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こころなきみにも

2010-06-15

ゼロ年代の50冊 

| 10:27

 朝日新聞の「ゼロ年代の50冊」というシリーズで亀山訳『カラマーゾフの兄弟』を扱うというので、投稿した。

 このシリーズでは、編集者が大岡越前みたいに最後にお裁きを下されるきまりになっているらしい。まず大岡様がご自分の考えに合う投稿を並べ、最後に、自説だけでは困るので、ピリッとわさびを利かせるため、自説に批判的な投稿もひとつ(ひとつだけ)紹介し、しかし、そんな批判は無視しながら(「指摘の正否はおくとして」などと述べながら)、最後に自説に合う投稿を紹介してオワリ、というきまりになっているらしい。この前の柄谷行人のときもそうだった。

 誰が読んでも、この欄でいちばんエライのは編集者だと思うだろう。何のために投稿を募集するのだろう。投稿など募集せず、自分でチョウチン記事を書けばいいだろう。読者を利用するな。

 朝日新聞というのは他のジャンルではまともな記事も多いのに、読書欄の近藤康太郎の書く記事には一貫して何の知性も感じられない。近藤というのは、社交的なだけが取り柄の馬鹿なのだろう。

 朝日新聞の中にもたくさんタコツボがあって、そのタコツボ同士で批判しあうことなどないのだろう。朝日も終わりだ。

 その近藤の書いた記事(「ゼロ年代の50冊.pdf 直」)と、私の次の投稿原稿を読み比べてほしい。私のいちばん言いたかったメディア批判が見事に無視されているのが分かるだろう。朝日新聞、いや、近藤康太郎がいかに読者を馬鹿にしているのかが分かる。

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超訳」にすぎない亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』がベストセラーになったのは、メディア(朝日新聞、毎日新聞NHK集英社など)の強力な後押しがあったためだ。このことは、たとえば太平洋戦争の頃と同様、今も、メディアがスクラムを組んで大衆を操作すれば、大衆はコロッと欺されるという事実を私たちに示している。戦慄すべきことだ。それに、メディアの宣伝文句に踊らされ、その超訳をつかまされた大衆の何割が全巻を読みとおしただろう。このような疑問を抱くのは、その超訳は読者による緻密な読みを拒否するものでもあるからだ。ドストエフスキーの作品だけではなく、文学作品は筋を追うだけでは面白くない。緻密に読んで初めてその面白さが分かる。従って、文学作品の翻訳は日本語として条理の立った読みやすいものであると同時に、緻密なものでなければならない。超訳『カラマーゾフの兄弟』はこの二条件のいずれも満たしていない。

金啓子金啓子 2010/06/15 18:46 萩原先生へ

 その記事は読みましたが、こうして全文を読んではじめて意味が通じます。朝日の、さも、公正を期すかのような姿勢に失望しますね。
 先日、レオーノフの「ロシアの森」を読もうと、アマゾンに注文したら、木村浩著の随筆「ロシアの森」が届きました。1979年の古いものですが、著者は、何回もソ連の時代に渡航しているだけあって興味深い著述があります。そこで、気になる、というか、すでに翻訳の限界を感じておられたのか、
「ドストエフスキーが世界文学の中で不動の地位にあるのは揺るぎないが、ソ連においては、その時々の政府の意向によって変わる。これほど広範に読まれ愛されている文学だが、しかし、ドストエフスキーはロシアの作家であるという一点は見過ごされてはいけない。わが国で氾濫しているドストエフスキー論の筆者で、ドストエフスキーをロシア語で読んでいる方はほとんどいないのではないか? ドストエフスキーの世界性を認めた上でも、やはりこれは、相当深刻な問題であるといわねばならない」とあります。訳者がそういうのですから、もっともなことです。今はその時代と違って相当数のロシア語で読める人々がいることでしょうが、と言うことは、いかようにも翻訳をねじまげたところで、読者は気がつかない、ということです。亀山氏の詐術がつけ入る隙があったということでしょうか。今や、英語などは日本語と同じくらいに理解できるようになっていますから、ロシア語もそのうち誰もが(というのは無理としても)理解できるようになる日が来るとすべて白昼のもとに晒されますね。

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