ドイツのクリスマスケーキ・シュトレンをいよいよ焼いてみる
「ご主人がドイツ人なら、ゆうさんのレシピはお義母さんやらおばあさんから教えてもらったドイツ家庭に連綿と受け継がれている愛されレシピに違いない」とお思いの方はいらっしゃるでしょうか。
その誤解はほうっておいたほうがアタシのレシピへの信頼性のためにはいいんだけど、シュトレンはイースト発酵&熟成をともなうめんどうなケーキなのでよっぽどお菓子つくりが好きな人でなければドイツでも作る人はおらず、お義母さんも作ったことは一度も無いそうです。なのでアタシのレシピはなんの裏づけも伝統もない自己流デース!
ドテラいわく、「ドイツでクリスマスにシュトーレンを焼く家庭は、日本で年越し用にそばを打つ家庭とおなじくらいめったに無い」そうです。大晦日が大掃除&おせち作り最終日である事情はどの程度考慮されるべきか難しいところ。。。。っていうかそば打ってみたいとか思うのがおじさんばっかりなのはなぜなんでしょうか。
いよいよ作ります!材料は昨日のブログをご覧ください。
準備
1)ラム酒やブランデーに漬けたドライフルーツをザルにあけて水気を切っておきます。フルーツはレーズン、オレンジピール、レモンピール、クランベリーなどお好みで。酒漬けのドライフルーツを常備してない方は、前日に一度お湯で戻したドライフルーツを酒に浸しておいてください。
ウチにはあります、ドライフルーツのラム酒漬け。
ドライフルーツだけじゃなくくるみ、ピーカン、スライスアーモンドなどのナッツを入れるのもおいしいのですが、私は歯に詰まる感じが個人的にキライなので使いません。好みで使用してください。アーモンドプードルが入っているので風味的にはナッティではあります。
2)小麦粉を振るっておきます。
3)生地用バターは室温に戻して完全に柔らかくしておきます。溶かしてしまってはだめですョ。
4)仕上げ用のバターは湯煎などをして溶かしバターにします。
作り方
1)牛乳をレンジで1分ほど温めておきます。アツアツにすることはありません。生地の捏ね上げたときの温度が27度だと最適といわれているので、牛乳をちょっとあたたかいくらいにしておきたいのです。温めた牛乳にハチミツを溶かします。
捏ね上げ温度は、実はうまいことイースト発酵させるためにはとっても大事だそうです。発酵する際の室温を厳密に管理できない家庭でのパンつくりでもあるので、めんどうでも牛乳を温めて使ってください。
2)大きなボウルに小麦粉、砂糖、アーモンドプードル、スパイスを入れ、その上に生イーストを崩しながら入れます。
ドライイーストを使う場合は、温めた牛乳とはちみつを混ぜたものにイーストを加え10分ほど待ってから次の手順に移ってください。
3)2)のボウルに卵黄、牛乳の半量くらいを入れて手でこねます。
様子を見ながら少しずつ残りの牛乳を加えます。
かなーりかたい生地になると思いますが、次にバターを大量に入れるので固くてオッケです。粉っぽさが無くなってひとかたまりになればヨシ。
4)この固い生地に室温で柔らかくしたバターを混ぜ込みます。「無理だろコレ」くらいの作業に思えますが頑張ります。このあたりからしばらく両手がバターまみれで撮影できず写真はありませんが、まずバターの1/4くらいの量をむりくり練りこんでみましょう。
アイアンクローの手つきでバターごと生地をわしづかみにし、握りこんで指の間から生地を逃がす、みたいな動作を繰り返すと効率がよいかと思います。
5)最初のバターがだいたい混ざったら残りのバターも2,3回に分けて練りこんでいきます。全部混ざると生地はとってもやわらかく、手にもボウルの内側にもひどくべたつくと思います。打ち粉の要領で小麦粉を加えてしまいたくなるのですが材料の比率は変えたくないのでこのままこね続けてください。小麦粉はこねるとグルテンが精製され生地にまとまりがでてくるという科学的な事実を知っていれば結果を信じて頑張れると思います。
この作業は手をグーにしてゲンコで殴りつける動作を続けるのがよいと思います。この写真はけっこうまとまりが出てきた時点で撮ったのでべたつきはそれほどでも無いように見えますが本当はヒドイですよ。。。
あんなにべたついていた生地もしばらく続けるとひとまとまりになります。この写真のようにツルンとしてツヤがでるようになるまで手ごねで15分くらいかかりました。フープロとかの生地こね機能を使うともっと早くできるでしょうね。
6)ラップをかけて生地を一次発酵させます。レシピによって一次発酵の時間もかなりマチマチで、室温で30分というのもあれば一晩というのもありました。温度もすずしめの室温から湯煎して40度を保てというものまでいろいろありましたが、私は室温(たぶん20度くらい)で3時間ほど発酵させてみました。
(3時間というのはこの日の午後にアタシが片付けなければならない仕事を完了させるのに要した時間で、シュトレン生地の出来を計算して割り出した時間ではないことを告白しておきます。)
12月7日にレシピ改定しました!やっぱり3時間では長すぎです。室温で1時間ほど発酵させたらフィンガーテストして様子をみて、発酵が足りないようなら適宜発酵時間を延長させてください。
7)3時間後はこのくらいの大きさになりました。
ゲンコで空気抜きしましょう。
8)台に打ち粉をして生地を広げ、ドライフルーツをのせます。
両側から折って伸ばして・・をくりかえしてフルーツをまんべんなく混ぜ込んでください。黄色のそぼろのようなのはレモンの皮を下ろしたものです。ラム酒漬けの中にレモンピールを入れていなかったので。
9)生地を4等分して楕円にのばし、それをちょっとずらしてパタンと折る感じに整形してください。
この形がシュトレンの特徴なんだけど、焼いたあとでガッツリ砂糖をかけちゃうのでコッペパンのようにずんぐりした楕円ならそれでイイです。
これにふわりとラップをかけて、二次発酵させます。レシピによっては二次発酵させないものもありましたが、私は室温で45分おきました。大きさが1.2から 1.3倍くらいになるのをめやすにします。
10)いよいよ焼きまーす!ネットで「シュトレンは型に入れて焼くとシットリ仕上がる」との情報を発見、シュトレンに型なんてあるのかよ!と思ったがアルミホイルをかぶせて擬似型焼をしてみることにしました。
違いがわかるようにひとつだけやってみる。じっけん、じっけん♪。
11)170度に予熱しておいたオーブンで40-50分ほど焼きます。オーブンによってくせがあるので途中で様子を見ながら温度や焼時間を加減してください。
12)焼いてる間にボヤっとしてる暇はありませんよ!使ったボウルやなんかを洗って片付けたらラム酒と砂糖と溶かしバターの用意をします。
粉砂糖は平たい器に入れておきましょう。刷毛の用意はいいですか?
13)シュトレンが焼けたら思い切ってラム酒の皿に入れ、上下を一度ひっくり返してラム酒を軽くしみこませます。ジュー!とか言ってるのにウットリしてないでサッサとやらんとふやけるぞ!
12月7日レシピ改定しました!ラム酒は器にいれておいて浸すのではなく、1/2カップを刷毛でシュトレンに塗ってください。
14)天ぷらバットみたいな上げ底にのせて、溶かしバターをハケでタップリ塗っていきます。熱いうちにやらなきゃいけないので流れ作業でいきましょう。
隊長!バター全量しみこませました!
ドイツのケーキ屋やパン屋がシュトレンを作るときには、大量の溶かしバターを用意し、そこにシュトレンをドボンと沈めてしみこませるそうです。なのでハケでチマチマ作業するとしても気持ちだけはドボーンと行きたいですね!
15)バターがしみこんだら粉砂糖の皿に移動!
砂糖を表面にドサッとのせて両手で押し付けるようにしてハイ完了!
この粉砂糖は生まれたばかりのキリストがおくるみにくるまれている様子を象徴しているそうなので、厚めにくるんであげましょう。
たぶん粉砂糖は余ると思いますが、タップリあったほうが作業がしやすいので2カップ用意することをおすすめします。余った分はもちろん再利用できるのできっちりフタのできる容器にうつして保存します。去年までは茶漉しで砂糖を振り掛けていたのですが、おっつかないうえにその手間の意味がないことに気づきました。サラッと振りかけられた粉砂糖の美しさでなく2ミリほどの厚さを求められている状況ですから。
ラム酒が余ったら、ドライフルーツの瓶に新たなレーズンなどと一緒に入れて漬けちゃうといいですね。
16)こうして作ったシュトレンは、すぐに味見してもおいしくない・・こともないけど本領発揮してないのです。ラム酒はキツイし砂糖は甘いしな。冷めたらアルミホイルで包んだうえラップでピッタリ包み、少なくとも2週間は涼しいところに寝かせて熟成させます。
あああ・・・待ちきれない。。。はじめて試したレシピなのでおいしくできているかドキドキー。焼き上がりはたしかに例年と比べるとしっとりやわらかではありましたが、ガッチリ&ドッシリが信条のシュトレンの範疇からはみ出ていないかビミョーなところかもしれません。
また、焼き上がりにラム酒に浸すというのも、ネットではじめてきいた手法で、私の持っているレシピ本などには載っていませんでした。これも正統なシュトレンの定義から外れないか疑問が残ります。
とりあえず明日、焼き上がりから三日後にちょこっと味見してみます。報告をお待ちください。
バター、砂糖、卵黄、ラム酒・・・この材料をこれだけ使ってマズかったらどんだけの罪なんだ、アタシ。おののくアタシをクリックではげまそう。