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2006-11-11 原爆とレイラ このエントリーを含むブックマーク

『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』

トム・ダウド いとしのレイラをミックスした男 [DVD]


DVD観ました!

冒頭、いきなり原爆実験のドキュメンタリー映像が出て来るのでぎょっとしました。

トム・ダウドクラプトン様の伝記には必ず登場する、敏腕レコードプロデューサで、僕のようなクラプトン信奉者にはよく知られている人物だと思うが、実際彼が動いたり、話したりするのは初めて見たしだいです。クラプトン自身「裏方の仕事には興味がなかった」と言っているとおり、レコードプロデューサーはミュージシャンにくらべ地味な仕事に見える。だが、実際は遥かに重要でハードな 仕事だということがこの映画で本当によくわかった。ここで描かれるトムは凄い。スタジオのリハーサルで若いミュージシャンに「そこ!音違う!」とばかり鋭い眼光で指摘するところなんざ、ぞくぞくするほど格好いい。

トムは子供の頃から音楽の教育を受け、ピアノも相当な腕前で、音楽の基本的な知識が豊富である。これは、プロデューサーなのだから(ジョージ・マーティン同様)当り前だが、彼の知識はそれだけに留まらない。彼の凄いのは数学と物理の知識があることである。なんと16歳〜20歳の間コロンビア大学研究生として「マンハッタン計画」に関わったというのだ。それで冒頭の原爆の映像に繋がるわけだ。音楽の世界に入ってからは、その知識をレコーディング技術の向上に応用しさまざまな革新をしていった。

例えばミキサーのボリューム。それまでは丸いツマミだったのを現代のようなフェーダー式にした。これによって同時に別々のボリュームを調整できるようになった。マルチトラックをいち早く取り入れたのも彼で、イギリスビートルズが4トラックレコーダーを2台つなげて苦労して「サージェントペパーズ」をレコーディングした話は前に書いたが、この映画でトムは「ビートルズの10年前に8トラックを使っていた」とサラリと言う場面があって、びっくりした。

http://d.hatena.ne.jp/yunioshi/20060624


こんな人がレコーディングの現場にいたらミュージシャンは心強いだろう。クラプトンが80年代にフィル・コリンズにプロデュースを依頼して作ったアルバムがあるが、その時、結局クラプトン、コリンズともに技術的な経験があまりにも少ないのでできないと分かり、トムにエンジニアとして参加してもらって、やっとこさ出来たみたいなことも証言で出て来る。

オーガスト

この時代のクラプトン、賛否両論ありますが、僕は割と好きです。


インタビューなどに登場するミュージシャンやレコーディングの現場のことに興味が無ければ面白くも何ともない映画でしょうが、僕はもうドキドキしながら見ました。

一番の見どころはやっぱり『レイラ』に関する場面で、実際にレコーディングされたマイアミのクライテリアスタジオで、トム本人がマスターテープを使ってリミックスしてみせるところ。クラプトン、デュアン・オールマンのギターパートをそれぞれ別々に聞かしてくれたりするのだ。これはもう奇跡としかいいようのない。それと『レイラ』の後半に出て来るピアノのパート。それに使われたピアノをトム自身が「このピアノは低音がいい音がするんだ」とか言いながら弾いてくれる。もうトムは亡くなってしまったのでとても感動させられたシーンでした。

とにかくこの映画を輸入配給したアップリンクさんに大感謝ですね!

公式サイトは以下

http://www.uplink.co.jp/tom_dowd/


以下サイト更新しました。

http://www.YUNIOSHI.com/movies.html

『太陽』『金太郎、日本を歩く』加筆しました。

http://www.YUNIOSHI.com/originalstory.html

上海伯爵夫人』『薬指の標本』追加しました。

http://www.YUNIOSHI.com/ww2.html

父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』加筆しました。

このほかリンク集も追加しました。

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