Martin-Lofの 理論とそのパラドックス

Martin-Lofの1971年の論文では、循環性 V\in Vがその中核を占めています。彼は、この条件があるので、彼の理論は圏論と非常に相性が良い(ご存知のように、圏論では、圏全体は圏をなし、その意味で強い循環性を持ちます)と主張しています。しかし、翌年に、Girardがこの中核部分のV\in V(もしくは現代の書き方では Type: type)からパラドックス(ブラリ-フォルティのパラドックスの一般化)が導けることを証明し、彼の夢は消えました。現在では、循環的部分を削除した、厳格な可述性に基づく依存型理論(おそらく整合的だろうと思われるもの)が、Martin-Lofの体系ということになっています。
さて、Girardパラドックスですが、文献は

そして、Girardパラドックスを簡略化したのが Hurkensのパラドックス です。

さて、本日C先生から教えていただいたのが、Type:Type を貫きながら、それに領域理論のモデルを与えた強者の話。Microsoft Cambridge Lab. のLuca Cardelli*1なんですが、問題の論文は ここにある以下の二本だそうです。

  • A polymorphic lambda-calculus with Type:Type
  • Phase distinctions in Type Theory

*1:id:havanaclub さんが「神」とブクマコメントしていて納得しました。