yukihiko yoshida’s dance writing:tokyo dance diary

2008-04-12 MOKK、橘バレヱ学校

MOKKproject02 「ましろ」

 MOKKは村本すみれと中心とした「劇場機構を離れた空間からの発信」を軸にしたダンス・プロジェクトだ。様々な場所を用いたパフォーマンスが話題をまいてきたが今回は地下鉄神楽坂の駅からすぐの場所にある赤城神社でパフォーマンスを行った。

 神社でパフォーマンスをするアーティストはこのところ多く、Kappa-teの栗山基子のグループ(http://members2.jcom.home.ne.jp/motoko006/)や菊地尚子のグループの名前をすぐに上げる事が出来るだろう。

 開演前の神社の境内には特設の観客席が設けられ、ダンサーたちが踊るスペースにはパフォーマンスのために大きな土の山が作られている。

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"解説:会場となった赤城神社境内 ―左の山が土の山である”

Photo:Yukihiko YOSHIDA

 少しづつ白い衣裳を着た女たちが現れると鍛えられた肢体を開き、衣裳の中から野菜をとりだし、それらを口に含んだり、土に活けたりしながら踊りだす。モダンバレエなど様々なバックグラウンドを持つ彼女たちだが空間を大きく走りスピーディーに踊っていく。振付の動きに特徴があるというのではなく、むしろ演出や空間の特色に意味合いを大きく持たせている。彼女たちが踊る横を神社の参拝者たちが通ったり、隣接する家屋からクラシック音楽が流れてきたりする。空には鳴き声を上げならがら烏が数羽飛んでいる。春の東京の暖かな午後である。昨年夏に田中泯の桃花村で内田香と鈴木陽平が踊ったときに、踊る二人の傍らで一般の参拝者が賽銭を投げ込んでいたというが、そんなエピソードを彷彿とさせる。山奥という特殊な設定と大きく異なるとするならば都市の真ん中に作られた芸能の為の空間の中でどのように一般的な都市空間がもたらす環境性を舞台表現や身体表現に活かしていくかということだろう。女たちの身体は木によじ登ったり、土山に上ろうとしたりする過程の中でうっすらと都市の音や空気と呼応を始める。その身体表現はクリシェが多く、アンナ・ハルプリンではないが独特なアイデアを身体を通じて空間や環境と対話を重ねることで構築していって欲しくもあるところだ。

 後半になってくると俄然面白いシーンが登場する。踊り手の一人が不意に水道のホースを持って登場すると踊る彼女たちに水を浴びせる。そして数人の観客にそれを手渡し踊り手に水を浴びせるように誘導する。降り注ぐ水の中で肉体たちはそれぞれにはじけていく。やがて手に小道具を持って、二列に並んだ女たち登場する。そしてお互いに声を出してハミングをするように前後に反復を重ねて動いていく。声と声は重なり合い現代音楽のようにも聴こえる効果をつくりだす。ただ前へ後ろへ動き続ける二つの足はそれぞれ小さな泥の山をつくっていく。やがてそれぞれが泥にまみれになり地に倒れると、うつぶせになり土の上で蠢く。

 村本はかつて劇場内で柔軟な発想を感じさせる秀作を発表している。昆野まり子や畦地姉妹らと共に踊っていたように記憶する。その活動の場を劇場の外へ広げることで大きな飛躍をみせたが、空間や環境といった要素と身体表現との間に生まれてくる地平に独創的なアイデアをつくっていくことがこれからの課題になるだろう。久々にその作品に接したが大きな変化に手ごたえを感じた午後だった。

神楽坂赤城神社境内)

演出・振付・出演/村本すみれ 出演/江角由加 カスヤマリコ 北島栄 菅彩夏 手代木花野 寺杣彩 広瀬梨江

美術・照明/影山雄一、音楽/衣袋宏輝、衣裳/本多あゆみ、舞台監督/大畑豪次郎 企画・製作/MOKK




終演後は五反田に移動して橘バレヱ学校 学校公演へ


第56回橘バレヱ学校 学校公演 2日目

卒業生:吉竹ゆかり (「ラ・シルフィード」より第二幕 シルフ)

卒業生:塚田織絵  (「眠れる森の美女」より第一幕 オーロラ姫)

ゆうぽうとホール)