廣松渉『今こそマルクスを読み返す』(1990、講談社現代新書)


大澤真幸『<問い>の読書術』をシェルパとし、
廣松渉『今こそマルクスを読み返す』を読む。


今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)


大澤の道案内はこんな風だ。


   廣松渉の著作は難解だとよく言われる
   (ほんとうはそんなことはなく、
   難しい漢字で表記された概念は
   明晰に定義されているので、
   慣れてしまえば、廣松の本はとりわけ明快なのだが、
   とにかくしばしばそのように言われてきた)。
   しかし、本書だけは非常にわかりやすい。
   今風に言えば、いわゆる「超入門」のようなものである。
   (p.61)


<問い>の読書術 (朝日新書)

<問い>の読書術 (朝日新書)


確かに廣松の使う言葉遣いは独特で
慣れない間は実にゴツゴツして読みづらい。
けれども味読していくと、
わざと読みづらく書いているのではなく、
言わんとすることをより精確に書くため
言葉を選んでいることが分かるようになる。


   今日の観点から見て、最も読む意義が大きいのは
   「『資本論』で言いたかったこと」という第2章であろう。
   世界最高のマルクス読みが、『資本論』(第1巻)の肝はここだ、
   と教えてくれているのだ。
   マルクスを読んだことがない人にとっては、
   これほど勉強になる章はない。
   (p.62)



確かにそうだった。
しかし、本書が大澤の言うように廣松の「超入門」なら
他の著作は結構苦労するだろうと思った。
だって、本当に取っつきの悪い言葉使いなのだから。



(神保町で全5巻3,240円で手に入れた高畠訳『資本論』第1巻)


大澤の本をシェルパにして廣松を読み、
廣松の本をシェルパにして高畠素之訳『資本論』に取り組む。
(高畠訳は思ったより読みやすい)
目下、マルクス山脈登攀に挑戦中である。
(遭難しないといいんだけどね)


wikipedia:廣松渉
wikipedia:高畠素之
wikipedia:大澤真幸


(文中敬称略)