ロッパ、山名たみえ、鈴木陽平

 充実した作品を見た幸福感からぬけきらないまま、また慌しい日常がはじまる。用事があったので早稲田大学へ。

校門を入るなり、八重山古陶という文字が目に入ってきて、これはきっと面白いはずだと思い、会津八一記念博物館に立ち寄る。ここは東京美術の充実した常設展があり暇なときに立ち寄るとそれだけで面白い。


八重山古陶

沖縄の八重山で作られた焼き物の展示が行われていた。民芸運動や、青山二郎の骨董ではないが名もない人がつくった名品というのは味わいがある。実にシンプルで趣きのある陶器が並んでいてその水準の高さに驚かされる。時間がなくあまり見ることができなかったのだが、横山大観・下村観山の「明暗」も見ることができた。

早稲田大学 会津八一記念博物館)

時間があったら1時間ぐらいじっくりみたかったのだが、しぶしぶ仕事をこなす。
あともう1つ逃すわけにはいかない企画を見に行く。


古川ロッパとレビュー時代 -モダン都市の歌・ダンス・笑い-

「ハリキる」、「イカす」といった流行語を発案したり、少女歌劇やカジノ・フォーリーといったレビュー、そして戦後の浅草のレビュー、ショーで活躍をしたことでも知られる喜劇王古川ロッパの展覧会が行われた。浅草オペラや帝劇を辞めたローシーが活動をしていた金竜館の資料まで展示してあり大変興味深い内容だった。特筆すべきはこの稀代の才能が、エンターテイメントからエロスまでこよなく日本近代の大衆文化の震源地であり続けたということだ。日劇ダンシングチームやカジノ・フォーリーの演目の通俗さには私も普段資料を見ていて驚かされることがあった。ただ、日劇日劇、宝塚は宝塚とそれぞれジャンル・枠組みが別個に存在をする事で、レビュー・宝塚・日劇・オペラといった一連の近代文化史の流れを追うのは一人ではこれまで難しかった。実際にプログラムやポスターで当時の資料が飾られているとそれぞれの接点が一次資料を通して良く解る。また戦後の永井荷風が通いつめ秦豊吉が「額縁ショー」を考案したことでも知られる浅草のショーやレビューについても展示があり戦後にかけてのサブカルチャーの流れを知ることができた。

早稲田大学坪内博士記念博物館 2F 企画展示室I)


急ぎ足で移動し、王子神谷へ。駅を出ると、王子神谷の駅前のファミレスJ's Gardenが現れた。
「CORPUS」の記念すべき第一回MTGを開いたのはこのファミレスだった。


山名たみえ「空中庭園〜garden in the sky〜」

バビロンの空中庭園をモチーフにした物語。女たちが寝転がっている。やがてそれぞれが言葉を口走ったり、1人づつ踊ったり、ラインをつくってスペースを移動する。太古の昔をロマンティックに表現をするシーンも登場する。作家は近年ではスペースなどでも熱心に活動をはじめている。椅子を使いながら踊る山形順子、大きく身を走らせる秋本里奈子や井上依里子と1人1人が小スペースの中で充実した踊りを見せる。構成がシンプルで、単にラインをつくるのではなく、表現主義的でもポーズや、立体的な構成があるとさらによくなるかもしれない。最後は舞台いっぱいに布が広げられ布をつかいながら異空間が描かれた。

(シアターバビロンの流れのほとりにて)


 舞踊愛好家の某氏と一緒になり神楽坂まで移動する。駅からすぐ近くにある神社、赤城神社は七夕のお祭りで盛り上がっていた。夜は鈴木陽平の公演だった。


鈴木陽平「Sky Flower」

媒体にてレビュー

(Session House ソワレ)