追悼 成毛滋

ドクター・シーゲルのフライド・エッグ・マシーン


成毛滋が亡くなった。
3月29日。享年60。
朝日新聞に小さく載っていた。

成毛滋は僕の世代にとっては竹田和夫森園勝敏井上堯之とともに憧れのギタリストだった。
今考えると彼らよりずっと技術もエモーションもあり、かっこよいリフ、トリッキーなフレーズもあって、あの時代ではダントツのテクニシャンだった気がする。

でも彼らより遥かに一般での知名度は低かった。


僕は、あの有名なグレコ(国産ギターメーカー)の教則カセットを友達から借りてダビングして
(違法ですね。すみません)繰り返し聞いて練習したものです。

僕らの世代のギタリストは、エレキギターといえばほとんどがグレコかフェルナンデス。
グレコの方が少し安くて一般的だったので、
かなりの多くの人がこのカセットを持って影響を受けているはずだ。
でも、なぜか成毛滋のレコードを持っている人は少なかった。


彼こそ10年早く日本に生まれてきた人だったのだろう。
(確かいいとこのお坊ちゃんで慶応ボーイだったと思う。
奥さんはどこか政財界の大物の娘だと聞いたことがある)
60年代当時、世界でもトップクラスのテクニシャンだったと思う。
何せ彼が所属した代表的なフライドエッグというバンドは
成毛滋がギターで、ドラムがつのだ・ひろで、ベースが高中正義だった。
このバンドはツェッペリンやクリーム、ジミヘン風の曲をすでに演奏していた。
まだ他の日本のバンドがグループサウンズから抜け出せていない時代である。
(後に、高中がギターヒーローとして知られるようになるのは実に皮肉)


世に言うヒットに恵まれなかったし、世界的にも無名だが、
ミュージシャンが皆尊敬するミュージシャンだったと思う。(ロイ・ブキャナンみたい)
近年はDr.シーゲルの名で後進の指導にあたっていた。(だいぶ風貌が…)
彼の弟子で世界に雄飛する人物が出ることを切に祈ります。そしてご冥福も。


成毛滋知らない人はこちらでご確認ください。