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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

4月から新社会人となる人へ

3月中に公開できるように、と少しずつ書いていたらちきりん先生に先に書かれてしまった。


いろいろとアドバイスできることを書いてみます。「俺、何様だよ。」という感じだが。

本を読むこと

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ*1

という言葉もある通り。経験だけに学んでいると知識範囲が絞られるので、経験していないことも本を読んで学んでおこう。電車通勤の人も多いだろうし、電車内では読書を習慣にしてしまうのをおすすめする。
特に、一般的なビジネス書は入社したら早い段階でひと通り読んでしまうのがいいと思う。入社直後は比較的時間に余裕があることに加え、これからずっと役立つ知識/スキル/習慣は身につけるなら早いほうがいいだろうという点で。ドラクエだと、スクルトかけるなら最初の数ターンのうちにやってしまうと思うけど、それと同じ。
書店に行くと、ビジネス書が山のようにあるが、表現こそ違えど書いてあることの本質はどれも似ている。なので、どの本を読むかは、書店で眺めて読みやすそうなものを選べばいいと思う。

会社を知ること

社史なんかは研修でも学びそうだけど、会社の図書館においてある社史にはもっと詳しく書かれているし、会社について書かれた本を読めば第三者的視点からの情報が得られる。Wikipedia も「これ中の人が書いただろw」という程度には情報が充実してる。

あと、中の人*2が書いた半生記的な本を読むと、今後どういう会社生活を送っていくのか参考になると思う。

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

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グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

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当事者意識をもつこと

1.自立しよう!


(中略)


仕事の上でも、できるだけ早く自立しましょう。上司がいなくても、先輩がいなくても、なんとか仕事がこなせるように。必要な知識やスキルを貪欲に吸収して、早めに一人前になりましょう。


あー、たしかに。早く一人前になるには、全ての仕事を当事者意識を持ってやるのがいいと思う。
じゃあどうすれば当事者意識を持てるかというと、「先輩や上司が会議に出られないとしたらどうするか」を想像するのがいいと思う。別の用事が重なったり体調不良で先輩や上司が打ち合わせに出られないというのは現実的にも全然起こり得る話で。
先輩・上司が不在の際にも会議中に質問に答えるには、自分の担当外も含めて業務内容を網羅的に知っておかなければいけない。何かを判断するには、何が重要でどういう方向へ向かっていて何が妥協できるのかを知っておかなければいけない。これくらいの意識を持って取り組んでおくと、九州スピードは上がると思う。

やりたい事を主張しておく

やりたい仕事、専門を生かした仕事に携わることができると、仕事上手く進められるし、やりがいもある。でも、「それ、学生時代にちょっと関わったことあるから、自分に降ってこないかなー。」と思って待っていても大体は降ってこない。

仕事振る側も、できることならうまく進められる人に振りたいと思っているはず。なのだが、誰が何をやりたいのかも、誰の専門が何なのかも知らないので、うまく振れない。

「自分にあの仕事じゃなくてこの仕事が降ってきているのは、きっとこういう意図があるからだ」などとあまり深読みせずに(意図がある場合もあるが、ない場合もあるし、意図と結果が合うとも限らない)。「それ、やりたいです」と言えばもしかしたらできるかもしれないので言ってみればいいし、やりたいことがあるなら普段からどんどんアピールしておくといいと思う。

専門にこだわりすぎない


「今まで君たちがやってきた研究はゴミみたいなもんだから〜〜」


これは新人研修の際に、実際に言われた言葉だ。この言い方はさすがに酷い(今でも酷いと思っている)のだけれど、言わんとすることはわからないでもない。修士卒だと3年間くらいかけて研究に取り組んできたわけだけど、同じ会社にいるにしろ違う会社にいるにしろこれから先30〜40年近く働くわけである。そう考えると修士の研究に囚われる必要はないのかな、と思う。

要領よく

プロキシやフィルターを通している会社だと、ブラウジングしようとするといろんなサイトに繋げることができなくて驚くと思う。でも、最近は便利なことに、スマホでテザ(ry




以上、本当に何様だよという感じだが、書いてみた。参考になれば幸い。

*1:初代ドイツ帝国宰相 オットー・フォン・ビスマルク

*2:中の人というか、元中の人の本。辞めないと書けないからねw

世界で勝負する仕事術

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

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これもちきりん先生 (@) に先に書かれてしまったーw


東芝フラッシュメモリの研究開発して、チームリーダとして営業したり工場立ち上げを引っ張ったり。その間にスタンフォード留学で MBA 取得と、論文博士で博士号も取得。そして東芝を退職して、東大で准教授をしている竹内 健 氏(@)の半生記。

この経歴だけでご飯3杯くらい食べられそうだが、ちきりんさんがタイトルを「エンジニア人生のリアル」としているように、すごく具体的な仕事内容が書かれていて、とても面白い。毎日通勤の電車(片道10分)で読んでいたのだが、続きがもっと読みたくて電車を乗り過ごそうかと思ったくらい(ぐっと耐えた)。

入社当時に全然日の目を見なかったフラッシュメモリの開発の話とか、チームが解散になっても会社に黙ってこっそり研究を続けて論文書いてたこととか、MBA 留学させてもらうときに人事部と揉めたこととか。フラッシュメモリという製品の特性上、みんな大好き Apple の話もちらほら。
博士に進学せずに東芝に入社すること、MBA 取ること、東大に移ること、すべて1日で決めたそうだが、なぜそう判断したかもきちんと書かれている。参考になります。

メーカーで研究開発してる人はすごく共感できる内容になってると思うので、ぜひ読むといいと思う。東芝で働いてる人ならさらに3倍くらい楽しめるはずw