ライトノベルと新本格

新城カズマライトノベル「超」入門』(ISBN:4797333383)を半分まで読む。「『ライトノベル』という言葉を聞いたことがあるが、なんだかわからなくて気になっている方」に向けて書かれているだけあって、非常に読みやすい。
ところで1990年前後に登場し、年長世代からは「あんなものは小説ではない」とバッシングされた若者向けの娯楽小説としては、ライトノベルとならんで新本格派の推理小説が挙げられる。しかしこのふたつのジャンルは、あまり読者層がかぶっている印象がない。オレにしたところで、『「超」入門』で取り上げられている作品で既読なのは、『ブギーポップ』くらいである。これはおそらく前者が文庫で、後者が新書やハードカバーで出版されたという流通事情の違いがあるのだろう。文庫なら中学生や高校生でも手を出せるが、ハードカバーとなると大学生でなければ難しい。

猥雑なる江古田

オレの父親は江古田の街を苦手としていたようで、「こんなごみごみしたところでは、芸術的な感性は育たないのではないか」とぼやいていたことがあった。いや、こういうほどよく猥雑な街こそが「芸術」的なのだと反論しようとしたものの、すでに年老いたる父親と本気で論争する気にはなれず、この件は宙ぶらりんのままに放り出されることになった。洗練されたもの、清潔なもの、都会的なもの、秩序だったもの、19世紀的なものへの憧れがひと一倍強かった父親にとって、たしかに江古田は相容れない街だったのかもしれないが。