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2013-12-04

ex.25 インド映画「きっと、うまくいく」喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、全部入りの感動作!!

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喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。
映画の面白さのすべてが詰まった3時間。

こんなにも心揺さぶられる作品にお目にかかることも滅多に無い。

インド国内で映画歴代興行収入1位はもとより、世界中で大ヒット。
もちろん日本でも単館系での上映ながらロングランを記録した話題のインド映画「きっと、うまくいく」!

劇場に行こう行こうと思いながら行けずにレンタルとなりました。
主演のアーミル・カーンはインド最高の大スターで、本作出演時はなんと44歳。
2010年インドアカデミー賞では作品賞をはじめ史上最多16部門を受賞。
スティーヴン・スピルバーグは「3回も観るほど大好きだ」と絶賛。
ブラッド・ピットも「心震えた」とコメントした。

まだ観てない方がいましたら絶対に観ることをお勧めします。
少なくとも、こんなマニアックな映画ブログに来てくださる方々のお目に叶うこと間違い無し。
死ぬまでに絶対に見たい映画とは、このような作品のことを言うのかも知れません。

できるだけネタバレしないように書いていますので、分かりにくい文章表現が出ます。
ぜひ、映画を見てから読んでね!
と言うか、
映画見てない人はこの先読まないように!!
本当に必見なんですよ!!

映画「きっと、うまくいく」

大学時代親友同士だったファルハーンとラージューは、ある日同窓のチャトルから母校に呼び出される。
チャトルは二人に、ランチョーというかつての学友の消息がつかめた事を話し、探しに行こうと持ちかけるのだった。

10年前、インド屈指の難関工科大学ICE(Imperial College of Engineering)。
それぞれに家庭の期待を受けて入学してきたファルハーンとラージュー、そして自由奔放な天才ランチョーの三人は寮でルームメイトとなる。
何をするにも一緒の3人はしばしばバカ騒ぎをやらかし、学長や秀才だったチャトル等から"3 idiots"(三バカ)と呼ばれ目の敵にされていた。

物語は10年前の大学におけるエピソードと現代のランチョーを探す3人の旅を織り交ぜながら、やがてファルハーン達も知らなかった彼の秘密に迫っていく…

(あらすじ by wiki)

「人生は競争だ。勝つか負けるか。」
そんな人生訓を持つ学長が運営するインド屈指の難関工科大学ICEに今年もまた新入生達がやってきた。
カメラマン志望を隠し両親の希望するエンジニアを目指すファルハーン。
貧乏な実家の期待を一身に背負う臆病な男ラージュー。
そして、自由奔放なランチョー。
三人は寮でルームメイトとなり、バカ騒ぎをやらかしながら学園生活を送る。

特にランチョーは規則や規律からはみ出し、新しい考えに取り憑かれ、それを実行にまで移し、周囲から疎まれている。
それに付き合う親友二人もまた、自身の出自などに左右されながらも影響されてゆく。

実は少し前に自分もインドの片田舎をふらふらしていた事もあって、かなり興味深く映画を観る事が出来た。
ちなみに、その時の話は別のブログにいろいろ書いたりもしているので興味がある方はそちらでどうぞ。
世界の旅の記録

全然関係ないけど、オープニングの山道が日本の熊野に似ていて驚いた。
私が行ったインドはもっと田舎の町だったので、ずいぶんときれいな田舎道で変に感心してしまった。(映画なんでその辺は特別なのかも)
そして、登場人物もかなりインテリ層が集まった映画になっており、海外の他の国でも受け入れやすくなっている。
正直、本物のインド人達はこの10倍はキャラが濃い。

映画は3バカトリオがバカな学園生活をおくる話が中心となっているのだが、それと同時に教育のあり方や、インド社会を覆う拝金主義への穏やかな問題提起がなされている。
特に3バカトリオを目の敵にする学園長と秀才の同級生とのおもしろ小話が盛りだくさんあり、見ている人を飽きさせない。
インド映画にしてはミュージカルシーンが少ないのでそれは少し残念だった。
あと、失笑を誘う効果音(ポヨヨ〜ンみたいなの)もどうかと思うが、そんな事忘れさせてくれるほど熱く、エネルギッシュなストーリーだ。

3バカは学長に退学を何度も命じられながらも、そのエネルギッシュというかその場しのぎで乗り切ってきた。
しかし、後半ラージューが退学を命じられ、飛び降り自殺を図り、植物人間になるあたりから少しずつ話の内容が真面目なものになってくる。
なんとかラージューは回復し、見事就職試験にもパスするが、学長は嫌がらせのように超難問で卒業試験をパスさせないように企てる。

ランチョーとファルハーンは親友のため、前夜、試験用紙を盗み出そうとするが見つかり今度こそ全員退学となる。
荷物を背負って大学の寮から出て行く三人。
しかし、その日は大雨でデリーの町は浸水し、学長の身重の娘が破水寸前にも関わらず、病院にたどり着く事が出来ない。
そこをたまたま通りかかった3バカは…
って書きたくなるけど、止めときます。
絶対、ご自身で見てください。

この映画を見て思う事は、自分にとって大切なことは何かを常日頃から考えておく事が重要なんだと思う。
それは、情熱を持てるものは何かを考えておく事だし、自分自身にとっての成功とは何かを知っておく事にもつながる。
そして、その成功の為には何かを捨てなければならないときもある。
でも、その価値観に従わなければ自分が不幸になるならば迷わず捨てる。
もちろん、出世を成功(勝利とも言える)とみるなら出世を目指す。

要は、人それぞれ違う価値観を持っている事。
その価値観が尊重される社会こそ目指すべき社会なのではないかと言う問いかけがある。
クライマックスで学長とランチョーが和解するシーンの感動はそう味わえるものではない。
価値観の違う人間同士がわかり合える瞬間の美しさだ。

ラストシーン、親友を追いかけて辿り着いたインドの秘境ラダックの山と湖の美しさ。
いや、それ以上に、別々の道を歩き出した友人達の邂逅は、人間の持つ感情の美しさを思い起こさせてくれる。

フラッシュバックのように、ある言葉が私の頭をかすめる。
私の持つおんぼろのトートバックにこんな言葉が書かれている。
「adventure is not a race.(冒険は競争ではない)」
その言葉とともに群れから離れた魚が一匹泳いでいる。
「自分の人生の価値を他人に決めさせてはならない。自分で決めろ」
そんな言葉が思い浮かぶと同時にラダックの白い山脈に谺して消えた。

必見の感動作でした!


【長い長い追記】
いろいろ良い事ばかり書きましたが、一夜明けたので言い訳がましく追記します。
この作品、人によっては勧善懲悪的な内容が鼻につくかもしれません。
これはインド人と、私たち日本人の経済、文化、宗教、そして感覚の差から来るものだと思います。
インドでは、今でもまだ映画は圧倒的な庶民の娯楽の地位についていました。(少なくとも私が見た限りは)
そして、庶民のほとんどがいまだにテレビはブラウン管だし、持っている人も限られます。
この映画で描かれている生活スタイルは本当にトップ層ですし、出てくる人物は超エリートの卵で、日本に置き換えると東大生です。

特に理数系はインド人が圧倒的に得意とする分野なので、世界レベルで見ると東大よりレベルが高いはずです。(多分、モデルはインド工科大かと…)
そういう目で物語を見ると、エンジニアになるのを辞めてカメラマンになろうとしたファルハーンの葛藤がより強く、深く感じられると思います。

それから宗教。
インド人にとって宗教は日本人とは比にならないほど重要性があります。
庶民のほとんどが敬虔なヒンドゥー教徒で、日常生活の中で、せっせと近くの寺に通います。
作品内で学力テスト前に神頼みしておりましたが、これは全然リアルです。
もしかしたら、描き方が足りないかもしれないぐらいです。
なぜなら、先ほどあらすじ書く為に訪れたwikiによると、この作品の主人公を演じた(プロデューサーでもある)アーミル・カーンは、イスラム教徒の出なので、おそらく他のインド映画に比べて宗教色が薄くなっているのだと思います。
アーミル・カーンはインドでは超スーパースターらしいので、彼の意向が働いたのかもしれません。

インドの秘境ラダックについても象徴的です。
ラストの白い山脈、蒼い空と湖はインドの辺境、そしてインドとパキスタンと中国が国境を争う紛争地でもあります。
さらには国を持たないチベットの文化圏にあたります。
この地で起こるラストの邂逅は、見る人によってはいろんな感情を抱かせるに十分です。
上記4ヶ国は全て宗教が違います。
インドはヒンドゥー教、パキスタンはイスラム教、中国は仏教、チベットはチベット仏教です。
このような隠れた文化的衝突の面白さみたいなものが、この映画にはメタファーとして放り込まれているのです。

それからダンス。
私がインドを旅している最中、深夜の長距離バスの中で眠い中、イヤというほど見させられた映画群と比べると圧倒的にダンスシーンが少ないです。
本場のインド映画はイヤというほど、感情が高ぶるたびに踊り狂います。
まるで、動物の求愛ダンスみたいな感じです。
そのあたりに関してはインド映画にしては薄口な感じがしますので、好き嫌いは別れるところかもしれません。

でも、この作品にはテクニックとは別の、明確な、「これを描きたい」という力強い意思があります。
それこそが、この映画の中で最も重要なテーマの一つ「情熱」です。
インドは文明国に比べて未成熟なためか、人間と人間のぶつかり合いが頻繁に起きます。
その点に関しては、「あ、うんの呼吸」の日本と比べるとはるかに無駄な感じもします。
しかし、そのぶつかり合いから飛び出してくる火花のような「熱」。
それこそが新しい時代を作り上げてゆくためのエネルギーになっているようにも感じられました。
この映画を見て、そして自分で旅をしたインドの風景を思い起こしながらそんなことをぼんやり思いました。

インドからの「放熱」を受け止め、日本を日本人の力で変えて行こう、そんな気分にさせてくれる映画「きっと、うまくいく」。
必見ですよ!!


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