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yuhka-unoの日記 Twitter

2011-10-18

あがり症と心の傷

23:07 |

私が通っていた中学校では、音楽のテストを期末に実施していて、実技試験と筆記試験に分かれていた。実技試験は、クラスの皆の前で歌を歌ったりリコーダーを演奏したりという内容のもので、当時いじめられていて、クラスのほぼ全員から無視されていた私にとっては、非常にハードルの高いものだった。いじめられている人間にとって、その環境下で人前で何かするというのは、いわば「見せしめ状態」になるわけだ。

 

私は、歌は特別音痴でも特別上手くもなく、おそらく十人並だと思うのだが、楽器演奏が苦手で、それでも音楽のテストがある日までは、何とか通して演奏できるようになるまでは練習した。

でもやはり、本番になると、いつもぐちゃぐちゃになってしまった。皆、普段は無視するくせに、私が人前で何かやる時はクスクス笑うのだ。こういう時は、皆ある程度は緊張していて、声は小さくなるし、音は控えめになるのだけれど、私の緊張の質と度合いは、そういうものではなかった。

音楽の先生は、本番で全く上手くできない私の番が終わった時、「こうやって人前で何かするということも、将来必要なことだから」と言った。おそらくそれが先生の意図というか、教育方針なのだろう。確かに、それはそうかもしれない。大人になったら、緊張を乗り越えて、皆の前で何かやる機会は多いのだから。

しかし、いじめられている環境下で、はたしてこれが当てはまるのだろうか。私に関しては、逆効果だったように思う。

 

いじめは中学一年生の頃が最も酷く、そして最も酷い担任に当たった時だった。一週間ほど抗議的意味を込めて登校拒否した後、保健室で過ごしていた私に、担任教師は、クラスの皆の前で話をするように言ってきた。「言いたいことを言ってすっきりして来たら良い」という趣旨らしい。聞けば、その場に担任教師は立ち会わないという。私は「吊るし上げ」という結果の予想がついたので、嫌だと言った。

当時所属していた部活の顧問の先生から、「手紙を書いて渡して、先生に皆の前で読んでもらったら」という提案を受けて、それなら良いと思い、手紙を書いて渡したのだが、担任教師は聞き入れず、無神経な無邪気さで「真剣に話せば、皆ちゃんと聞いてくれる」と信じきっていた。

結局、私は担任不在の状況で、クラスの皆の前で一人で話をするということになり、結果は私の懸念していた通りになって、その時の状況は、最も酷いいじめの出来事として記憶に残ることとなった。

 

これらの出来事が原因で、私はあがり症になり、人前で何かをするということが非常に苦手になった。それはやはり自分でも何とかしたかったので、本番前に人一倍沢山練習するというやり方で、あがり症を乗り切ろうとしていた。

ある日、心理系のサイトを巡っている時に、偶然下のページにたどり着いた。

疾病利得(しっぺいりとく) ( 心理百科事典 ) | ピュアハート・カウンセリング

 

そこにあるのは、失敗を恐れる弱い心があるわけではありません。

そこには、失敗が許されなかった過去の事情があるだけです。

もっと正確に言うと

失敗して苦しい気持ちになったときに、身近な人に気持ちを大丈夫にしてもらえなかった

という経験から来るイメージがあるだけなのです。

 

なるほど、私が人前で緊張するのは、あの時、辛い気持ちを一人で耐えるしかなかったからなのか。「見せしめ状態」になった後、誰かに辛い気持ちを受け止めてもらえていたら、まだマシだったのかもしれないな。

そう思った私は、中学生の頃の自分に戻って、わーっと泣いてみた。泣きながら、心の中で、自分自身に「辛かったね。悔しかったね。よく頑張ったね」と言ってみた。私はあの時、こういうふうに声をかけて慰めてくれる大人が必要だったのだ。

これであがり症が治ったわけではないけれど、少しだけ心の傷が軽くなったような気がした。

 

あがり症の人にプレッシャーをかけるのは、かえって逆効果だと思う。そもそも、プレッシャーを過剰に感じるのがあがり症の原因なのだから。昔、いつも上手く発表ができない私に、「絶対ここ失敗しないで。ちゃんとやって」と言ってきた人がいたが、その時は、まぁ見事に大失敗をやらかした。もちろん、本番前に練習するということは大事なのだけれど、私の場合、本番では逆に開き直ったほうが上手くいく場合が多い。

仕事ができない「過真面目」な人について』でも似たようなことを書いたが、緊張度が高いから失敗してしまう人に、緊張度を上げるようなことをするのは逆効果だ。逆にリラックスしてテキトーになり、緊張度を下げるようにするのが良いのだろう。

キラキラキラキラ 2011/10/19 00:11 私も小学校の頃同じような子供でした。社会人になってから幼稚園の先生の勉強をするために大学へ入り、授業であまり良い思い出が無かった音楽や図工の授業を受けた時に小学校時代に戻ったつもりで歌ったり工作したりしたところ、楽しくて小学校時代の辛かった思い出が、塗り替えられていくように感じました。

JironBachJironBach 2011/11/05 00:37 私の血の繋がってない叔母は子供の頃気に縛り付けられるなど親から酷い虐待を受けたそうなのですが
従兄弟にとってはとても優しいお母さんになってます。もちろん私にとっても優しい叔母です。
また、私の母は兄達(私の叔父)が虐待されるのを見てトラウマになったようなのですが
良い家族の良い妻良い母を演じるのに必死で、私も子供の頃から良い子供を演じることを強要されて
今はひねくれた大人になってしまいました。
私が見た所、虐待された人は、自分より弱い立場の人を同じように虐待するようになるか
虐待した人を冷静に分析して自分は弱者にとても優しくなるか極端に分かれるような気がします。
yuhkaさんは冷静に分析したタイプですよね。
お会いしたことはありませんがきっと優しい人なんだろうなと思います。

ういうい 2012/06/12 22:23 このページを見て思わず泣いてしまいました。

今も前のトラウマ?と同じ環境下に居て、まだやり直すチャンスがあるので少しづつでも治していけるかな、という気持ちになれました。ここに来てよかったです。

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