族像にフォーカスした読み方。
    それにしても「シンプルな冒険ファンタジーを好みの人は手を出さない方がいい」というほど難しくないと思うんだけどなあ。

2009年6月18日 イベント:6月26・27・28・30日『夢見る水の王国』発売記念朗読会

  • 寮美千子『夢見る水の王国』発売記念朗読会が、各地で開催されます。お近くの会場へぜひお越しください。
  • 6月26日(金)大阪・中崎町
    日時:6月26日(金)18:30開場 19:00〜
    場所:珈琲舎 書肆アラビク(地下鉄谷町線「中崎町」駅より徒歩3分/梅田方面より徒歩も可能)
       大阪市北区中崎3−2−14
       電話 06−7500−5519
    料金:入場無料・ワンドリンク必須
    主催:珈琲舎 書肆アラビク メール cake@qa3.so-net.ne.jp
  • 6月27日(土)金沢
    日時:6月27日(土)18:00〜20:00
    場所:金沢文芸館
       金沢市尾張町1−7−10
       電話076−263−2444
    料金:百円(お茶・お菓子つき 特製絵はがきプレゼント)
    主催:金沢文芸館
    後援:北國新聞社
  • 6月28日(日)相模大野
    日時:6月28日(日)16:00〜18:00 終了後二次会あり
    場所:ピアノバー アルマ・オン・ミュージック(小田急線「相模大野」駅より徒歩5分/ロビーシティ前交差点より座間方面へ50m)
       相模原市相模大野5−27−18 篠原ビル4F
       電話042−746−3737
    料金:千円(お茶つき)
    申込:予約メールをmail@ryomichico.netへ
    主催:アルマ・オン・ミュージック
  • 6月30日(火)銀座
    日時:6月30日(火)19:00〜
    場所:K's Gallery(「銀座一丁目」駅より徒歩3分/「京橋」駅より徒歩5分/「有楽町」「銀座」駅より徒歩6分)
       東京都中央区銀座1−5−1 第三太陽ビル6F
       電話 03−5159−0809
    料金:無料(ワイン・つまみの差し入れ歓迎)
    主催:K's Gallery メール kgallery@eagle.ocn.ne.jp

2009年6月12日 『夢見る水の王国』発売中!/6月27日、金沢で朗読会

ysk2009-06-12
  • 寮美千子の新作長編ファンタジー『夢見る水の王国』、角川書店より上下2巻で刊行されました。絶賛発売中。
    読み進めるにつれて読者の世界観が一変してしまう――そんな力を秘めた物語こそ、本物のファンタジーなのだと私は思う。澄明な驚きと旅への憧れに満ちた『夢見る水の王国』は、その最新にして最深の実例に他ならない。(東雅夫)
    いつの間にか「剣と魔法の物語」になってしまった「ファンタジー」は、もともと幻想小説をさす言葉だった。この作品は、最近、妙に薄っぺらくなってしまったファンタジーを、もともとあった場所に力強く引き戻してくれた。ゆるやかに広がり、きりきりと胸に迫ってくる、寮美千子の最新作。ファンタジーが美しい牙をむいてこちらをにらんだような気がした。(金原瑞人
  • イベントあります。
    ファンタジーの力――「夢見る水の王国」出版記念・朗読&トーク
    日時:6月27日(土) 18:00〜20:00
    場所:金沢文芸館(金沢市尾張町1-7-10 電話 076-263-2444)
    料金:100円(お茶・お菓子つき 特製絵はがきプレゼント)
    主催:金沢文芸館

    第33回泉鏡花文学賞受賞作家・寮美千子氏の、受賞後はじめての長編小説「夢見る水の王国」。地元誌「アクタス」に2年3カ月連載されたこの作品が、単行本になりました。金沢から生まれた新しい作品を記念して、作家自身による朗読とトークの会を開きます。作家と語る茶話会もご用意しておりますので、気軽におこしください。
    みなさま、ぜひお誘い合わせの上お越しください。

2009年5月11日 イベント:6月6日、寮美千子新作『夢見る水の王国』発売記念朗読

ysk2009-05-11
  • 5月28日、寮美千子の新作長編ファンタジー小説『夢見る水の王国』の単行本が発売になります。それを記念して、6月6日に、著者による朗読が行われます。会場は奈良ホテル近くの「大乗院庭園文化館」。すばらしいロケーションの、すてきな施設です。6月6日・7日に開催のイベント「ならまち大人の文化祭」の文芸特集の一つ。
    http://narapress.jp/
    日時:6月6日(土) 14:00〜14:30
    場所:大乗院庭園文化館(奈良ホテルから南に100m)
       奈良市高畑町1083-1 電話 0742-24-0808
    料金:入場・参加とも無料
    主催:ならまち通信社

    「泉鏡花文学賞」受賞後初の長編小説、角川書店より上下巻で5月28日発売。作家自身による自作朗読。
    なお、当日、会場での本の販売はありません。サインご希望の方はそれまでに入手してお持ちください。

    この日はこの朗読のほかにも、奈良の文芸に関するさまざまな催しがあります。「うた 万葉ジャズ演奏」「童話と詩で心を拓く・奈良少年刑務所の先進的矯正教育」「詩の朗読」「ポエトリー・リーディング・オープンマイク」「亜子米の詩のワークショップ」。
    翌日の「奈良の文化特集」も面白い講演ばかりなので、ぜひご参加ください。
    「ならまち大人の文化祭」のプログラム詳細は「ならまち通信社」のサイトに掲載しています。

2008年11月24日 イベント:11月29日、寮美千子の朗読&トーク@金沢ふるさと偉人館

ysk2008-11-24
  • 「夢見る水の王国」連載完結を記念して、金沢ふるさと偉人館で【上出慎也「イラストの仕事」展】が開催されます。初日の11月29日は、午後4時からオープニングパーティーがあり、その場で作家と画家のトーク、そして朗読が行われます。
    http://ryomichico.net/bbs/planets0014.html#planets20081119202352
    日時:11月29日(土) 9:30開場 16:00〜18:00
    場所:金沢ふるさと偉人館(金沢21世紀美術館から南へ100m)
       金沢市下本多町6-18-4 電話 076-220-2474
    料金:300円(65歳以上200円、高校生以下無料)
    主催:「イラストの仕事」展実行委員会 後援:北國新聞社 協賛:金沢ふるさと偉人館

    2006年9月から『月刊北國アクタス』で連載されていた長編ファンタジー「夢見る水の王国」(寮美千子/作、上出慎也/挿絵)が、11月20日発売号でいよいよ最終回となりました。2年3箇月にわたり、全27回、1350枚の大作です。
    連載完結を記念して、11月29日(土)から12月21日(日)まで、金沢ふるさと偉人館で【上出慎也「イラストの仕事」展】が開催されます。⇒チラシ画像
    その初日に、画家と作家のトークイベント&オープニングパーティがあります。作家本人による「夢見る水の王国」のリーディング・パフォーマンスも。
    みなさま、万障お繰合せの上、ぜひご来場ください。

    ※「夢見る水の王国」は、来年、角川書店より刊行の予定です。

2008年11月20日 「夢見る水の王国」連載第27回(完結)/月刊北國アクタス12月号

ysk2008-11-20

何ひとつ失われるものはない。
すべては蔵されている。
大地の底の底、水の図書館に。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第二十七回。ついに最終回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。マコは木馬の角を奪い、すべてを捨てるため世界の果てを探しに行く。ミコはマコを追い木馬とともに伝説の島へ。島では月の神殿が少女を世界を滅ぼす「魔の童子」として手配していた。神官マニの手引きで、月の神殿に潜入したマコは、夢殿で大長老から斬りかかられ、角で刺してしまう。井戸から川へと逃れたマコは、角を抱いて水に流され続ける。透明になる力を得たミコはマコの後を追って月の神殿の町に潜入し事件を知る。その頃、島のあちこちで異変が……。
少女ミコと木馬は月の神殿へ。そこでマニから事の顛末を聞かされ、ミコは一人でマコを追って“世界の果て”へ向かうことに。月が南中するまでに追いつくことができなければ、大変なことが起きてしまう。それまでに追いつき、角を取り返せるだろうか?

「月刊北國アクタス」12月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵2点入り。

小見出しは「十三夜の月の子守歌/怒号/柩の船/三角州/祈り/十四夜の月の子守歌/世界の果て/音のない泉/満潮/人々/南中/津波/回帰/銀の翼/蛍卵/故郷/日蝕/散骨/出発」。

⇒購入する(7&Y)

単行本は来年、角川書店より発売予定。

2008年1月20日 「夢見る水の王国」連載第17回/月刊北國アクタス2月号

ysk2008-01-20

夢のなかの夢は、メビウスの輪。
光の物語と闇の物語をつなぐ。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十七回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。マコは一角獣の角を奪って「世界の果て」へと逃走。ミコと一角獣はマコを追って幻の島へと渡る。島では少女は「魔の童子」として月の神殿から手配されていた。ミコは村長の葬列に加わり「世界の果ての黄泉帰りの森」へ行くが、追っ手が迫り、あやかしの棲む夢魔の森に逃げこむ。一方、砂漠で遭難しかけたマコは、死んだ猫の化身である黒豹ヌバタマに助けられ、地下水路を進む。しかし、そこにも神殿の魔の手が迫る。鉄砲水が押し寄せ黒豹は流されてしまう。
地下水路で黒い水に押し流された黒豹のヌバタマは、間もなく水場から地上に脱出する。廃屋の井戸から逃れた少女マコは、廃墟のオアシスでヌバタマを捜す。月の神殿では、大長老の怪我と見えたものは「あやかし」とわかったが、異教徒の血を引く下っ端神官マニは、大長老は実際には怪我を負っているのではないかと疑う。
マコとヌバタマは夜を待って地上を進み、森の村へ。前日にミコと接した橋守りの老人から食べ物と情報を得る。一方、ミコと木馬は月の神殿の追手から身を隠しながら森の奥へと入り込んでいたところ、突然現れた「鴉頭」に鞄を奪われる。

「月刊北國アクタス」2月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。

小見出しは「廃墟の町/有翼の天使/白と黒/笑う月/不吉な痕跡/砂漠の宝珠/異教徒の血/暗黒星雲/蜃気楼の森/本物の偽物/鴉頭」。

⇒購入する(7&Y)

2008年1月17日 番外:「父は空 母は大地」著作権侵害訴訟が決着!

ysk2008-01-17

【裁判上の和解】民事事件において、裁判所の面前でなされる和解。(略)
調書に記載されると確定判決と同一の効力が生ずる。
   ――広辞苑第五版より
原告もびっくりのスピード決着。
前回までのあらすじ 『父は空 母は大地』の編訳者・寮美千子は、弁護士を通じて送った警告書を完全無視した岩井國臣前議員に対し、当該文章の使用停止と賠償金の支払い、謝罪などを求めて東京地裁に提訴した。訴訟代理人は著作権問題のプロ、福井健策弁護士。法律的には勝訴は間違いない見込みだが、しかし相手は警告書を無視してくるような人物だ。どんな展開になるかは予断を許さない。

  • 9月18日に提訴して、11月6日が初公判。12月11日に第1回の「弁論準備」といって資料整理のための打合せみたいなことがあって、そのとき裁判長から和解勧告。翌週の20日の第2回弁論準備で和解成立。訴訟提起から3ヶ月で急転直下の決着となった。1年ぐらいはかかるものと覚悟していたのだが。
  • 今回の和解内容は、ほぼ最初の訴状の請求に沿った内容。事実上、原告の全面勝訴と言ってよい。
  • 和解(裁判上の和解)というのは、調書に書かれた内容に、確定判決と同じ効力がある。つまり、地裁判決だとお互い控訴する可能性があるが、和解だとそれがなく、和解の時点で裁判は完結する。また、判決では「謝罪する」といった項目は盛り込みにくいのだが、和解だとそうでもない。岩井氏のサイトには既に謝罪文が掲載されている(今後1年間継続)。
  • 岩井國臣氏は、第三者が無断で改変した「父は空 母は大地」の文章を、出典の確認をとらずに著書やサイトに載せたり、講演で使ったりして、こんな結果になった。友達が「自分が書いたものだ」と言ってくれた文章だからといって、出典の確認を怠ってはいけない。今やだいたいのところはちょっと検索するだけで見当がつけられる。当然あるべき手間を惜しむと、結局は損だ。
  • ところで、次の問題はその「第三者」だ。裁判所は、訴えの内容に入ってないことについては判断を示さないので、今回、その第三者に罪があるかどうかは言ってないが。さて、どうしたものか。
  • 実は、今回の裁判で名前が浮上した人物のほかにも、自分が訳したと称して寮美千子版の「父は空 母は大地」を講演などで使っている人がいるようなのだ。なんでちゃんと言わないで「自分が訳した」とか言っちゃうのかなあ。心の中に、どういう病理があるのかなあ。
  • 今回のプレスリリースはこちら(Cafe Lunatique)

2008年1月7日 イベント:1月19日、寮美千子の朗読&トーク@金沢文芸館

月刊北國アクタスを手に「夢見る水の王
  • 1月19日から「夢見る水の王国」の挿画原画展が金沢文芸館で開催されます。
    初日に、オープニング・イベントとして、著者によるリーディング・ライブと、画家さんとの対談が行われます。
    【上出慎也「夢見る水の王国」原画展/寮美千子朗読&トーク】
    http://www2.spacelan.ne.jp/~bungeikan/yumemirumizunosekai.html
    日時:1月19日(土)〜2月18日(月) 火曜休館 11:00〜18:00
    場所:金沢文芸館
      (JR金沢駅から北陸鉄道バス・JRバスで「尾張町」または「橋場町」徒歩3分/
      「城下町金沢周遊バス」「金沢ふらっとバス(此花ルート)」も利用可)
      金沢市尾張町1−7−10/電話 076−263−2444
    料金:文芸館入館料100円(高校生以下無料)
    主催:金沢文芸館/メール bungeikan@m2.spacelan.ne.jp

    オープニングイベント「夢見る水の世界」【寮美千子朗読会&画家と作家の対談】
    1月19日(土)18:30〜 予約不要

    というわけで、連載もいよいよ盛り上がっている「夢見る水の王国」の挿絵原画展です。初日は、連載第十七回の載った「アクタス」2月号の発売日。
    初日にはオープニングイベントもあります。お近くの方は万障お繰合せになって、遠くの方はこの機会に冬の(食べ物が最高においしい、21世紀美術館も兼六園もある)金沢へ、ぜひ足をお運びください。

    寮美千子サイト・イベント告知掲示板「遊星たちの消息」より

yskysk 2008/01/22 23:42 ▼北國新聞2008年1月20日
作家と画家が対談 アクタス連載「夢見る水の王国」原画展
寮さん 「小片が大きな絵に」
上出さん「絵を通し背景描く」

 月刊北國アクタスに連載中の小説「夢見る水の王国」の原画展(本社後援)は十九日、金沢市の金沢文芸館で始まり、オープニングイベントとして作者の泉鏡花文学賞受賞作家、寮美千子さんと挿絵担当の画家、上出慎也さんが創作の手法などを語り合った。
 イベントは自作朗読で始まり、寮さんが小説の数章を感情豊かに読み上げた。続く対談で寮さんは自作について「時空を超えた様々なピース(小片)を集めると大きな絵になっていく」と語った。
 上出さんは「挿絵は文章との共同制作である反面、自身の表現でもある。絵を通して自分の考える背景が見えるものを描きたい」と意欲を示した。参加者は一つの作品を作り上げていく作家と画家の興味深いやりとりに聴き入った。
 原画展では、小説の登場人物や風景など多彩なタッチで描かれた約四十点(期間中入れ替えあり)が展示される。二月十八日まで。
(カラー写真あり)

yskysk 2008/01/23 00:40 当日の朗読原稿はこちら。
■「夢見る水の王国」原画展 朗読原稿2008(Review Lunatique)
http://ryomichico.net/bbs/review0010.html#review20080121183837

2007年12月20日 「夢見る水の王国」連載第16回/月刊北國アクタス1月号

ysk2007-12-20

空の底にひしめく真昼の星のように、
魂たちは、地の底で輝いている。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十六回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。荒ぶる魂のマコは一角獣の角を奪って「世界の果て」へと逃走。ミコと一角獣はマコを追って幻の島へ。島の神殿では占いにより少女を「禍いの童子」として手配していた。砂漠に迷いこんだマコは、黒猫ヌバタマの化身に助けられる。ミコは砂漠を渡って村長の葬列に参加、女装の男・極楽鳥とともに「世界の果ての黄泉帰りの森」へ向かう。島の神話では、神殿の長老と老鉱夫は双子の兄弟、村長はその兄で、世界のはじめから存在しているという。島の正体は?
もうひとりの少女マコは黒豹のヌバタマとともに過酷な砂漠を横断しようとしている。地上を避けて地下水路を進行していると、突然水中から出現した黒い影に襲われる。
少女ミコは村長の野辺送りの葬列とともに「世界の果ての森」へと向かう。同じく葬列に同行する「極楽鳥」という人物にさまざまな話を聞く。かくも複雑な、心のかたち、人のかたち。ふたりで遺灰を撒くうち、馬に乗った「月の神殿」の追手たちに発見されてしまう。
一方、ヌバタマのおかげで黒い影の襲撃を逃れた地下水路のマコを、今度は猛烈な鉄砲水が襲った。

「月刊北國アクタス」1月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。

小見出しは「真昼の星/幻の森/夢殿/黒い手/地の虹/瀝青/散華輪廻/子鹿/散骨/鼓動/出発/お守り/水呼び/濁流」。

⇒購入する(7&Y)

「イベントスケジュール」のページに上出慎也「夢見る水の王国」原画展(1月19日〜2月18日、金沢文芸館)の案内あり。

2007年11月20日 「夢見る水の王国」連載第15回/月刊北國アクタス12月号

ysk2007-11-20

黄泉よみ帰りの森は、世界の果ての森。
世界はそこで終わり、そこから始まる。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十五回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。荒ぶる魂のマコは「世界の果て」へと逃走。ミコと馬はマコを追って幻の島へ。島の神殿では、占いにより、少女を「わざわいの童子」として手配していた。行く先々で問題を起こすマコは、とうとう砂漠に迷いこみ、死んだはずの黒猫ヌバタマの化身に助けられる。一方、一足遅れて島へとたどりついたマコは、砂漠の舟人の息子カイの手助けで砂漠を渡り、村へとたどりつく。村では、葬列が「世界の果てにある黄泉帰りの森」へと野辺送りに出発するところだった。
森の村の風俗。“世界の果て”をめざして進む葬列の鮮やかな色と動き、音色とリズム。少女ミコも賑やかな列にまぎれて歩いていく。やがて柩は一角獣の飾り物とともに激しい炎に包まれ、天へと還る。突然亡くなったという村長は、誰も知らないほど長生きだったらしい。その人物像と重なる島の神話が語られる。島の神話では、大長老と老鉱夫は双子の兄弟。村長はその兄ということになっていた。
一方、誰も知らないほど長く生きている月の神殿の大長老は、ミコの居場所を察知し、すぐさま追手を放つ。誰も知らないほど長く生きている雲母掘りの老鉱夫は、坑道に異変を感じている。
もうひとりの少女マコは、黒豹の姿で現れたヌバタマとともに砂漠で絶体絶命の危機に瀕していたところ、なんとか活路を見出す。
ミコを村へ送ってきた砂漠の舟人の少年は、ミコに再会を誓い、別れを告げる。ミコには、しなければならないことがあるのだ。

「月刊北國アクタス」12月号に掲載。オールカラー16ページ、挿絵5点入り。

小見出しは「葬列/潮騒/魂の乗り物/神話/変調/饗宴/魔の珠/二連星/風紋/約束/地下水路/聖なる灰/追手」。

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2007年11月7日 『人間を守る読書』で紹介

  • 『楽園の鳥』が、『人間を守る読書』(四方田犬彦、文春新書592、2007年9月刊)で紹介されています。第4章「読むことのアニマのための100冊」中の一冊。
    魂の救済を求めタイからネパールへと彷徨ってゆく女性の物語。彼女はイギリス男に躓き、骨董もののバイクを持ち出そうとして失敗し、暑さと貧困のなかでしだいに変身の欲求に促されていきます。「美しかりし夢の世」の破綻を描いてきた作者は、ここで始めて*1現実の汚穢をかい潜り、魂の浄化に到達することを知りました。
    『人間を守る読書』275頁
    ……四方田氏は『楽園の鳥』の帯の推薦文を書いた人でもあります。
  • 『人間を守る読書』には、古今東西の、いったい人はどこを歩いていればこれほど多様な書物と出会うことができるのだろうかと思うほど実にさまざまな本が紹介されています。帯によれば155冊。うち100冊は第4章の短評。第1章「生のもの」第2章「火を通したもの」第3章「発酵したもの」はそれぞれやや長い批評で構成されていますが、「生のもの」の一冊として、なんと『ノスタルギガンテス』(寮美千子、パロル舎、1993年)が4ページ超にわたって紹介されています*2
  • そもそもこの大仰なタイトルの付いた書評集はどんな性格の本なのか。書評をあちこち書いているうちに数が溜まってきたので、新書にまとめてみた? いやいや、そんなものじゃない。
     本を読まなくてもインターネットがあれば充分という人がよくいます。(……)仕事で調べものをするだけなら、それでいいかもしれません。でも書物は情報の束ではないのです。書物というのは何かを伝えようとする意志なのです。
    『人間を守る読書』「前書きにかえて」
    ……『人間を守る読書』は、四方田氏の書物に対する思い入れが伝わってくる“熱い”本。書評というより、本と読書を再定義しようとするアジテーションといったほうが近いかもしれない。橋本治が『浮上せよと活字は言う』(中央公論社、1994年)*3で「人は言葉でものを考える、だから活字は文化の中心なのだ」と宣言して、出版物の本来の力を発掘しようとしていたのを思い出しました。
     ――人間を豊かにする読書とは?
     読み直すに値する本をみつけるということに尽きるんではないでしょうか。読書というのは量の問題ではなくて質の問題なのです。
    (……)
    もちろんここに紹介した本はわたしが読みなおすに値すると思った本ばかりです。
    『人間を守る読書』「前書きにかえて」
    ……こういう観点から選ばれた百数十冊のうち、寮美千子作品が二冊。四方田氏の読書量と執筆量からいって、数合わせに入れられた書評ではないはず。ありがたい評価です。

*1:原文ママ

*2:初出は『幻想文学』58号(2000年)だが、改稿されている

*3:おお、『浮上せよと活字は言う』は平凡社ライブラリーに入っているのか。だったら『秘本世界生玉子』の方が凄いんだから、ぜひいっしょに入れてもらいたい

2007年11月1日 Amazon.co.jpのレビュー表示に新機能が

ysk2007-11-01
  • ここのところ、アマゾンの個別商品ページのデザインがちょくちょく変更されている。
    『楽園の鳥』のページでは、「それは違うでしょう」と言いたくなるレビューが最新で、長らくいちばん上に表示されていた。それが最近、「このレビューは参考になりましたか?」ボタンの投票結果が反映されて、評判のよいレビューがピックアップ表示されるようになっていた。
  • きょう見たら、また新機能が加わっていた。それはレビューの星の数を示した棒グラフ。
    現在の『楽園の鳥』のグラフは図の通り。星3つを付けた人が一人もいない。少ないサンプルながら、賛否両論というのが目に見えてわかります。面白い。
    ちなみに、ほかの寮美千子作品のレビューは軒並み星5つばかりで、グラフとしては面白みに欠ける。
  • ただいま連載進行中の作中作『夢見る水の王国』は、『楽園の鳥』に続き、またもや“誰も見たことのない作品”が出現しつつあります。一作だけだと「例外」だけど、二冊になれば、それはもはや「ジャンル」なのではないか。どんな名前をつけたらいいかはさっぱり見当がつきませんが。
    連載が完結して単行本が刊行されたらどんな形の反響があるか、いまから楽しみ。

2007年10月20日 「夢見る水の王国」連載第14回/月刊北國アクタス11月号

ysk2007-10-20

砂蛍すなほたるの寿命は丸一日。夕暮れに羽化し、朝まで光の舞を舞う。今宵こよい光る砂蛍は、昨日の砂蛍ではない。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十四回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。荒ぶる魂を持ったマコは、ミコから記憶を、一角獣から角を奪い「世界の果てへ捨てに行く」と逃走する。ミコと馬は、マコを追って幻の島へ。島の神殿では、占いにより、少女を「禍いの童子」として手配していた。行く先々で問題を起こすマコ。そのマコの足跡をたどるミコ。砂漠の舟人から小舟を奪ったマコは、本物の砂漠に迷いこみ、死んだはずの黒猫ヌバタマの化身に助けられる。ミコと馬は、一足遅れて、砂漠の舟人の船へとたどりつこうとしていた。
舟を奪って逃亡したマコに続いて砂漠の一族の少年の一家と接触した少女ミコは、日中の砂漠横断は不可能と諭され、農作業を手伝いながら夜を待つことに。
「わからないな。全然わからないよ。それに、もしそんなふうになっていたら、大変じゃないか。山が崩れたら、みんな水浸しだ」
「そうよ。その通りだわ」
砂漠の舟人の農業は、想像を絶する驚くべきものだった。しかしそれが彼らの日常風景なのだ。日の出から日没まで毎日毎日繰り返される、満ち足りた労働。
夜になって二人は、少年の操る舟で森の村へと向かう。着いた村では、今まさに盛大な葬儀が行われようとしていた。葬列は“世界の果て”の森へ行くという。
一方、マコは、黒豹の姿で現れたヌバタマとともに、ほとんど不可能ではないかと思われる砂漠の横断に足を踏み入れてしまっていた。

「月刊北國アクタス」11月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。

小見出しは「漂着/種蒔き/青い珠/水撒き/青い火花/銀河/木馬の歌う子守唄/森の絵はがき/護符の瞳/祝祭の色/花の柩」。

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2007年9月20日 「夢見る水の王国」連載第13回/月刊北國アクタス10月号

ysk2007-09-20

満月の晩、月光がそこだけ強く集まる場所がある。そこには、月光を鋳込んだ瑠璃るり色の玻璃はりを蔵した塔が埋まっている。塔は時に幻の青い炎をあげ、砂漠の旅人を惑わす。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十三回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。ミコから記憶を、一角獣から角を奪ったマコは、「世界の果てへ捨てに行く」と海を渡る。ミコと馬は、マコを追って幻の島へ。島の月の神殿では、少女を「禍いの童子」として手配していた。追われる身となったミコは、命からがら町を抜けだし、渡し船で川を渡ろうとして流されてしまう。目の前には滝が迫っていた。一方マコは、砂漠から湧きだした水に溺れかけ「砂漠の舟人」の少年に助けられる。しかし、マコは少年を裏切り、小舟を奪って独り南へ向かう。
少女ミコは滝壺での凄まじい体験の後、木馬とともに砂漠に到達。夜になって驚くべき変化をみせる砂漠の姿を目撃する。もうひとりの少女マコは、ずいぶん苦労して砂漠を越えようとするが、肉体的にも心理的にも危険すぎる状況。そこへ、思わぬ懐かしい助けが現れる。

「月刊北國アクタス」10月号に掲載。オールカラー16ページ、挿絵3点入り。今月はさらに、愛読者プレゼント「著者手作り 魔子の第三の眼チョーカー」の告知あり。アクタス本誌に綴じ込みのハガキで応募。抽選で1名に。

小見出しは「透明な鱗/金の糸の網/木馬の歌う子守歌/鉈豆/失われた力/月の滴/砂の顔/月輪塔/回帰」。

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2007年9月18日 番外:「父は空 母は大地」の著作権侵害で岩井國臣前議員を民事提訴

ysk2007-09-18

美しい大地の思い出を
受けとったときのままの姿で
心に 刻みつけておいてほしい。
   ――「父は空 母は大地」より
ついに民事提訴。
前回までのあらすじ 百五十年前のアメリカ先住民首長のスピーチをもとにした『父は空 母は大地』は、エコロジー思想の神髄を伝える絵本。それが建設族の自民党参議院議員に無断で「開発こそ自然との共生」というような主張の補強に使われている。著作権侵害を指摘する内容証明を出したら「知りません」という、謝罪なしの返答。そこで弁護士を通じて今度は警告書を送ったら、完全無視。誠意の欠片も見られない対応だった。2007年8月1日「番外:寮美千子編訳『父は空 母は大地』が盗用されている」より要約)

  • 著作権保護期間延長問題でもお世話になっている福井健策弁護士に労を執っていただき、本日9月18日、東京地裁に訴状を提出。具体的な裁判の展開はまだ先だが、法的には鉄板なので、これでとりあえずの一区切り。
  • 刑事告発は、手間の割にリターンが不確実(起訴されるかどうかが不透明)なので見送ることに。民事提訴だけでも個人にとってはけっこうな大事業だ。
  • 岩井國臣前議員は現在、国土政策研究会の会長という、見方によっては参議院議員時代よりも強い地位に就いている。はっきりさせるところははっきりさせねばならない。
  • 今回の訴状は寮美千子サイトで既に公開中。経緯と資料もご参照ください。

yskysk 2007/09/19 21:27 ▼MSN毎日インタラクティブ(毎日新聞)
提訴:「編訳本を無断引用」と、前参院議員を
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070919ddm041040093000c.html
 作家の寮美千子さん(51)が18日、95年に翻訳・編集した絵本の文章を岩井国臣・前参院議員(69)が著書やホームページ、講演に無断で引用したとして、掲載の差し止めと75万円の賠償などを求めて東京地裁に提訴した。
 訴えによると、岩井氏は地域づくりのビジョンを掲げた著作(04年)の中で、土地を買収された米国先住民が1855年に大統領にあてた手紙として「私たちがどうしても立ち去らなければならないのだとしたら、この大地を大切にしてほしい」などと紹介し、「実に素晴らしい『贈与の思想』」と記した。これについて寮さんは、自著の絵本「父は空 母は大地」の文章を一部変えただけだけで、許可を与えていないと主張している。
毎日新聞 2007年9月19日 東京朝刊

▼ZAKZAK(夕刊フジ)
絵本の文章、無断で掲載…作家の寮美千子さんが提訴
http://www.zakzak.co.jp/gei/2007_09/g2007091907_all.html
 絵本の文章をホームページや本に無断で掲載されたとして、奈良市在住の作家、寮美千子さんが18日、岩井国臣・元参議院議員に、侵害行為の差し止めと75万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
 訴状によると、絵本は1995年に出版した「父は空 母は大地」で、先祖伝来の土地を追われることになった米先住民の首長が1854年に行ったとされる演説を寮さんが翻訳、再構成した。
 寮さん側は、岩井氏は2003年4月ごろから、ホームページに絵本と同題でほぼ同じ表現の文章を載せたほか、著書「劇場国家にっぽん」でも無断引用したと指摘、「いずれも著作権侵害行為に当たる」と主張している。
 提訴について岩井氏は「演説の翻訳は知人からもらった。演説の著作権は既になく、米国では一般に流布し、誰でも翻訳できる」と話している。
 寮さんは2005年、「楽園の鳥」で泉鏡花文学賞を受賞した。
ZAKZAK 2007/09/19

yskysk 2007/09/21 00:16 ▼北國新聞
元参院議員を提訴 著作侵害 アクタス連載の寮さん
 絵本の文章をホームページや本に無断で掲載されたとして、奈良市在住の作家寮美千子さんが十八日、岩井国臣・元参議院議員に、侵害行為の差し止めと七十五万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
 訴状によると、絵本は一九九五年に出版した「父は空 母は大地」で、先祖伝来の土地を追われることになった米先住民の首長が一八五四年に行ったとされる演説を寮さんが翻訳、再構成した。
 寮さん側は、岩井氏は二〇〇三年四月ごろから、ホームページに絵本と同題でほぼ同じ表現の文章を載せたほか、著書「劇場国家にっぽん」でも無断引用したと指摘、「いずれも著作権侵害行為に当たる」と主張している。
 提訴について岩井氏は「演説の翻訳は知人からもらった。演説の著作権は既になく、米国では一般に流布し、誰でも翻訳できる」と話している。
 寮さんは東京都出身。二〇〇五年、「楽園の鳥 カルカッタ幻想曲」で第三十三回泉鏡花文学賞に選ばれ、〇六年から月刊「北國アクタス」で小説「夢見る水の王国」を連載中。
北國新聞 2007年9月19日

yskysk 2007/09/22 10:54 ▼日刊ゲンダイ
パクリ疑惑で訴えられた 自民党元参院議員苦しい言い分 十数行も一字一句が同じ
 自民党の元参議院議員、岩井国臣氏(69)が著作権侵害で訴えられた。
 侵害行為の差し止めと75万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こしたのは、作家の寮美千子氏。19世紀に米先住民族の首長が行った演説を寮氏が翻訳、再構成した絵本「父は空 母は大地」の文章が、岩井氏のHPや著書「劇場国家にっぽん」に無断で引用されたという。
 以下の2つの文章を読み比べてもらいたい。前が寮氏、後が岩井氏の文章だ。
「すべてこの地上にあるものは わたしたちにとって神聖なもの」
〈すべてこの地上にあるものは 私達にとって神聖なもの〉
「だから白い人よ どうかあなたの兄弟にするように 川にやさしくしてほしい」
〈だから白い人よ どうかあなたの兄弟にするように 川に優しくして欲しい〉
 翻訳だから多少は似るだろうが、十数行にわたって一字一句が同じという“不自然”な個所もある。というか、そっくりそのままだ。
 寮氏は6月に文書で岩井氏に抗議したが、満足な回答を得られず、7月に再度、弁護士を通じて警告書を送付。岩井氏からは何の回答もなかったという。
 岩井氏の言い分はこうだ。
「翻訳は3、4年前に、知人からもらったもの。当時は絵本の存在を知らなかったし、今も読んでいません。すでに演説の著作権はないし、米国でも日本でも一般に流布している。それに誰でも翻訳できるでしょう」
 確かに演説そのものにもう著作権はないが、翻訳にはある。それがそっくりだから寮氏は訴えたわけだ。そもそも抗議されたときに確認すれば済む話なのに、それもしなかったという。
 建設官僚出身の岩井氏は、04年に国土交通副大臣を務めている。元国会議員が著作権に“鈍感”というのも、いかがなものか。まあ、国会答弁のように「知らぬ存ぜぬ」は通用しないだろう。
※カラー写真入り=「訴えられた岩井氏」顔写真、「父は空 母は大地」書影
日刊ゲンダイ 2007年9月22日(21日発行)

yskysk 2007/09/22 14:13 ▼東京新聞
岩井元議員を提訴 作家「絵本の文、無断転載」
 岩井国臣・元自民党参議院議員(六九)が自身のウェブサイトや著書に載せた文章は著作権侵害の無断転載に当たるとして、奈良市の作家寮美千子さん(五一)が十八日、約七十五万円の損害賠償と謝罪文の掲載などを求めた訴訟を東京地裁に起こした。
 訴えによると、岩井氏は二〇〇三年四月ごろからウェブサイトで、一八五四年に米先住民が大統領に宛てた文章を掲載、〇四年に出版した「劇場国家にっぽん わが国の姿のあるべきようは」にも載せた。この文章は、寮さんが一九九五年に編集・翻訳した絵本「父は空 母は大地」(パロル舎)のシアトル首長のスピーチのひらがな表記を漢字に入れ替えるなど、単純な改編を行った無断転載だとしている。
 岩井氏は「英文では広く一般に流布しているのだから著作権侵害にはあたらない」と話した。
 寮さんは「警告書などを送ったのに一切回答がなく、やむなく提訴した」とコメントした。寮さんは八六年に毎日童話新人賞を受賞してデビュー。米先住民やモンゴル民話、アイヌ民話の絵本などを制作し、一昨年に小説「楽園の鳥」で泉鏡花文学賞を受けている。
東京新聞 2007年9月19日

松永洋介 mtng_ysk@nifty.com
2004年5月27日開設