セバストーポリ

ヤルタから車で二時間。セバストーポリはソ連時代からの重要な軍港。クリミア戦争の戦地をジオラマでリアルに経験できる博物館などいろいろ施設も訪問したが、一番印象に残ったのは、ソ連時代の潜水艦秘密工場。

ナチスドイツが必死に探しまわったが、見つけられなかった由。

それは、小さな湾内の入り江の崖の途中に、ひっそりと口を開けていた。

入口から潜水艦の水路に沿って奥に奥に入っていく。外の春の日差しが嘘のように、真っ暗な中、はるか先まで続いている水路。

実際の工場までは入れなかったが、あまりの静けさと不気味さに粛然となる。

戦争とはすごいものだ。よくこんなものを崖の奥に掘ったものだ。

30分あまり、暗い水路をうろうろしていると、息苦しくなってきた。

外に出て、潜水艦の出口を、上空から覆い隠している橋を渡っていたら、粗末な鉄板があった。よそ見をしながら歩いていて、思わずその粗末な鉄板を踏んでしまった。足元を見ると、鉄板の30メートルくらい下に、水路が見えた。橋の途中に出来た大きな穴をこの鉄板が隠していたのだが、ただ被せただけで余りに無造作だったので、ずれていたのだ。

やれやれ、戦争史跡の見学は命懸けだ。

「このあたりはクリミア戦争の時にナイチンゲールも働いたところですよ」湾内に残る砲台跡を説明しながら、ガイドがそう言った。

写真 上 工場入口
   中上 内部
   中下 出口
   下  湾内に残る砲台