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『シンプル・ミーディア』〜yuichi0613の日記 RSSフィード

2010-02-05

[][]日本新聞業界の現状は?その4 ネットでも既存メディアがいまだ強い日本

今回でとりあえずの新聞業界の現状は終了。

努力不足を改めて思い知らされる。

要旨としては、インターネットの普及や読者への重要性の認識は増えてはいるが、実際に2009年の総選挙で参照したサイトはほとんどがYahoo!などのニュース・ポータル・サイトであり、さらには既存メディアよりも多く参照された既存メディア以外の報道主体はいまだ目立って出てきていない、ということ。

===

第4項 新しいメディア主体の不存在

インターネットは普及が進むが…

日本でのインターネットを巡る状況は、年を追うごとに変わってきている。

総務省『平成20年通信利用動向調査』によると、過去1年間にインターネットを利用したことのある人*1 は推計で9,091万人(前年比280万人増)、人口普及率は75.3%となった。

世帯の利用率*2 では平成20 年末においてインターネットを利用している世帯は91.1%である。ネットワーク上を移動するデジタルデータの量を表すトラフィック量もここ1年で約40%増加している*3

また、インターネット・メディアの情報提供の質については匿名掲示板『2ちゃんねる』のイメージなどもあり、不正確で質が悪いという印象が根強い。

2007年の日本新聞協会の調査*4 で主要5メディアについての様々な評価をまとめているが、インターネットは「情報量が多い」、「多種多様な情報を知ることができる」、「情報が速い」と良い評価もされる一方で、「情報が正確」、「情報内容が信頼できる」、「情報が整理されている」の項目についての評価は他のメディアと比べて一段と低い。

事実、様々な内容のウェブ・サイトがインターネットのなかにひしめいているのが現状だろう。

しかし、昨今は例えば第1節で触れた総選挙の場合のように限定的にではあるが、インターネット・メディアに対する国民のイメージは少しずつではあるが変わってきた。

間メディア社会研究会が前述の総選挙直後8月31日〜9月1日に実施した有権者の意識調査において、次に示す図のように今回の選挙の情報源として「非常に重要」あるいは「ある程度重要」と答えたひとの割合が多かった順として、インターネットがテレビ、新聞に次いで第3位となっており(図1を参照)、この3つが雑誌やラジオなどの他メディアを大きく引き離した。

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図1 選挙の情報源としての重要度

(出典:遠藤薫、前掲、p.43)


これについて同会主査を務める遠藤薫は、「特にインターネットは、これまでの調査結果と比べても大きく伸びて6割近くに達している*5 」と、他メディアとの比較をしたときの有権者の意識の変化を指摘している。また、メディアとしての信頼度の面でも、世代全体では新聞、テレビには及ばないものの、20代回答者においてはインターネットが首位になっている(図2を参照)。


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図 2 選挙の情報源としての各メディアの信頼度

(出典:遠藤薫、前掲、p.43)


このような動向から、遠藤は「従来のソーシャル・コミュニケーション空間(政治など社会全体にかかわる情報空間)は、新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどマスコミュニケーションによって形成されてきたが、今日では、新聞、テレビ、インターネットで構成されるようになったと言っても過言ではないだろう*6 」としている。人々のなかで、情報提供の手段としてのインターネットの存在感がこれまで以上に大きくなっていることがわかる。


新しいメディア主体の不在


こうしたなか、アメリカで出現しているような既存メディアに匹敵するユーザー数を持つ新しいメディアは、日本ではいまのところ出てきていないのが現状だ。

ただ、アメリカのように調査会社がインターネットのサイトのユーザー数を出しているところが日本では少ないため、実際にどれくらいのユーザー数を各サイトが持っているかはわかりにくい状況ではある。


例えば、既存メディアの補完を目指して創刊されたジャーナリズムを目的とした『JanJan』や『オーマイ』といった市民メディアは、苦境が伝えられており、ブログ・メディアも一時期大きなページ・ビュー数を持つ「アルファ・ブロガー」というブログの書き手が話題になったが、アメリカの事例のように他社から引用されるようなスクープ報道を行ったブログはほとんどない。

現在、ニュース・サイトとして盛況なのは、ITやテクノロジー系に特化した『アイティ・メディア(ITmedia)』、『シーネット・ジャパン(CNET JAPAN)』、そして『ジェイ・キャスト(J-CAST)』など少数である。


アメリカでは『ハフィントン・ポスト』など成功した日本のニュース集約サイトも、神奈川新聞社が関わる『media jam』などがあるが、記事利用がアメリカより厳しいこともあり、報道各社と記事配信で契約を交わしている『Yahoo!ニュース』のひとり勝ちの感がある。

政治サイトとしては、やはり『Yahoo!』内にある『Yahoo!みんなの政治』や、『JanJan』の日本インターネット新聞社が運営する『ザ・選挙』があり、どちらもデータベースを中心とし、既存メディアが報じない観点の情報を提供しているのだが、社会に対して大きな影響力を持っているとは言えない。

2009年の総選挙に関連して、インターネットのユーザーが選挙の情報をどの政治関連サイトで得たのかを示したのが、図 17である。

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図 17 人びとはどのサイトで選挙関連情報を得たか

(出典:遠藤薫、前掲、p.48)

これを見ると、「Yahoo!やinfoseekなどのインターネット・プロバイダーのニュースサイト」が群を抜いて票を集めており、7割以上を占める。

その次に、「政党」、「議員」と続き、新聞社サイトが約2割の人が見たと回答している。

その後、『2ちゃんねる』などの掲示板や『Yahoo!みんなの政治』、テレビ局のサイトなどが続くが、全体の割合で言うと10%程度であり、さらにその後に並ぶ多くのインターネットのサービスは数%にも満たないものばかりである。


上記のように情報源としてのインターネットの重要性は高まっているにも関わらず、実際にユーザーが総選挙の際に参考にしたサイトは、ほとんどの人が「Yahoo!やinfoseekなどのインターネット・プロバイダーのニュースサイト」であり、既存の新聞社のサイトでも20%程度しかない現状である。

その他の報道主体の影響力や認知度の低さは、一般的にはほとんど問題にならない程度のものだろう。



※これまでの記事

アメリカ新聞業界の危機

その1 発行部数、広告費の推移

その2 経営危機への対応

その3 サイト無料化と有料化―『NYTimes』とマードック氏

その4 「ジャーナリズムの未来」は「新聞の未来」なのか?

その5 新しいジャーナリズムの出現


日本新聞業界の現状は?

その1 発行部数と広告費の推移

その2 社会の変化、新聞離れ

その3 経営悪化に対応する新聞社

その4 新しいメディア主体の不在

*1:インターネット利用者数(推計)は、6歳以上で、過去1年間に、インターネットを利用したことがある者を対象として行った本調査の結果からの推計値。インターネット接続機器については、パソコン、携帯電話・PHS、携帯情報端末、ゲーム機等あらゆるものを含み(当該機器を所有しているか否かは問わない。)、利用目的等についても、個人的な利用、仕事上の利用、学校での利用等あらゆるものを含む。

*2:家族の誰かが過去一年間にインターネットを利用したかどうか(利用機器、場所、目的を問わない)についての設問に対して「利用した」旨回答した世帯の割合。

*3:総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒック総量の把握」(2009年8月6日)http://www.soumu.go.jp/main_content/000033592.pdf

*4:日本新聞協会「2007年全国メディア接触・評価調査」 http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/rep/img/2008.pdf

*5:遠藤薫(2009)「ネットは09年衆院選をどう報じ、どう論じたか」『Journalism』、No.234(2009年11月号)、p.43。

*6:遠藤薫、前掲、p.44。

2010-01-23

[][]日本新聞業界の現状は? その3 経営状態の悪化に対応する新聞社

日本の新聞業界の現状について。

他国と比べて発達した戸別配達制度、広告費に依存せず販売費に依存するビジネスモデルのおかげで、新聞産業にはアメリカほどの危機は訪れてはいないです。

しかし、社会の変化やインターネットの普及は着実に経営へ悪影響を及ぼしており、それに対する対応策として、従業員の削減、夕刊の廃止、販売網の合理化、そしてオンライン新聞の創刊などがなされています。

以下、そういう内容。


第3項 経営危機への対応


以上、述べてきたような背景から、日本の新聞社も経営の危機が顕現し始めてきている。危機への対応としてはアメリカと同様、人員削減や取材網の縮小のほか、日本の新聞産業を支える戸配制度網、販売店の合理化、印刷の委託、また、夕刊の廃止などが挙げられる。


経営基盤の弱い地方紙の廃刊、休刊


地方紙を巡る状況は厳しくなってきている。経営基盤の弱い地方紙のなかには、廃刊や休刊を選ぶ新聞も少なくない。ここ数年で起きたこうした出来事を表 4にまとめた。

表 4 廃刊または休刊した新聞紙名と時期

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(出典:オンライン上の新聞記事を参考に筆者作成)


大手紙決算に赤字が

次に、大手紙が苦境に陥っている状況に触れる。

朝日新聞社が発表した2008年9月中間連結決算によると、純損益が103億円の赤字になり、中間決算の公表を始めた2000年以来、初めて純損失と営業損失を計上した*1

ほぼ同時期に毎日新聞社、産経新聞社も営業利益の赤字を計上している*2

日経新聞社も2009年1月〜6月期連結決算で営業損益が8億5,000万円となり、赤字となった*3

どの社も、メディア業界の広告不況のあおりをうけ、広告収入の大幅な落ち込みが影響している。こうした状況のなかで、経営の危機に対して新聞社はどのように対応しているのだろうか。


従業員数、記者数は微減が続く

産業全体の従業員数については、日本新聞協会経営業務部が毎年4月に調べた資料*4 によると、2009年に新聞と通信社の従業員総数は4万9,075人で、資料がある1999年の6万189人から減少傾向が続く。

この減少傾向について、『総合ジャーナリズム研究』のレポートでは、「1. 新聞・通信社の分社化(特に印刷、発想部門の子会社化、分社化)が進むことで、新聞社本体の従業員が減少、2. 経費削減を意図した早期退職制度の活用や、新規採用の抑制など、従業員総数の削減傾向が続いていること、3. 契約社員やパート・アルバイトなど不定期雇用枠の拡大*5 」などの要因を挙げている。

また、記者数についても同協会の同様の調査*6 によると、2009年は2万1,103人となり、こちらも資料がある1999年からの傾向を見ると、ピークの2003年の2万1,311人から2007年の1万9,124人まで減少傾向が続いたあとに2008年に2万1,093人と約10%増加し、そのまま横ばいで2009年の数字で維持している。

経営にかげりが見えているなか、記者数が増加したことは興味深い。

しかし、産経新聞では収益力の向上と経営基盤強化を図って2009年1月に希望退職者を約100名程度募り*7 、また役員報酬を減額する*8 など、大手紙の一部でも人員削減に踏み切る新聞が出てきている。

こうした経営への懸念は、様々なコストダウン策を不可避のものとしている。


夕刊の廃止の流れ

夕刊の廃止は、夕刊を読む習慣がなくなってきたことを背景に、ここ数年でいろいろな新聞の間で行われてきた。

特に産経は、夕刊を廃止し、ワンコイン価格で求められる新しい朝刊を発行することで、夕刊にかかる印刷、用紙代、輸送費を削減し、新朝刊部数を伸ばすことで夕刊廃止の減収分を補うことに成功した*9

表 6 夕刊を廃止した新聞紙名と時期

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(出典:『総合ジャーナリズム研究』No.206、オンライン上の新聞記事を参考に筆者作成)


戸配率が90%を超える日本の新聞配達網は、日本の世界一の発行部数を支える制度である一方で、多大なコストをかけた制度である。そのため、販売網の合理化は多くの新聞社にとっての課題だ。

2007年10月の朝日、読売、日経各新聞の提携も、新聞のネット事業『あらたにす』での協力に加えて、販売事業での連携、具体的には、過疎地や販売部数の少ない地域において、朝日と読売の販売所が配達を分担すること、また、大地震やシステム障害などの不測の事態が起きたときに「紙面製作や印刷の代行、輸送支援をする相互協力*10 」といった内容で協定を結んでいる。

こうした、戸別配達網の合理化のための協力関係という側面がある。

印刷の委託なども一部では行われている。

読売新聞は2010年秋から、上越、中越地方向けの印刷を新潟日報に委託し、同時に新聞の共同輸送に向けても協議している*11

印刷を委託することで、コストダウンが見込めるという思惑がある。

その他、茨城新聞社や十勝毎日新聞社にも地方紙の印刷委託を行っている。

産経新聞も、九州での印刷を現地の毎日新聞社の工場に委託し、九州に関しては西日本新聞社に委託している配達も、地域を山口県まで広めている*12

支局の規模縮小は記者数の削減によるリストラも意味する。その意味で、毎日新聞社が11月に発表した2010年4月予定の共同通信社との提携は、提携の柱として、「(1)各県を拠点とする共同加盟社の一部から地方版記事配信の協力を受ける*13 」を上げており、毎日新聞の地方ニュースを他の地方紙から提供してもらう狙いがあると見え、将来の地方拠点の削減を見据えた共同通信加盟ではないかと見る向きもある*14

朝日新聞も紀伊民報と業務提携を結び、2010年4月1日から記事の配信を受けることを決定したが、一方で、田辺市にある朝日新聞の紀南支局は休止をする。これは毎日の例と同様、支局の縮小によるコストダウンの狙いがある 。

他にも神戸新聞社にように、グループ会社であるデイリースポーツ社と合併し、業務共有などによる効率化と経営体質の改善を目指すところもある*15 。西日本新聞社は、山口県内での西日本新聞と西日本スポーツの発行を2009年3月で休止し 、また、7月には沖縄の那覇支局を閉鎖している*16((「西日本新聞が那覇支局閉鎖へ」『MSN産経ニュース』、http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090713/biz0907131351002-n1.htm)) 。

また同年12月には、佐賀県において競合する佐賀新聞社に、2010年4月から1年間に輪転機の貸与を受けることを決めた*17

新聞紙の売価を変更するところもある。

下野新聞が2006年6月に2,803円から2,950円に上げ、山形新聞は購読料を2008年7月1日から値上げし、1か月3,007円から3,300円に変更した。

値上げの理由を、「製紙メーカーが用紙代を値上げしたことや、原油高で印刷コストが高騰したこと*18 」とJ-CASTニュースは解説している。

大手紙のなかでは、日経新聞が2010年の1月1日からコンビニや駅売り店などの店頭売り売価を朝刊140円から160円、夕刊50円から70円にそれぞれ20円ずつ値上げした*19

購読料は値上げせずに据え置いている。


日本でも「北日本新聞」がオンラインで有料課金

アメリカでもマードック氏を筆頭に議論がなされているオンラインの有料課金だが、日本の新聞にも始める新聞が現れた。

北日本新聞は、オンライン新聞『webun』を2010年1月1日から創刊し、2月から記事の閲覧を朝刊購読者か、県外や海外など配達区域外の読者へは月2,100円の購読料を払ってオンライン上で登録した会員に限る。

会員機能として、電子スクラップ機能を用意し、保存したいと思った記事を集積できる個人ページも作る。

サイトは「ニュース」、「スポーツ」、「くらし情報」のカテゴリで構成される。

また、会員制移行後も全国ニュースや外電、そして一部の生活情報は会員でなくても無料で読める。

また、非常時のニュースは、アクセス可能にしている。

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図 16 北日本新聞が2010年1月から始めたオンライン新聞『webun』のトップページ

(出典:北日本新聞サイトより )


(※追記予定1.25 日経新聞は、2010年4月から電子新聞を創刊予定*20

日本経済新聞は今春、「日本経済新聞電子版」を創刊します。日経本紙の記事はもちろん、紙にない情報、機能も満載した全く新しい媒体です。最新ニュースや解説が24時間、パソコンでも携帯電話でも読めます。日経グループよりすぐりの記事や海外有力紙のコラムも提供。検索、保存なども簡単にでき、知りたい情報にいつでもどこでもアクセスできます。朝刊、夕刊に次ぐ「Web刊」の誕生です。


※これまでの記事

アメリカ新聞業界の危機

その1 発行部数、広告費の推移

その2 経営危機への対応

その3 サイト無料化と有料化―『NYTimes』とマードック氏

その4 「ジャーナリズムの未来」は「新聞の未来」なのか?

その5 新しいジャーナリズムの出現


日本新聞業界の現状は?

その1 発行部数と広告費の推移

その2 社会の変化、新聞離れ

その3 経営悪化に対応する新聞社

その4 新しいメディア主体の不在

*1:テレビ朝日株を売却し、投資有価証券評価損が44億円計上されたため、多額の純損失になっている。「朝日新聞が初の赤字転落 部数、広告減で9月中間」『47news』、http://www.47news.jp/CN/200811/CN2008112101000896.html

*2:「毎日・産経が半期赤字転落 『新聞の危機』いよいよ表面化」『J-CASTニュース』、http://www.j-cast.com/2008/12/26033024.html

*3:「日経新聞が赤字転落」『ITmedia』、http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0909/02/news017.html

*4:日本新聞協会「新聞・通信社従業員総数」、http://www.pressnet.or.jp/data/05koyososu.htm

*5:「『新聞』のいま、生業の現実2008」『総合ジャーナリズム研究』No.206、08秋号、p.9。

*6:日本新聞協会「新聞・通信社従業員数と記者数の推移」、http://www.pressnet.or.jp/data/05koyokisha.htm

*7:IR情報、http://sankei.jp/pdf/ir20090119b.pdf

*8:IR情報より。役員報酬月額の減額割合は、代表取締役:50%、専務取締役:30%、常務取締役:20%、取 締 役:15%。期間は平成21 年1 月から平成21 年6 月までの6 カ月間。 http://sankei.jp/pdf/ir20090119a.pdf

*9:河内、前掲、pp.154-162。

*10:「朝日・読売・日経が提携」『朝日新聞』朝刊p.1。

*11:「読売新聞、新潟日報へ印刷委託 来年秋から」『山陽新聞WEBNEWS』、http://svr.sanyo.oni.co.jp/news_k/news/d/2009071501000891/

*12:「産経新聞 九州で現地印刷 山口に配達拡大、紙面充実 毎日に委託」『MSN産経ニュース』、http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081211/biz0812111504008-n1.htm

*13:「毎日新聞:共同通信・加盟社と包括提携」『毎日.jp』、http://mainichi.jp/photo/archive/news/2009/11/26/20091127k0000m040047000c.html

*14:「毎日新聞「共同通信加盟」に動く これでリストラ進むのか」『J-CASTニュース』、http://www.j-cast.com/2009/11/20054461.html

*15:「神戸新聞社、デイリースポーツ社と合併へ 」『神戸新聞NEWS』、http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002471988.shtml

*16:「山口県内での発行休止へ 西日本新聞社」『MSN産経ニュース』、http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090310/trd0903101018005-n1.htm

*17:「西日本新聞と佐賀新聞が輪転機貸借で基本合意」『MSN産経ニュース』、http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091210/biz0912101805028-n1.htm

*18:「山形新聞14年半ぶり値上げ 大手新聞は追随するのか」『J-CASTニュース』、http://www.j-cast.com/2009/12/15056189.html

*19日本経済新聞社からのお知らせ、http://www.nikkei.co.jp/topic/091215.html

*20:「Web刊誕生! 日本経済新聞 電子版 創刊へ」『NIKKEI NET』、http://www.nikkei.co.jp/topic/ds/

2010-01-22

[][]日本新聞業界の現状は?その2 社会の変化、若者の新聞離れ

yuichi0613的日本の新聞業界の現状その2。

総務省の資料を見ると、若者(20代〜30代くらい)の「新聞離れ」、そしてPCの普及はかなりの深度だと実感できますね。

それではどうぞ。

===

第2項 新聞を巡る社会の変化、若者の新聞離れ

新聞が直面している問題は、必ずしも部数や広告の話だけではない。

社会の変化も重要な問題であり、河内は2007年の著書で、こうした社会の変化について「人口が減少に転じ、世帯数も頭打ち。三〇代以下の多くは新聞を読まなくなった。インターネット、携帯電話の時代は、自分の望む時間と場所で最新ニュースが得られる。首都圏を中心に地下鉄や主要ターミナルではニュースもコンパクトに載っているフリーペーパーが何種類も配られ、人気が上がっている。*1 」と端的に指摘している。

この指摘に従って、論を進めていく。


進む人口減少、2055年には1/4が減少

人口減少については、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計*2 によると、合計特殊出生率の中位仮定である1.26を採用する場合、日本の人口は2005年の1億2,777万人から、2030年に1億1522万人、そして2055年には8,993万人となる推定をしている。

この仮定のまま進めば、50年後には人口はいまの約4分の3になる。こうなると、現在のような経済規模や社会の維持は困難になるだろう。


若者は新聞、テレビからPCへ

若者の新聞離れについてはどうだろうか。

日本新聞協会の2007年の調査*3 を参考にすると「新聞へ接触している人の割合」が全体で92.3%、1週間に平均5.4日朝刊に接触し、毎日接触している人の割合も66.5%である。

また、年代別で見ても、20歳代83.1%、30歳代88.9%、それ以上の世代は96%前後の接触をしていると結果が出ている。

しかし、これは1日に1回でも接触すれば反映される調査であるので、次はNHK放送文化研究所の調査*4 を参考にする。

2005年と多少古いデータではあるが、新聞の行為者率、つまり新聞に接触する国民全体の割合は45%前後で、1日20分程度の接触時間である。

また、高齢者の行為者率の高さが目立つ一方、「土曜・日曜の行為者率をみると、男女とも20〜40代、職業別にみると勤め人の行為者率の低下が大きく、社会の中核層で新聞ばなれが進行している*5 」と、20〜40代の新聞離れが見られる旨の報告をまとめている。


また、次に示す総務省の資料では、新聞への接触頻度と利用時間についてまとめられている。便宜上、パソコンの利用についても図で触れている。


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図14メディア利用機会と1日当たり平均利用時間:新聞、パソコン

(出典:「情報通信白書 平成20年版」より*6


この図14によると、「ほとんど毎日」および「週3〜4回利用」が約60%と、他の層と比べて格段に利用率が低い。

「利用していない」グループも10%程度いる。

また、1日当たりの平均利用時間も14.2分とこれも他と比べて短い。

こうした若年層のあきらかな新聞離れが見られる。

加えて、若年層においてはパソコンの利用が「ほとんど毎日」および「週3〜4回利用」で90%程度と、新聞で言う高齢者の利用率並みに利用が行われていることが見て取れる。


また、次の図15では、若年層がここ2〜3年で主要4媒体であるテレビ、新聞、雑誌、テレビの利用からパソコンや携帯電話の利用に移ったことが示されている。

若者の「新聞離れ」は、新聞を読まなくなった、読む時間が少なくなったというだけでは十分な理解ではない。

つまり、若年層がこれまで主要4媒体に割いてきた時間を、パソコンや携帯といった新しいメディアの利用に時間を多く割くようになってきたということ、言い換えると、メディア間での利用時間競争が起きており、その勝負に主要4媒体は負けているということである。


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図 15 ここ2〜3年間のメディア利用の頻度の変化

(「増えた」との回答の割合から「減った」との回答の割合を引いた値)

(出典:「情報通信白書 平成20年版」より*7


フリー・ペーパー

その他の社会の変化として、例えば、フリー・ペーパーの普及については、現状ではいわゆる欧米で流行っているような無料日刊紙は日本で成功をしていないが、主要駅などで手に入るものとしてグルメやクーポン情報としてリクルートの「ホットペッパー」、若年層向けのビジネス紙「R25」などは最も人気があるフリー・ペーパーのひとつである。

その他、地域誌や求人、大学情報誌や既存メディアが発行するフリー・ペーパーなどもあり、今後も様々な形で広がっていくだろう 。


佐々木俊尚氏の「コンテンツ論」

また、インターネット社会におけるコンテンツのあり方を考察している佐々木俊尚の著作では、いま起きているマス・メディアの危機は構造的な問題であるとして、 .泪・メディアの「マス」が消滅し始めている、◆.瓮妊アのプラットフォーム(基盤)化が進んでいる、の2点を挙げている*8 。前者は、みんなが同じものを消費する「大衆」の時代から、人が自分の好みにしたがって行動する「少衆・分衆」の時代がきていると示唆している。

後者は、Googleの及川卓也氏が主張する説明を援用して、メディアの情報伝達を「コンテンツ」(=例えば記事)、「コンテナ」(=記事を運ぶ容器)、「コンベヤ」(=容器のコンテナを配達するシステム)であると仮定した場合に、これからの時代は「コンテナ」を握った企業が基盤となり、コンテンツをユーザーとどのように接触させるかをコントロールできるようになるとしている*9

例えば、インターネットの現在の状況で言えば、

コンテンツ=新聞記事

コンテナ =Yahoo!ニュース、検索サイト、2ちゃんねる

コンベア=インターネット

という構造になっており、このうちYahoo!や検索サイトなどが「プラットフォーマー」となり、コンテンツに対する影響力は今後さらに力を増すようになると述べている。



※これまでの記事

アメリカ新聞業界の危機

その1 発行部数、広告費の推移

その2 経営危機への対応

その3 サイト無料化と有料化―『NYTimes』とマードック氏

その4 「ジャーナリズムの未来」は「新聞の未来」なのか?

その5 新しいジャーナリズムの出現


日本新聞業界の現状は?

その1 発行部数と広告費の推移

その2 社会の変化、新聞離れ

その3 経営悪化に対応する新聞社

その4 新しいメディア主体の不在

*1:河内孝(2009)『新聞社 破綻したビジネスモデル』新潮社、p.33。

*2:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)―平成18(2006)年〜平成67(2055)年―」、http://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest03/newest03.pdf

*3:日本新聞協会「2007年全国メディア接触・評価調査」 p.15、http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/rep/img/2008.pdf

*4:NHK放送文化研究所「2005年国民生活時間調査報告書」pp.16-17、http://www.nhk.or.jp/bunken/research/life/life_20060210.pdf

*5:NHK放送文化研究所、前掲、p.16。

*6:総務省「情報通信白書 平成20年版」p.94、http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h20/pdf/20honpen.pdf

*7:総務省「情報通信白書 平成20年版」p.96、http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h20/pdf/20honpen.pdf

*8:佐々木俊尚(2009)『2011年新聞テレビ消滅』文春新書、p.20。

*9:佐々木、前掲、pp.48-50。