ユダヤ教のお祝い・過ぎ越しの祭りに参加してきた

先週の月曜日(4月18日)にユダヤ教のお祝いの中でももっとも重視されるお祭りという、過ぎ越しの祭り(パスオーバー)のディナーにお友達一家に招待されていってまいりました。ご存知の方も興味のある方も少ないと思いますが、ユダヤ系の人と結婚でもしないと参加する機会もなかなかないイベントだったのでチラリとご紹介します。

伝統色だけでなく宗教色も強いご家庭でのお祝いごとに招かれるなんてほんと貴重な経験をさせていただきました。ウレシイ!

過ぎ越しのお祭りってなーに?
このへんは詳しく説明しているサイトがたくさんあるのでご興味のある方は検索していただくとイイのですが、一言で紹介すると、はるか昔エジプトで奴隷とされていたユダヤ人が自由となったことをお祝いするお祭りです。ふだんはそう敬虔でもないというユダヤ系の人でもたいていはなんらかのお祝いをするそうで、今回招待してくれたお友達も普段は豚肉以外はエビでもカニでも食べちゃうおねえさんです。

「エジプトで奴隷として困窮するユダヤの民を救え」との神の任命を受けたモーセの指導のもとにユダヤ人が出エジプトを実行する際、それを妨げようとするエジプトのファラオとエジプトの民に対して神が10の災いを落とすのですが、その十個目の災いというのが「すべてのエジプト人の初子を殺す」という神様にしては慈悲のかけらも感じられないおそろしいもの。。。

これはそれ以前に増えすぎたユダヤ人の力を恐れたファラオが「すべてのユダヤ人の初子をナイルの川に流して殺せ」とかやっちゃったことに対する直接的すぎる報復なんでしょうか*1

そこでユダヤ人は自分たちの子が殺されないように、家の扉にいけにえの羊の血を塗りつけて「この家の子は殺すなよー」と神への目印にしたのですが、ここで災いが過ぎ越していったことから「過ぎ越しの祭り」というようになったんですって。古代の神様って東西関係なしにおおざっぱに恐ろしいことをするよね。。。

そして紅海を割って脱出、と。子供のいるユダヤ家庭では過ぎ越しのお祝いにはこのお話を話して聞かせ、信仰と歴史を伝えていくのだそうです。


過ぎ越しのお祭りのお食事

過ぎ越しの祭りには必ず用意される6つの食材。

それぞれに象徴する事柄があるのですが、私がネットで調べたニワカ知識をわけ知りげに書いてもアレなので、下のサイトをご覧ください。日本語でわかりやすく書いています。
過ぎ越しの祭り
ユダヤのお祭り


追いかけてくるエジプト軍から逃げていく危機にあったユダヤ人が、のんびり発酵などさせてパンを焼いてる暇もなくイーストを使わず薄く固焼きにしたパン(マッツォ)を糧に持って逃げたのですが、それを尊重して過ぎ越しの祭りの期間はイーストを使用した食べ物は一切食べてはいけないそうです。パンはもちろん、しょうゆとか味噌とかヨーグルトとかもダメ。
また、このお祭りを象徴するマッツォと呼ばれるうす焼きパンの他は小麦を使ったものもダメだそうだけど、コレを知らずにおみやげにケーキを焼いていったアタシ、バカでほんとスミマセン。


これがほんとの多文化経験や〜

私たちを招待してくれたお友達一家は、今回初めてユダヤ教徒でない近しい友達をパスオーバーに招待することにしたのだそうです。「NYみたいな多文化な土地で暮らしてていろんなお友達ができたけど、こういうお祝いを一緒にすればまた違うレベルでもっと仲良くなれると思って」ってほんと世界平和の精神を形にして見せてくれるようなコンセプトにとっても感謝して、一応仏教信者のアタシだけじゃなく、キリスト教のイタリア系アメリカ人、イスラム教のトルコ人のお友達も一緒に参加させてもらいました。


豚肉が代表的だけど、ユダヤ教って食べてはいけないものとか食べ合わせてはいけないものがけっこうあって(親子関係の食材の食べ合わせもダメだから、鶏肉&卵、牛肉&乳製品なんかは一緒に使えない)、事前に一応調べてはおいたんだけどパスオーバー期間に限って小麦粉もダメという情報を拾えずにケーキを持っていったアタシ&バクラバを持ってきたトルコ人のお友達は青くなったわ。。。敬虔なお宅では禁忌食材は家に持ち入れることもないというじゃないの。。。どどどどうしよう。

大変失礼なことをしてしまったと縮み上がったのですが、お友達のお母さんに「ウチはそんな厳格じゃないからオッケよ」と、食事の後に出してもらいました。アホなアタシたちに恥をかかせないこのスマートな対応、なんてステキな奥様・・・・!
 そしてこのバクラバ(トルコ製)がすごいおいしかった(既に反省の色が失せている)。


「知らなかったことはしょうがないからいいんだけど、でもそう恐縮してもらうとユダヤのお祝いに敬意を持ってくれてるんだと思えるし、今日はみんなを招待してみてよかったわ」と言ってもらって胸を熱くして帰ってまいりました。

アメリカで暮らし始めた頃は毎日がカルチャーギャップな感じでウォーーー!と興奮しつつ生きて来ましたが、やっぱり住む人の暮らしに深く関われるようにならないと異文化ったってその表面にしか触れることができないもので、長く暮らすと親しい友達もできてまた違ったレベルの異文化経験もできるのね・・・と大人の階段をひとつのぼった春でした。



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*1:ゆりかごに入れてナイルに流されたモーゼがファラオの娘に拾われて王子として育てられる・・・というのはディズニーのアニメ「プリンス・オブ・エジプト」で印象的なシーン。