松本保美編『シグマベスト理解しやすい政治・経済』(2008)


松本保美編『シグマベスト理解しやすい政治・経済』[改訂版]を読む。
佐藤優が推薦していた政治・経済の高校参考書を読みたいと思い、
新宿ブックファーストに探しに行った。


理解しやすい政治・経済(改訂版)

理解しやすい政治・経済(改訂版)


本のタイトルも著者、出版社の名前もすっかり忘れていたが、
腰巻の背に「起訴休職外務事務官 佐藤優氏推薦」とあって
すぐ見つけることができた。
発行元の文英堂には
影響ある人が推薦したチャンスを見逃さない目利きがいると見える。



さて、本書だが、
高校時代にさほど興味を持てなかった「政治・経済」を
もう一度整理し把握し直すのに大変役立った。
知っているようであいまいな知識が結構あるものだ。
例えば、アメリカ大統領と議会の関係についてこうある。


   立法権は議会が独占し、大統領には法案提出権もない。
   ただし、教書を送って、立法をうながすことができる。


なるほど、それで大統領はたびたび議会に教書を送るのか。
行政の長ではあるが、立法には直接触れない。
三権分立とはそういうことだったんだ。
基本的知識だが、僕の理解はあいまいだった。



ポイントとしてこうまとめてある。


   大統領は議会に対して、政治責任を負わない
   議会は大統領不信任の議決をすることができない
   大統領も議会を解散する権限を持たない


アメリカ大統領と言えば世界でも最高権力者であるのは間違いないが、
こと立法に関しては、自分の所属する民主党をベースに
議会の決断を粘り強く促していかなければならない訳だ。
オバマ大統領が理想に持つ法律が
そうそう簡単にできあがらないのもこれで了解できる。



知っている人には常識なのだろうが、
普段、新聞・雑誌・テレビでニュースを読んだり見ていても、
こうした基本の解説はめったにない。
最新データに基づき改訂されていることも心強いし、
明快に解答できない事柄についても
きれいごとで終わらせず、突っ込んだ解説をしているのが役に立つ。



ちなみに腰巻に採用された佐藤優の言葉はこうである。


  「この本を頻繁に活用している」
  「外交・民族問題の説明は、地方公務員上級職の合格水準に
   十分達している。」
            (週刊東洋経済2007.6.9号から)


社会の矛盾や困難を知り体験している大人ほど、
政治・経済の基礎を学び直すのはムダではないと僕は思う。
基礎を確かめずに自分の意見や考えを固めてしまう方がよっぽど怖い。


(文中敬称略)