手と足で気持ちを伝えた人、坂本進さん


TCC(東京コピーライターズクラブ)授賞式、
年鑑発刊パーティに出席した。
もう何年も欠席続きだった。
不義理している方にお目にかかったり、
ちょうどいい具合にその後の情報を入れてくださる方がいたり。
こうした場ならではの出会いがある。



今年は三人の先達がHall of Fame、殿堂入りを果たされたが、
その中に故・坂本進さんがいた。
坂本さんとは生前一度もお会いしたことはなかったが、
僕のコピーライターの師匠の一人である。
坂本さんが書き続けた小枠広告「ピックアップ西武」を集めた
小冊子は僕の教科書であった。
僕のチームに新人がやってくるとこの本を全部コピーさせ、
全文を筆写させた。写経と呼ぶ人もいる。



授賞式では坂本さんの奥さま、お嬢さまが壇上に立った。
パーティでお見かけしたので僕から声をかけ、
私淑していたことをお二人にお伝えした。


僕たち広告の世界も
少々頭と口が先行しすぎているようで気になる。
手と足が頭と口を支えなくては、
洞察もアイデア絵空事に終わる。
手と足で気持ちを伝えた人、コピーライター坂本進さん。
1982年逝去。享年45歳。