バカの壁  養老孟司 新潮新書


元東大の解剖学教授で脳と身体の人。なんかやけに流行ってるので。
でも、他で言ってることと大して変わってないように思われるのです。あとバカあまり関係ないかも。
バカの壁、というよりは"壁"について。
ある一つの方向性を持つことによって生じる限界について、といったところでしょうか。
解説というよりはエッセイが近い。口述ってことと、一応一つのテーマなのでとっつきやすかったです。
で、常々この人の文章は頭良くて気持ちよいな、と思ってるわけでして、なんつーか素人が考えてしまうような細々とした事柄を「これはこういうものだ」って解釈を与えて、軽々と飛び越えて話を進めていってしまうところが好き。それが心地よい。へえ、そうか、って。
例。

「意識というのは共通性を徹底的に追求するものなのです。その共通性を徹底的に確保するために言語の論理と文化、伝統がある」
「近代的個人とはつまり自分を情報だと規定すること、私は私だと同一性を主張すること」
「金本位ではない現在の貨幣が何の兌換券かといえば、それはエネルギーだろう」
また例。
「ガン告知が是か非かって? そんなのケースバイケースに決まってるだろ!」(←意訳)
とか。
(思うように抜粋できなかったけれども)

自分としてはじゃーこれにはどう解説するんだ、とか楽しんでるわけでして、時事問題扱ってもあまり厭味ではないのは人柄?というか文章柄のなせるわざでしょうか。あ、でもこれはちょっと説教っぽいとこあります。
「涼しい脳みそ」「唯脳論」「続涼しい脳みそ」「ヒトの見方」「脳の見方」あたりのリバイバルといっていいと思います。





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