佐藤優『牙を研げ』(2017、講談社現代新書)


佐藤優の講義録はおトクである。
たった一度の講義のために綿密な講義ノートを作り、
受講生の前で話した内容がわずか840円(税別)で手に入る。
佐藤優『牙を研げ—会社を生き抜くための教養』
(2017、講談社現代新書)を読む。


森清の著者ポートレートが素晴らしい)


目次はこうだ。


   まえがき
   第一章 中間管理職のための仕事術
       —独断専行の研究
   第二章 ビジネスパーソンのための宗教入門
       —国際社会を動かす論理を体得する
   第三章 論理力を鍛える
       —論理的思考法の身につけ方
   第四章 教養としての地政学
       —国際ニュースの読み方
   第五章 貧困と資本主義
       —商品社会のカラク
   第六章 ビジネスパーソンのための日本近現代史
       —なぜ学び直さなくてはならないのか
   第七章 武器としての数学
       —組織力を高めるために
   おわりに 体験的読書術


すべての章に文献ガイドが付いている。
自分が興味を持った章、持続的勉強を必要とする章は
さらに深く広く学べるテキストブックになっている。



本書は東京・大手町で開かれた以下の2講座をもとに、
佐藤自身が大幅に加筆・修正をおこない、まとめた。


   (1)社会人のための使える教養(全5回)2016.1-3
   (2)ビジネスパーソンのための新書読書術(全5回)2016.8-9


平日7時30分〜8時30分に行われ、
受講費は各回10,000円(税別)。
佐藤と受講生の心地よい緊張感から、
またひとつ素晴らしい講座が生まれたことを
一読者として喜びたい。


108,000円の講座のエッセンスを907円で学べるのは
小さな財布で暮らすシニア市民には本当にうれしい。
中身がスカスカな新書が出回る時代に、
新書がこれだけ濃い内容を伝えられることを証明した。
講談社と佐藤の企画に感謝する。


(文中敬称略)