yukihiko yoshida’s dance writing:tokyo dance diary

2009-05-01 Ukiyo Moveable World

(Last-Update-2010-1229)

choreographic installation

UKIYO Moveable World

Japanese Webpage:

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Photo:(C)Helenna Ren

2010年代のダンスと次世代メディア基盤への展望

 2010年代の電子ネットワークが社会に浸透した社会では3次元ネットワークも利用したダンスコンテンツ制作が行われています。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090503

東京でも秋葉原の様なサイバーノードが発達をし、自宅から3次元ヴァーチャルサイバースペースを実現できるようになっています。80年代以後、海外のSF小説家たちが日本を書いてきたような状況になってきています。

Neuromancer (Remembering Tomorrow)

Neuromancer (Remembering Tomorrow)

Idoru

Idoru

こちらは作品でないですが戦前の日本が登場するJ・G・バラードの自伝です。

太陽の帝国 特別版 [DVD]

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 SF小説家たちのジューヌ・ヴェルヌ以来のロマン派的でテクノロジーに対してヴィヴィッドな視線は日本文化をある種のステレオタイプからその時代の新しいイメージまで幅広く捉えています。

 私個人レベルでも様々なプロジェクトを舞踊批評家として行ってきました。現在では光のスピードと同じスピードでパフォーマンスを大陸間を挟んで行うことができますし、リハーサルも行っています。日米で初めてInternet2を使ったダンスに関する実験を行った時は時差0.5秒でした。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20050916

 3次元テレプレゼンス環境を使った極めて初期のラウンドテーブルを海外の舞踊学会で行ったのは2009年です。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090621

 テクノロジーの発達は急速で我々の活動を拡張していきます。2006年にはGoogle Earth携帯電話、Mapping技術を使ったプロジェクトもかつて行いました。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20081125)さらに2008年には日経BPによる近未来の建築に関する展示・コラボレーションプロジェクト「建築デモ」ではダンスを通じたコンテンツのデモンストレーションも行いました。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090503

 舞踊批評家とは万年筆で原稿を書くようなアナログなイメージがあるかもしれませんが、一連のプロジェクトをコーディネート、立案してきた経験からいうとフル・デジタルな環境へその活動の場がシフトしてきているということができるかもしれません。新世代のダンスとダンス・コンテンツの可能性と展望は広がってきています。

Ukiyo Lab

 現在、ブリティッシュカウンシルと国際交流基金の助成を得ることでUkiyoプロジェクトを進めています。これは「浮世」(Moveable World)ということをテーマにしてPractical Research*1として日本とイギリスを中心とする欧米のアーティストの間でトランス・カルチャルなメディア・パフォーマンスを作成していくプロジェクトです。作品の製作過程は全てハイパーテクスト状にオンラインに展開しています。

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日本とイギリスをテレプレゼンスで結んで作品制作のためのリハーサル・ライブセッション

(C)Ukiyo Lab

 コラボレーターのJohannes Birringer先生はアメリカの大学の舞踊学科に最初にモーションキャプチャーシステムを導入したことで知られているメディアパフォーマンスの研究者ですが、若き日はピナ・バウシュのヴッパタールに滞在しバウシュや舞踊団と交流を重ねて論文を書いたり、スザンネ・リンケといった戦後ドイツのダンスシーンをリードしたアーティストたちとの活動からPractical Researchという方法論を取ることで作品制作の現場と理論研究といったことを行ってきました。若き日にFilm Studiesを学んだ事もそのバックグランドにあります。大学での研究活動以外に自身のダンスカンパニーも持っています。このプロジェクトでもこの方法論で活動を行っています。

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(C)Ukiyo Lab

「浮世」とは”浮世絵”にも通じます。

Women of the Ukiyo-e (Dover Fashion Coloring Book)

Women of the Ukiyo-e (Dover Fashion Coloring Book)

近代西欧の多くの芸術家に影響を与えたことでも知られているアートですが、歌舞伎日本舞踊、そして俳句のような文芸とも接点が深いことでも知られています。東京はその中心的な位置を占める都市の一つです。

「浮世」は英語で"Floating World"という言葉で語られることもあり、浮いているというイメージを語る上で浮世絵で登場するクラゲのイメージなども(http://d,hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20100205)時折登場します。*2

本作品ではダンスとつなげて、「Moveable World」というタームを英語版のタイトルでは使用しています。

 

「浮世」東京はさらに21世紀の現代美術にもみることができます。

UKIYO―YOSHITOMO NARA

UKIYO―YOSHITOMO NARA

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一重に近現代の視覚文化の素材となってきたともいえるでしょう。

このプロジェクトでは21世紀の”浮世”をライブアーツを通じて探求します。洋舞のみならず、広く舞踊芸術として舞踊を見るということで邦舞にも連なる要素も中に見出すことができます。「観光文化」ではないですが日本を素材にしてコンテンツの国際共同制作を行ったともいうことができます。

 私自身はあるダンサーに「振付けたい」といわれて舞台で踊ったことがあります。初舞台横浜大倉山記念会館でした。その後、ドラマトゥルグまではいきませんが、矢作聡子の作品「La Trace」のコーディネーション(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20060801)、ボートハウスでのダンス作品のコーディネーション・キュレーション(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070527)などにも関わりましたが、本作品はコーディネーションをしてスロヴェニアで初演された作品(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20100605)といえます。

Ukiyo

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(C)Ukiyo Lab

2009年6月時点での概要:

Conceived and directed by Johannes Birringer, the choreographic installation features designs by the DAP Lab and performances by Katsura Isobe, Helenna Ren, Yiorgos Bakalos, Anne-Laure Misme, Caroline Wilkins, Olu Taiwo and Mamen Rivera. With Ruby Rumiko Bessho in virtual space.

Fashion design concepts and art design by Michèle Danjoux

Photography and interactive image composition by Paul Verity Smith

Videography by Johannes Birringer

3D d igital designs by Paul Verity Smith and Doros Polydorou

Original music composed by Oded Ben-Tal,

with live music performance by Caroline Wilkins

and Kerry Yong (piano)

Scenography by Johannes Birringer, assisted by Hsueh-Pei Wang, and lighting design by Mamen Rivera;

Assistant video camera/editing by Anne-Laure Misme. Audiophonics consulting by Phil Skins.

Virtual choreography and visual designs by Ruby Rumiko Bessho, Takeshi Kabata, Gekitora, Hidenori Watanave (Tokyo Metropolitan University) with partnership coordination by Yukihiko Yoshida and research cooperation by Miki Wakamatsu.

Guest artists: Elegant Child, Keiko Courdy, Michael Takeo Magruder, Danielle Wilde.

The music and visual choreography for "Ukiyo" are designed for interactive, real time gestural sound synthesis which also animates the digital projections and generative algorithms which interconnect with the physical space and the performer movements.

"Ukiyo" is based on a fundamental exploration and precise study of gesture and emotional expression within an interactive system environment that provides space for personal expression intensions yet also requires "performer techniques" and calibrations for the accentuation of kinaesthetic and kinaesonic gesture, movement and action.

この作品は

クリスティアン・クラハト(Christian Kracht)の小説 "Ich werde hier sein im Sonnenschein und im Schatten"も翻案しています。

D

クラハトのこの作品はTheater Baselも2010年に演劇化しました。(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20101007)


プロジェクトは電子メディア空間を通じてどんどん成長をしています。作品とその製作過程に関するドキュメンテーションや新しい情報は下記のサイトから読むことができます。

Projectサイト:

http://people.brunel.ac.uk/dap/ukiyo.html

プロジェクトメンバーのBlogもネット上に展開しています。(日英相互リンク

http://people.brunel.ac.uk/dap/ukiyo2.html

活動の記録:

私は5月2日から7日まで最初のワークショップに参加するためにロンドンに滞在しました。ロンドンでは現地の大学に滞在したのですが、朝から晩まで作品制作を目標としたワークショップをアーティストや研究者たちと行いました。

ワークショップの様子:

http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090506

2009年5月2日から7日までのブログはその時のブログになります。

その作業を経てで作成をした作品の最初のバージョンが2009年6月にイギリスで初演されました。http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20090506

その作品映像です。

http://people.brunel.ac.uk/dap/ukiyo_preview.html

2009年12月には東京ワークショップを行いました。Johannes Birringer先生の初来日でした。

http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20091203

12月9日は様々なゲストを迎え、欧米、日本のみならずシンガポールオーストラリアといったアジア研究者やアーティストたちと一緒にオープン・ミーティングを東京慶応大学三田キャンパス)で開催しました。

http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20091209

2010年には6月にロンドンワークショップを行いスロヴェニアでも公演を行いました。

http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20100605

その後、最終的な公演を2010年11月に英国Sadlers Wellsで行いました。

この公演の映像はネットで見ることができます。

http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20101222

*1:Practical ResearchとしてはPARIP:Practice as Research in Performanceというプロジェクトに関係するカンファレンスで2006年9月に発表も行っている。

*2:余談になりますが、この作品にも連なってるような部分がある大野一雄先生の追悼イベントのときはクラゲが海辺にあつまりの「クラゲのダンス」というエピソードのようだという話になりました。http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20100717