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コバヤシユウスケの教養帳

2009-07-13

「POSSE」第4号

『POSSE』第4号つづき: EU労働法政策雑記帳

告知(H21.7.7): 後藤和智の雑記帳

精神は貧困でかまいません(笑)|女子リベ 安原宏美--編集者のブログ

「POSSE」第4号 特集「格差論壇」の座標軸

座談会「ニート論壇」って言うな! −「セカイ系」化する論壇か、論客の「精神の貧困」か−

杉田俊介 × 増山麗奈 × 後藤和智

ものすごく気になってしまったので、取り寄せてしまいました。

とりあえず、どんな対談なのかは、上のリンク先を読んでみてください。一部引用して紹介されています。ここでは、いちいち内容を引用しての紹介はしません。たぶん、この不思議な空気は、全部読んでみないとよくわからないと思います。いや、読んでみてもよくわからないかもしれない。



最近気づいたのは、「ニート」「ロスジェネ」論壇に限らず、まあネットなんかでもそうなんですけど、身近な感覚、現場のリアリティみたいなものから、一挙にマクロな話に飛躍する言説をよく見かけるなあ...と。まあ、別に最近に限った話ではなくて、大衆的な言説って、昔から往々にしてそんなものかもしれません。


わかりやすい話を挙げると、シバキ「構造改革」論。日本経済の停滞は、日本の企業や労働者が規制等によって甘やかされてきたことが原因だ!ちょっとくらい苦しくても我慢して頑張らなくちゃいかん!もっともっと競争だ!!!みたいな言説。これ、実は経済学的には、かなりトンデモに近い言説で、経済学の主流派(主流派だけでなく、オールドケインジアン、ポストケインジアン等々含めてですね)の考え方では、日本の長期停滞の原因は、完全雇用(自然失業率)レベルからみて需要が不足している、というのが問題であることは、ほぼ間違いない話なんですね。にもかかわらず、このようなシバキ「構造改革」論を語るなんちゃってエコノミストがメディア等に溢れているのは、その言説が読者にもっとも受け入れられやすいからなんだと思うんです。頑張れば報われる。うまくいかないのはみんなの努力が足りないからだ。甘えているやつがいるからだ。みたいな感覚にフィットするんです。(あるいは、経済は戦争だ!みたいな、戦国武将好き経営者層?の感覚にも。)

でも、そもそも需要が不足している。つまり、働きたい人の数に対して、働き口の数が不足しているような状態で、みんなが頑張るとどうなるのか?どう考えても、職からあぶれる人はいるわけで、それでもみんな職にありつきたい。そして、かなり劣悪な条件でも文句は言えない。賃金が下がっても頑張る。サービス残業が月100時間以上になっても頑張る。ということをみんながやったら、着実に賃金は下落していきますし、労働環境も劣悪になってくる。そうなると、所得は減るし、消費も減る。需要はさらに減る。働き口も減る。職からあぶれる人が増える。つまり、みんなが頑張れば頑張るほど、世の中悪くなっていく。負のスパイラルですね。

でも、働く人、一人ひとりにとってみれば、頑張るっていうのは、これはこれで圧倒的に正しいわけです。


「ニート」や「ロスジェネ」ってのは、まさにこのミクロの感覚の正しさをそのままマクロに広げてしまうという「誤り」の被害者でもあるわけで、もうちょっとこの辺に突っ込んだ議論っていうのがあってもいいんじゃないか?と思うんですよね。


まあでも、保守側の論説では、欧米的な価値観・文化を問題にして、日本的なるもの(例えば武士道)への回帰を訴えてみたり、左派の論説では、「カジノ資本主義」とか「金儲け主義」みたいな、これまた人々の精神の問題に持っていっちゃうところなんか、どこも同じ問題を抱えているんでしょう。

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