「シリーズ日本近現代史? アジア・太平洋戦争」(はてな年間100冊読書クラブ 24/100)

アジア・太平洋戦争―シリーズ日本近現代史〈6〉 (岩波新書)

アジア・太平洋戦争―シリーズ日本近現代史〈6〉 (岩波新書)

  • 理解不足の近現代史パートを、振り返るシリーズ

現在岩波新書から発売されている、
この「シリーズ日本近現代史」シリーズ、
私は1巻目から読んでいますが、
岩波新書だけあって、新書でも割としっかりと
まとめられています。昨年末に「歴史能力検定」を
受験した時に、高校の授業では駆け足で進んだこともあり
知識不足で得点が伸びなかった、近現代史のパートを
改めて振り返ってみたいという思いもあり、
本シリーズを手にとって読み始めています。

  • 戦争は風化‥しないかも‥

今回の6巻目は、近代日本にとって
最大の出来事とも言える、太平洋戦争を取り上げています。
戦争から時が経ち、戦争を経験していない世代が
増加することによって、戦争が風化してしまう風潮に
あることが問題になっています。
もちろん私も、戦争を経験していない時代です‥(^^;)
一方で、日本は、中国や韓国をはじめとする
アジア諸国との間で、戦後処理問題を
ずっと引きずっていますよね。靖国神社問題しかり‥
そういう流れを考えると、戦争が風化するということは
あまり考えなくても良いのかな、という感じはします。
ただ、「真実を知っている人」は、
当然今後は少なくなる一方ですから、
感情などに流されず、真実を語り続けていく姿勢を
続けて行きたいな、という感じはします。

  • 被害者でもあり、加害者でもある日本

本書では、対米戦に焦点があたりがちな
「太平洋戦争」という表記ではなく、
戦争の最大の被害者はアジア各国だった、ということで
アジア・太平洋戦争」という表記を使っています。
戦争では加害者でもあり被害者でもあった日本、
大空襲や原爆投下など、どうしても被害の面に
目が向きがちになってしまいますよね‥
私もどちらかというとそういう面があり、
太平洋戦争の経緯を記した本書を、興味深く読みました。
泥沼化していた日中戦争、そして英米に対する開戦、
そして総力戦でアメリカにかなわず、
徐々に追い込まれていく様子が描かれています。

  • 陸軍主導の戦局、海軍側の無念はいかばかりかと‥

本書の中心人物は、戦犯の代表人物とされる
東條英機元首相ですが、東條首相は天皇への忠誠心が
厚かったとか、個人的には少々意外なエピソード
だったりもしました‥(^^;)陸軍と海軍とでは、
戦争の見通しが異なっていたこと、
そして陸軍出身の東條首相により、
陸軍側の主導・見解に基づいて
戦争が進められていったようですね。
英米(主に米国)を相手にすることの無謀さを
感じ取っていた海軍側の無念さというか、
戦争に挑む心持ちに思いを馳せたくなったりもしました。

  • 一般の国民、兵士の無念‥

もちろん、無念といえば亡くなった
一般の国民や兵士が一番ですよね。
国力不相応に戦局を広げすぎてしまい、
各地で補給路を断たれて取り残された兵士達が
無念の死を遂げていく様子が描かれています。
戦死ではなく、餓死で死んだ兵士も多かったそうですね‥
この本に記されている戦況を見ると、
情報戦に後れを取るなど、戦略・戦術という点で
日本が劣っていたことを改めて実感しました。
そして、戦争の理不尽さに憤りを覚えるとともに
現代の平和のありがたさを噛み締める思いがしました。
新書としては読み応えのあるほうだとは思いますが、
「太平洋戦争」について、手軽に知るには
最適の一冊なのではないかと思います。