コインランドリーの片隅で学術書を読み込む


日中は10℃を超えるので、
この時期としては割合過ごしやすい。
駅裏のMの湯コインランドリーへ。
一週間分、ふたり分の洗濯物を
二つのカゴと大きめのバッグに入れて自転車で行く。


洗濯している間にベーカリー・ぷくがりでバタール(280円)、
魚卯でかます開き、あじ開き、紅鮭切り身(小計1,440円)を買う。
かますあじは一塩振って一夜干し。
呑むアテにも、ごはんのおかずにも重宝する。


ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―

ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察―


コインランドリーに戻って
洗濯から乾燥に衣類を移動する合間、
10分少々のことだが、読みさしの本を読む。
こうした隙間時間に読む本の一節は、
意外に頭に入ってくる。
アントニー・D・スミス『ネイションとエスニシティ』。
(原題:"The Ethnic Origins of Nations", 1986)
本文を読むのは三度目。
一度目、二度目で分かりづらかったところが、
今度は理解できる。



基本書と呼ばれるその分野の古典、重要文献は、
簡単に読み流すのでなく、じっくり取り組むことで
得るものが大きいことが実感として分かる。
池上彰佐藤優両氏の助言を参考に
2Bのシャープペンで重要箇所に線を引きながら読むと、
手から脳に信号が行く感覚を味わえる。



スミスが47歳で発表したこの代表作は、
昨年から10ヶ月間ほど、
同志社佐藤優講座の教科書として読み込んでいる。
ナショナリズムと宗教がどう関わり合って、
現在の世界に影響を与えているか理解するには
必読書なのだ。


大学の図書館でなく、
町のコインランドリーの片隅の椅子で
本格的な学術書に向き合う隙間時間は悪くない、と思う。


The Ethnic Origins of Nations

The Ethnic Origins of Nations

wikipedia:en: Anthony D Smith
(文中一部敬称略)