相棒のこと

ytoma2008-08-27

ぼくには音楽作りの大切な相棒がいます。その名は“エレピアン”君。人間ではありません。その昔、日本コロムビア(現在のコロムビアミュージックエンタテインメント株式会社)の楽器製造部門が作っていた“電気ピアノ”です。
電気ピアノ“エレピアン”とは、鉄製リード(振動板)をフェルトハンマーで叩く構造で、ピアノに似た機構を持っている。このため素直な優しい音色で繊細な表現ができ、調律も不要!フェンダーローズなどのいわゆる本物の”エレピ”が一世を風靡していた時代のもの。最近普及している“電子ピアノ”は電子的な発音のため別物>

ぼくが購入したのが1965年頃。当時住んでいたアパートの2階に置くには本物のピアノは重すぎる、ということでピアノのようでピアノではない小型のこの楽器を手に入れました。以来、作曲、編曲などはすべてこのエレピアン君に付き合ってもらっています。そんな彼に対し、ぼくがいつも恐れていることは・・壊れてしまったらどうしよう!・・ということです。ぼくの音楽は40数年、常に彼とともにあります。そして多分これからも一生付き合ってもらわないといけません。エレピアンの音色は他のどこにもないシンプルな優しさに満ちています。彼の前に座ると心が落ち着きます。それに対し、本物のピアノは(僕にとっては)パワーが強く、どうも音が大き過ぎ、元気良過ぎ。そして、近年すっかり定着した電子ピアノ(最近のエレピアンも)はピアノの構造を持たず、音もコピーしたものを使っているので(僕にとっては)ウソ楽器。というわけで、この当時のエレピアンがぼくの感性に一番近い楽器なのです。そこで何が一番問題なのか・・それはまだ真空管が幅を利かせていた時代だったころのものである。早い話しが真空管式なのである!ことなのです。そして彼とお付き合いして行くには、やっぱり秋葉原通い、となるわけです。秋葉原をウロウロすれば、まだ同じタマ(真空管)は何とか手に入りますが、何せ40数年、もはや電子部品や回路はボロボロ、接触不良のオンパレード。バリバリッ!と驚くほどでっかいノイズが出ることや、プツンといきなり音が途切れることはしょっちゅう・・彼には悪いけれど、時に足で思いっきり蹴っ飛ばしながらノイズや故障と戦っています。でも落ち着いた時にはまた安らぎも戻ってきます。ぼくの大切なパートナー・・彼に出会えて感謝!これからも大切(なるべく)にするから、ぼくに一生涯付き合って下さい!と祈るばかりです。
<左は本物のピアノ。右のエレピアンくん、僕に蹴られ続けて剥げちゃったところあり。ゴメンね!>


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