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2014-11-05

NO.6 砂の器 野村芳太郎

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70年代を代表する社会派ミステリーの傑作。

野村芳太郎監督「砂の器」

原作は日本のミステリー界の帝王、松本清張。
脚本は大御所、橋本忍と山田洋次。
出演は、丹波哲郎、森田健作、加藤剛、島田陽子などなど。
そして、クライマックスを彩る名スコアは著名な音楽家、芥川也寸志。

モスクワ国際映画祭の審査員特別賞作。
ネタバレは少なめ。

映画「砂の器」

ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。
被害者の身許が分らず捜査は難航した。

しかし、事件を担当した今西、吉村の両刑事の執念の捜査がやがて、ひとりの著名な音楽家・和賀英良を浮かび上がらせるが…
(あらすじ by allcinema)


本作はミステリーとしての面白さももちろんあるが、どちらかというと社会派というくくりにあたる。
なぜなら、本作においてなによりも重要なのは、どうやって罪を犯したかではなく、どういう理由で罪を犯したというところにあるからだ。
方法論ではなく事件の背景にある動機を暴くことに重点が注がれる。

物語はひとつの殺人事件から始まる。
男は身元からして不明であり、唯一の手がかりとして男が誰かと話していた「カメダ」という単語と東北なまりであったことだけが手がかりだ。
ここで登場するのが今西、吉村の両刑事。
なんと、今西を丹波哲郎、吉村を森田健作が演じている。
二人とも若い!そしてイケメンなのに驚かされる。

二人は東北に手がかりを探しに行くが見つからない。
そのうち言語学者からの情報を元に、東北弁なまりを持つ出雲地方の亀嵩という地名を発見。
さらに被害者がこの地域で昔警官として勤務していた事までは突き止める。

二人の刑事が活躍する序盤はテンポもよく、見ていて楽しい感じ。
まあ、カメダという言葉を地名と考えて、実際地名だったというのは若干無理がある気もする。
カメダって普通に考えると人名だ。
今なら企業名だってありえる。

この二人の刑事の捜査と同時進行である新進音楽家・和賀英良の物語が語られる。
和賀は音楽家としての成功を目前にしている。
婚約者は元大臣の娘で、自分に対して金銭的な援助を確約してくれている。
次のコンサートの協賛も買ってくれている。
だが、重いプレッシャーに苦しむ和賀は別に女を囲い妊娠させてしまう。

こちらの現代劇は非常にベタな物語で記号的ですらある。
正直な話、このあたりで彼が犯人である事は誰の目にも明白となる。
しかし、本作は犯人探しを主眼においておらず、さらには殺人のトリックでもない。
やがて、二人の刑事の捜査と和賀英良の物語が一つに交わる瞬間が訪れるが…

もう一つ突っ込みどころとしては、和賀の出自とピアニストという職業にある。
かなり芸術性の高いクラッシック音楽家という設定なんだけど、ピアニストって幼少期の音楽環境と血統が全てだったりするから、この主人公の場合、絶対にクラッシック系のピアニストなんかになれないと思う。
この脚本の致命傷でもあるな。
なんて突っ込みつつも、この映画普通にそうとう面白い。

結局、事件は主人公の暗く悲しい過去が動機となり、偶然引き起こされた事件に過ぎなかった。

そして、事件の背景にはこの日本の国が昔持っていた後ろ暗い排他的な政策などがあった。
タイトルの「砂の器」とは、おそらく主人公が子供の頃の記憶の象徴。
病に冒された父親とともに無一文で世間と立ち向かい、打ち拉がれて鄙びた海辺にたどり着いたときの思い出。
ひとりぽっち砂浜で作った「砂の器」は、入れるものを持たない貧乏暮らしの象徴であり、すぐに崩れる事必至な夢の象徴であり、たったひとりの肉親である父親との思い出の象徴だった。

どんな大きな事件もどんな小さな事件も結局のところ、その前後の文脈の中でこそ真の意味を持つ。
事件は現場だけで起きてるんじゃない。
それがこの映画のミソ。

なかなか見応えのある社会派ミステリー作品だと思う。


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