1巻の感想はこちら → http://d.hatena.ne.jp/yukiaki042/20120324
2巻の感想はこちら → http://d.hatena.ne.jp/yukiaki042/20120511
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2012/06/21
- メディア: 文庫
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1、2巻が自分好みの話だったので3巻も購入。安定したキャラクターの魅力とクオリティで今回も楽しませて貰いました。
本にまつわる蘊蓄、謎解きに関しても今回収録の3本はどれも高水準で、個人的には今までの中で一番好きな巻です。面白かった。
その中でも宮沢賢治の初版本についての話は本当にびっくりしてのですが、それを読んで僕はこれから古書はどうなるんだろうということをふと考えてしまいました。
これから先紙媒体の出版物は減り電子書籍が増えていくのは確実な情勢です。一方書き手の方も直筆原稿などはなくなりテキストデータのみが価値を持つようになります。
それはある意味で完成した文章のみで勝負する潔い時代であるともいえるし、作家の苦悩が見える過程を省略した味のない時代ともいえます。
あとがきで作者が復刻版などの刊行により、1巻や2巻でとりあげた本の価値が変わってしまったことに言及していましたが、今後ただでさえ価値の変動の激しい古書というジャンルはますます劇的に変化すると思います。
そうしたとき、古書を扱うこの『ビブリア古書店』という本がどういう評価になるのかちょっときになります(古き良き時代を描いた作品として評価されるか、時代遅れのジャンルを扱っているからと無視されるのか)
ただ、僕が思うのはこの本は今この時に読むのが一番面白いということです。今読んで本当に良かった!