運営費交付金傾斜配分拡大、文科省の見識は?


スクラップブックから
朝日新聞2018年12月14日朝刊
国立大 vs. 財務省
運営費交付金 傾斜配分拡大巡
教育界が特別との考えやめて


   国立大学の運営費交付金をめぐって
   財務省と国立大学の対立が激しさを増している。
   財務省は改革を促すため、
   傾斜配分をする「重点支援枠」を
   来年度予算案で今年度と比べて3倍以上に広げ、
   全体の10%にしようとしているが、
   国立大側は「教育力や研究力が崩壊する」と強く反発している。
   (略)


   11月中旬、財務省2階の会議室で怒号が飛び交った。
   大声を上げたのは、国立大学協会長の山際寿一・京都大総長と、
   国立大改革の旗を振ってきた財務省主計局の神田真人次長だった。


   発端は、10月の財政制度等審議会の分科会で
   財務省が、改革の進み具合に応じて傾斜配分する重点支援策を
   今年度の約285億円から1千億円余りに増やしたいと提案したこと。
   人件費などに使われる、運営費交付金の10%にあたる金額だ。
   (略)


   当日、山際氏は財務省のデータを
   「意図的にねじ曲げた資料が多い」と批判。
   神田氏が「教育界だけが特別だと考えるのは、
   やめた方がいい」と述べると、
   山際氏は「あなたは教育を本当にわかっているのか。
   教育界の成果である人を製品のように扱うなんて」と語気を強めた。
   神田氏もバンと机をたたき、声を張り上げた。
   「ばかにしないでください。製品なんて言っていないじゃないですか!」
   (略)


   国大協幹部の間では
   財務省に対する文科省の態度が弱腰に映り、不満もくすぶる。



国立大の改革については
国と大学の間でコンセンサスが取れていると
僕は認識していない。
そんな状況で金を握る国家(財務省)が
「重点施策枠」の比率を高めるのはあまりに一方的で
学問の自由自立にとって危険だと思う。


神田次長は財務省責任者として
文科省幹部を交えた話し合いの場につく義務はあるだろう。
でなければ、国と金を背景に
教育界を恫喝しているように見えてしまう。
文科省からは未来を見すえた、骨のある見識を聴きたいと思う。
あなた方は第三者の立場ではないのだから。