2015夏休み(1)パニックを乗り切るまでに成長

yuheipapaです。ことしの夏休みも無事に終わりました。悠平は大きな病気やけがもなく過ごし、元気に登校しています。夏休み中も「乗り鉄と巡礼」などで悠平と出かけるように努めました。以下に、夏休みの思い出を3回に分けて絵日記風に書きとめておきます。


東京湾半周
夏休みに入って最初の「父子乗り鉄と巡礼」は東京湾半周の旅でした。お参りは千葉県木更津市坂東三十三観音霊場の三十番高蔵寺。東京の浜松町駅バスターミナルから高速バス「アクシー」号に乗れば、東京湾横断道経由でお寺の近くまで直行できます。バス停「かずさアーク」からお寺まで徒歩15分ほど。帰りは同じバス停から木更津市街へバスで向かい、JR木更津駅から内房線の電車で浜金谷へ。金谷港から東京湾の対岸の横須賀市久里浜港まで東京湾フェリーに乗りました。久里浜からは京浜急行で帰宅しました。
【写真説明】東京と鴨川を結ぶ高速バス「アクシー」号。高蔵寺の本堂は珍しい高床式で、床下部の「観音浄土巡り」はちょっとした秘宝館でした
 

本当は金谷で鋸山ロープウエーに乗り、岩肌に刻まれた大仏で有名な日本寺にも寄りたかったのですが、予定よりも行程が遅れ気味で断念しました。遅れの原因は最初の高速バスです。東京湾横断道は東京からはまず海底トンネルを走り、人工島の海ほたるで海上に出ますが、この海ほたるが混雑する難所。特に休日は、朝早くに通過しないと、渋滞に巻き込まれるようです。ふだん、自分では車を運転しない私にはそうした知識がなく、そうと分かっていればもっと早いバスにしていたのに、と後悔。
悠平はそんなことにはお構いなしで、高速バス、路線バス、JR内房線、フェリー、京急線といろいろな乗り物に乗れて満足そう。中でも初めての東京湾横断道やフェリーに興奮気味でした。
【写真説明】金谷港を出発した東京湾フェリー。わたしと悠平が乗ったのは次の便。フェリーの甲板から見た鋸山。ロープウエーは次回のお楽しみです
 



▼「別のことを考えなきゃ」
埼玉県ときがわ町坂東三十三観音霊場の九番慈光寺に行きました。町のコミュニティバスは「ハブ・アンド・スポーク」というちょっと面白いシステムです。ときがわ町は外秩父山系にあって、JR八高線の明覚駅が置かれていますが、本数が少なく使いやすくはありません。そこで、町の中心部の「せせらぎバスセンター」と、隣町の東武東上線武蔵嵐山駅小川町駅東武越生線・JR八高線越生駅とをコミュニティバスが結んでいます。この町外の各駅からのバスはほぼ同時刻にバスセンターに到着。同じころ、町内各地からのバスも到着します。そして今度は、バスセンターから一斉に町外各駅と町内各地へのバスが発車します。バスセンターを自転車の車輪の中央部(ハブ)に例えると、スポークは各路線。バスセンターで効率よく乗り換えることで、町外からの乗客も効率よく町内各地に向かうことができます。よく考えられたシステムだと思いました。
【写真説明】ときがわ町コミュニティバスの「ハブ」せせらぎバスセンター。山の中の慈光寺境内を観音堂へ
 
慈光寺は国宝の経文を保有する古刹ですが、悠平の関心はやはりバス。この日はちょっと驚き、感動する出来事がありました。
わたしたちは武蔵嵐山駅から乗車し、せせらぎバスセンターで乗り換えて慈光寺に行く計画でした。バスには1台1台に固有のデザインマークが付いています。バスセンターでは違うマークのバスに乗り換えるものとばかり思っていたら、なんと乗ってきたバスがそのまま慈光寺行きになるとのこと。休憩のためいったんバスを降りて、さあ戻ろうとなって、やはり悠平が固まりました。何とかバスには乗ったのですが、「うーうー」とうなりながら、座席のシートをたたき始めました。パニックです。「悠くん、仕方がないよ。帰りに別のマークのバスに乗るから、がんばって我慢しよう」と声を掛けても、シートをたたくのをやめません。どうしようかと途方に暮れかけた時に、悠平の口から思いもかけない言葉が。「別のことを考えなきゃ」。違うことを考えて自分でバスから関心をそらし、パニックをやり過ごそうとしているのでした。顔を見ると、一生懸命に泣くのを我慢しているかのようです。驚くと同時に、わたしも涙が出そうになりました。「よーし、じゃ次のお父さんの休みの日は何の電車に乗りに行こうか」と次の乗り鉄に話題を振り、無事にパニックを乗り切りました。
この日はお参りの後、手打ちうどんを食べて立ち寄り温泉にも漬かりました。その後乗ったバスは運よく、みな違うマークの車体でした。帰宅後、yuheimamaにもパニックの件を報告。悠平がいつの間にかそんなことができるようになったことに、人間の能力の不思議さ、人間の強さのようなものを感じました。
ときがわ町路線バス https://www.town.tokigawa.lg.jp/forms/menutop/menutop.aspx?menu_id=1495
【写真説明】バスには1台1台、違うマークが付いています
 


▼旧国鉄の急行とムーミン列車
千葉県長南町坂東三十三観音霊場の三十一番笠森寺にお参りした後、小湊鉄道いすみ鉄道を乗り継ぐローカル私鉄のミニ旅行に出掛けました。
東京駅京葉線ホームから外房線の特急で茂原駅で下車。バスで30分ほどで笠森寺です。日本でここだけという「四方懸造り」の観音堂が独特。四面全てが、京都の清水寺の舞台のように、山肌に足場を組んだ構造です。暑い日でしたが、急な階段をそろりそろりと悠平と一緒に登った観音堂の上は、周囲の森から気持ちの良い風が吹き抜いていて爽快でした。
【写真説明】笠森寺の観音堂と、上からの境内の眺め
 
茂原駅からのバスに再び乗って、終点の上総牛久駅へ。ここは千葉県市原市のJR五井駅から房総半島の山中にある上総中野駅までの小湊鉄道の駅。上総中野から太平洋に面したJR外房線大原駅までは、いすみ鉄道が走ります。ともに非電化でディーゼル車両が走るローカル私鉄。いすみ鉄道は旧国鉄塗装の車両で休日は急行運転も行っており、鉄道マニアには有名ですが、悠平の目当てはムーミンがラッピングされた黄色い車両でした。
茂原からのバスも、小湊鉄道いすみ鉄道も運行本数は多くなく、事前に時刻表を調べながらあれこれと検討。その甲斐あってか、私が乗りたかった旧国鉄急行仕様の列車も、悠平がご執心だったムーミン列車もともに乗ることができ、盛りだくさんの乗り鉄の1日でした。
【写真説明】上総中野駅で出発を待つ小湊鉄道の列車。小湊鉄道の切符は昔懐かしい硬券でした
 
【写真説明】いすみ鉄道大原駅で並ぶ旧国鉄急行の車両(左)とムーミン列車。気持ちがなごみます