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2009-01-22

知らなかった! 食生活の謎

01:20 | 知らなかった! 食生活の謎を含むブックマーク 知らなかった! 食生活の謎のブックマークコメント


なかなか面白い記事があったので、メタボ系研究室に籍を置くものとして補足エントリを書く。題名はホッテントリメーカーから持ってきたもので特に意味は無い。けど、知ってて損は無い知識だと思う。補足する記事は「もしかしたらあなたの人生を変えるかもしれない、やる気、集中力、簡単養成講座」disってるわけじゃないからね><
では、補足スタート。

脳は糖分で動いている。

うん、そのとおり。心臓から送られる血液は、BBB(blood-brain barrier;血液脳関門)というバリアを通過して初めて脳に入ります。血液中に流れる不純物が、人体の中で最も大事な器官といっても過言ではない脳にドバドバ入っちゃうと脳が壊れちゃいますよね。だから脳の前には厳しい「関所」が存在するのです。で、そこを通過できる栄養素はブドウ糖(グルコース)だけ、ということ。*1

次に

ブドウ糖は貯めておけない

これも正しい。正確に言うと「貯めておけない」じゃなくて「ブドウ糖の形で貯めるのは効率が悪いから、あえて貯めない」ですけど。人間を初めとする生物は何万年もの間、絶対的に食物の少ない環境で生き延びて進化してきたため、できるだけ栄養素を体に溜め込もうとします。*2
小腸から吸収された糖分や脂肪分は全て最初は肝臓に送られます。糖分(デンプンなど)とはグルコースのような単糖が数多く連なったものですが、吸収される頃には分解され単糖か二糖*3となっています。しかし、このままでは蓄積しにくいので、単糖を再び繋ぎ合わせてグリコーゲンとして肝臓に蓄積します。
しかし、上で述べたようにグリコーゲンで蓄積するのは効率が悪いのです。グリコーゲンよりも効率がいい蓄積物、それがにっくき「脂肪」なのです。どれぐらい効率がいいかというと、グルコース一分子からはエネルギーの素であるATPが32個しか出来ないことに対して、なんと脂肪酸一分子*4からは106個も出来るのです。圧倒的すぎるww*5
よって肝臓では、とりあえず分のグリコーゲンを合成すると残りの糖分は全て脂肪酸に作り変えるのです。そしてその脂肪酸は血液で体中にある脂肪細胞に運ばれて・・・三段腹が完成するというわけです。

ここまではすんなり。で、補足したい点はここ!

ブドウ糖が切れると脳は栄養を失い、死滅していきます。
そうならないために、脂肪より先に筋肉を糖へまず分解、
内臓へも悪影響がでてくるそうです。
これは体の機能を犠牲にしてまで、脳が緊急事態だということ。

賢明な方なら「ん??」と思ったのではないでしょうか。「効率のいいエネルギー源である『脂肪』をこのお腹に蓄えてるのに、どうしてこれを分解して頭に運んであげないのよ!!」と。上二つの説明を素直に理解するとそう思って当然でしょう。
しかし、そこが人体のフシギ、そうはならないのです。糖→ピルビン酸→アセチルCoA→ATP、また、脂肪→アセチルCoA→ATPは可能なのに、「アセチルCoA→ピルビン酸」は不可能なため、「脂肪→糖」は不可能なのです。でも脳では糖しか受け取らない・・。どうしよ・・。という最終手段として人体は「筋肉」を自食してアミノ酸を取り出し、それを原料としてグルコースを作り出すのです。つまりこういうこと。
f:id:yun__yun:20090124013901j:image
あまりにも分かりにくいですねwでも科学とはそういうものです(違
つまり脳以外で起こりうる「エネルギーの不足」なら「脂肪の燃焼」で対応できるのですが、「糖の不足」には「筋肉の分解」しか方法がないのです。なんだか理不尽ですね・・。

ここからは妄想だけど、人間以外の生物はそんなに脳で栄養を消費しないのかもしれない。普段摂取する糖で足りる分ぐらいしか脳を使用しない。人間は体長に比べて脳があまりに大きい。その分、使用するエネルギーも莫大なものとなる。脳の容量及び神経系の進化に代謝系が追いついていない、という解釈はできないだろうか。
―−ーーーーーーーーーーーーーーーここからネガコメ----------------------------
しかし、少しこの書き方には作為を感じますね。グリコーゲンはいくら「とりあえず分」といえども、一日分ぐらいは溜め込んでいます。つまり脳にとって、1日絶食するぐらいなら平気です。それを、「お腹が空いたら筋肉分解されるよ!」みたいな危機感を煽るような書き方で、すこしどうかな、と思います。確かに「嘘はついてない」けど・・。
後、やっぱりテレビはインパクトが必要だから、実験も分かりやすいのを出すんですよね。
それぞれ6人のグループの比較実験でどれだけの統計的有意差を主張できるのかと小一時間(ry
まぁ、信じるものは救われる。集中力とかは、特にそういうものなんじゃないかな。
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*1:ちなみに飢餓状態でグルコースが本当に無くなると、最終手段としてケトン体が栄養素として脳に送られます。そんな人は口からケトン臭(甘酸っぱい匂い)がします。ダイエットし過ぎてほのかに甘い匂いを漂わせている人は栄養が本格的に足りてません。要注意ですよ!

*2:その証拠として、血糖値を上げるホルモンはグルカゴンをはじめとして数多く存在することに対して、血糖値を下げるホルモンはインスリンの唯一種類しかない。

*3:単糖が二つ連なったもの。麦芽糖とかスクロースとか。

*4:ここではパルミチン酸

*5:どれぐらい効率がいいかというと、普通の人間でも、カロリー的には二ヶ月間の絶食に耐えうる、肥満の人なら一年間は大丈夫ぐらい。(もちろん水分や必須ミネラルなどは補給したとして。)

teruyastarteruyastar 2009/01/24 04:48 適切な補足ありがとうございます。

ご指摘のようにあの記事は番組にない説明を
僕がこうすればつじつまあうのでは?
とういうことを素人考えで作為的に付け加えており、
昨今の疑似科学と同じように叩かれるかもしれないことを承知で書いてました。

あえてそう煽ったのは、
「バランスの良い基本中の基本の食事がなぜそこまで大切なのか?」を
ためしてガッテンがほんとに理屈の上で解説してたのを本心から
より多くの人に知ったほうがいいと思ったことと、僕が間違うかもしれないことは、はてぶのみんなが指摘してくれることを期待したからです。

素人考えが外れてれば大恥ですが、
的確な反論をしてくれる記事もホットエントリーに上がって
最終的に残る最善の方法がみんなの共有知になれば良いと思ってます。

yun__yunさんの指摘は本当にためになりました。
僕も参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

teruyastarteruyastar 2009/01/24 05:11 それはそれとして、例えば僕は
空腹の時が空気さえもおいしいと感じられ、
鼻の通りもよくなり、気分的に調子良くハイになることがあるのですが、
これは1日分のグリコーゲンを頼りに正常な活動、、、、
つまり、極端に言うと1日1食きちんと取れば、
後の2食は抜いたり、もしくはミネラル補給だけで充分ということもありえるでしょうか?

番組ではそれだと、飢餓スイッチがオンになる。。
ということでしたが。。

yun__yunyun__yun 2009/01/24 10:19 コメントありがとうございます。
基本的に「試してガッテン」は間違っていませんし、
食生活の改善を実践して、いい効果があるならそれに越したことありませんよね。
薬学に身を置き、薬の作用機序を勉強すればするほど既存の薬をうさんくさく思ってしまい、プラセボ効果すら期待できない、という残念なことがあったりします。
もちろん、何も勉強せずにただお医者さんから処方された薬を飲むだけなのは論外ですが、
内情を知りすぎるのもまた逆効果ということですねw

論理的に言えば、一日に消費するカロリー分だけを摂取するのが一番体には負担がかからない生き方です。消化→吸収→代謝(→燃焼→酸化)というプロセスを経るだけで体はダメージを受けますので、 そのプロセスを最小限にすることは健康(長寿)にもつながります。適切にカロリー制限された環境の人の寿命が延びることも示されています。あの聖路加病院の日野原さんは自分の消費するカロリーを的確に把握して、昼ご飯ビスケット一枚だったりするようですね。
ただ、これはあくまで「適切な」というところがキモなので、素人判断でカロリー制限するのは危険です。拒食のダメージは非常に大きいので、専門医のもとで行いましょう。
結局teruyastarさんがおっしゃっているように「栄養的に偏らない食事をバランス良く規則正しく食べる(食べ過ぎない)」ということを遵守するのが一番ということだと思います。

teruyastarteruyastar 2009/01/24 14:12 >内情を知りすぎるのもまた逆効果ということですねw

ちょっと耳が痛いですw

>論理的に言えば、一日に消費するカロリー分だけを摂取するのが一番体には負担がかからない生き方です。

そういえば、いろんな番組でカロリー制限のマウスが長生きしたとか、長寿の人で粗食の人多いとか見たことあります。(理論的にも大食で長生きの人はいないのかな?)

生きる伝説の日野原さんが、ビスケット一枚かあ、、、、
プロフェッショナルという番組で
朝食に大さじ一杯の油をとってたり、
食べたい会食のときは好きな物をきちんと食べて
翌日や、明後日でカロリー調節をするとか、
無理しないローカロリー生活もさすがだと思いました。


>素人判断でカロリー制限するのは危険です。拒食のダメージは非常に大きいので。

専門医の友人が欲しいぐらいですw
拒食にならないためにも、きちんとカロリーを取るということですね。

hiro_chhiro_ch 2009/01/24 22:25 はじめまして。
僕は薬科大の3年なんですが、こういう知的な議論大好きです。
脳にはちゃんとグルコースを与えて他の組織には脂肪を分解したエネルギーを与えるようにできれば新しいダイエット法になるんですかね?そうなると糖質は最低限の量でまかなえると思うのですが。