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2006-06-29 祝ビートルズ来日40周年! このエントリーを含むブックマーク

写真集 ビートルズ イン ジャパン 1966

今日6月29日はビートルズ来日40周年の記念日だ。マスコミではいろいろ特集が行われていた。『プレイボーイ日本語版6月号』には来日合同記者会見(当時史上最高のマスコミ数が集まったそうである)の完全記録が載っていて興味深い。まず同時通訳がこういう場に慣れていないせいで意志の疎通が今一つなこと。時代を感じます。一番特徴的なのは質問者たちが皆ビートルズの否定論者だったこと。

以下質問者の質問と彼の本音( )内、そしてビートルズの答えを脚色してお送りします。

Q1「日本をどうやって知ったか?(日本のことなんかろくすっぽ知らねえくせに)」

A1「本を読んだり映画を見た程度ですがとてもいい場所だと思います」

Q2「ファンは音楽を聞こえても聞こえなくても満足するみたいだがどう思うか?(お前等の音楽などどうせ騒音だ。ガキしか聞かないしガキたちもろくに聞いてないじゃないか)」

A2「ファンは音楽を聞くためにレコードを聴き、私たちを観るためにコンサートに来ます。だから関係ありません」

Q3「リズム中心だったのが『イエスタデイ』『ミッシェル』当たりからメロディ中心に変わったのはなぜか?(お前らが本当に作ったのか?)」

A3「前からずっとビートの強い曲とバラードの両方やってます。変わっていませんけど」

Q4「その髪型(長髪)を思いついた動機は?また将来どういう髪型にするのか?(その見苦しい長髪をさっさと切れ)」

A4「床屋に行く金がなかったから。禿げたら変えるかも。でも将来はわかりません」

Q5「日本武道館であなた方が演奏することは日本の武道の精神に反し、また日本の青年に伝統的な価値を見失わせるという批判がありますが?(お前等に神聖な武道館を汚されてたまるか)」

A5「もしイギリスに日本の舞踏団がやって来ても、イギリスの伝統が壊されるとか、何かを汚したなんて誰も言いません。私たちはここでやれと言われたからやってるだけです」

Q6「イギリス王室からもらった勲章は持って来てるか?どうしてこの席で佩用しないのか?(お前らが貰うなんて厚かましいし失礼だ)」

A6「そもそも勲章をつける人は見せびらかしたいからで、私たちはそんなつもりはありません」

Q7「大人になったら何がしたいか?(ガキのくせにいい気になるなよ)」

A7「(ジョン)それはジョークですか?そんなジョークは控えるだけの分別をあなたはお持ちのように見えますけどね」

だいぶ端折って演出を加えてしまいましたが、(この完全版はどこかで出版されてるんじゃないかな?未確認です。すみません)

Q1は外人慣れしていない日本人が、日本に来た外人が珍しくてよくする質問だ。ビートルズに聞いてどうすんの?

Q2:ファンは「観に」来るのである。テレビや映画やレコードじゃなく、聞こえようが聞こえまいが同じ空間にいたいのだ。 これも当たり前の話で全くの愚問。

Q3:『リボルバー』前のビートルズのヒット曲は確かにリズム中心の曲が多いが、『涙の乗車券』のようにリズムの中に美しいメロディを持ったバラードがあるのを読み取れない、または知識を俄仕込みして会見にやって来た人の質問だろう。

Q4:今見ると全然長髪じゃないね。でもこの時代は”大人”から目の敵にされていた。それはさておき「将来どういう髪型にするか計画している人」がいたらぜひお目にかかりたい。

Q5:イギリスでは外国の伝統や文化を非常に尊重する。これはイギリスがいかに大人の国かという見本。即座にこう切り返したジョンが偉い。また、武道館ビートルズ本人が熱望したわけでない。日本のプロモート側が決めたことで、彼らが非難される筋合いはない。だが、実際には脅迫までされていた。だから警備が大変だったのだ。因みにビートルズファンによく知られている(読売新聞社主・日本武道館会長)正力松太郎が「ペートルって何者だ。そんな輩に武道館を使わせるわけにいかん」と言ったというエピソードは僕も信じていたのだが『プレイボーイ日本語版6月号』に掲載されている、プロモータのひとり佐久間氏の証言では「都市伝説」だったそうで。正力は最初から「読売新聞主催」でOKしていた。儲かるからね。彼のOKのおかげで武道館は”世界のブドーカン”になったわけで日本の洋楽ファンにとっては大恩人なのだった!

Q6勲章に関してはよっぽど”不思議な珍しい物”らしく、持って来てる・来てない、勲章にミニチュアがあってその名称は何だ、他に誰がもらっているのか、イギリスの老人がビートルズの受勲が気に入らないと思っているのをどう思うかとか尋ねている。日本で例えば文化勲章とかもらった人はいつも外国行くにも持って歩くのか?見せびらかしながら歩いている人がいたらその方がおかしい。他に誰がもらったのか、どんな形だとか知りたかったら英国大使館にでも聞けばいい話で、ビートルズに聞くなって。

これは「エリザベス女王が勲章を与えた音楽家だから」来日公演が可能になったという経緯があるからで、日本の権威主義もここまで来ると全くあきれてしまうねえ。

Q7は外人記者からの質問で、さすがにこれはジョンも切れそうだった。ジョージは「質問者は優越感に浸りたいだけだ」と切り捨てた。こうして記者会見は終わった。

ビートルズはおそらくかなりいらだっていたが、そこは抑えて、終止にこやかに、できるだけ紳士的に答えた。しかし答えにはかなり皮肉を込めて切り返した。ここで際立つのはジョンとポールの頭の回転の早さだろう。さすがはこのすぐ後に真に世界の音楽界を制し20世紀最高の音楽家と言われるまで進化していくビートルズ。音楽だけでなくアートやファッション、思想まで世界に大きな影響を与えていく彼らは本当に自信に満ちあふれ堂々としていた。殊更日本人を卑下するつもりはないが、日本からなかなか世界に雄飛する文化人が出ない理由はこの会見から見えて来るような気がしてならない。皆さんはどう思いますか?

ビートルズ・レポート―東京を狂乱させた5日間 (話の特集−完全復刻版)

ビートルズ武道館コンサート [VHS]

ビートルズ武道館コンサート [VHS]

(日本とビートルズの関係については僕のサイトで)

http://www.yunioshi.com/musicaboutjapan.html#Anchor231420

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