加害者は低く、被害者は高く数字を見積もる

 ブクマでコメントして終わろうと思ったけど、うまくブクマできないので、めんどくさいけど日記で…とついでにいろいろ調べてたら長く。

冗談でしょ! - シートン俗物記
30万人がどうたらこうたら、と言ってる虫けら共が涌いているが、アメリカ人がこう云い垂れたらどう思うのよ?

「ミーは、ゼンゼンキョーミアリマセンガ、ヒロシマにアトミック・ボムが落ちなかったとはイッテマセーン!タダ、20万もシンだというのがダウトだとイッてイルだけデース。」

「トーキョーで10万人がコロサレタというエビデンスをミセテクダサーイ!ドコにソレダケノボーンアリマスカ?」

 原爆については、平成13年くらいのアメリカの教科書の例だと、11万+αくらいとなってるみたいですね。

http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/atombomboj.htm
≪1945年8月6日、米国の爆撃機エノラ・ゲイが、日本の広島に原子爆弾を投下した。
爆発によって少なくとも7万人が死に、同人数が負傷した。
市の大部分が破壊された。≫
 
≪1945年8月9日、米国は第2の原子爆弾を、今度は長崎に投下した。
約4万人の居住者が即座に死んだ。
その後、長崎でも広島でも、さらに多くの人々が、爆弾が放った致死の粒子、放射能によって亡くなった。≫

 そして、数値で揉めてるというよりは、「原爆投下は必要悪であったか」のほうの議論のほうが盛んなようです。日本軍が南京虐殺以降人を食べるようになったというのにはさすがに吹きましたが。世の中いろんな人がいますね…。

◆広島長崎、アメリカ人の考え(日本語) | 国際討論日記 - 楽天ブログ
あの本(そして関連裁判資料)を読むまでは、日本精神の軍人たちが
捕虜となった飛行士を食べた(南京虐殺以降、行なうようになった)
とは知らなかった。

 アメリカ世論的には、「原爆投下は正しかった」が優勢。そして韓国www。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~akiyama/no31.htm
原爆投下について「正しかった」と答えた者は米では62・3%、日本では8・2%で、「間違っていた」と答えた者は、米では4 人に1 人(25・7%) 、日本では60% 近くだった。米の場合、参戦世代は「正しかった」が70〜80% と圧倒的だが、若い世代をみると、20代で38%、30代で34%、40代で27% と少なくなっている。(米ギャラップ社によると、原爆投下直後の調査で「正しい」と答えた者は 85・%、1991年調査では 53%となっている)

 この世論調査は、日米のほか、英國、ドイツ、韓國でも行われたが、原爆投下を「正しかった」とする答えは韓国が米國に次いで多い60・5% で、英國では50・3% 、ドイツでは日本より少ない4・3%だった。「間違っていた」と答えた者はドイツが最も多い66・2% で、次いで日本、英國、韓國の順だった。

 「原爆は数十万の将兵や日本人の命を救うため、やむなく投下されたという神話」があるらしいです。

http://www.02.246.ne.jp/~kasahara/psycho/ptsd6-4_printerversion.html
 しかし、スティムソンの論文は、とてつもなく大きな反響を呼びました。やはりアメリカは正しかったのです。ハーシーのルポのおかげで、少々肩身の狭い思いもさせられましたが、スティムソンのおかげで、これからは胸を張って堂々と生きて行くことができるのです。ハーシーのルポに登場する人たちは、かわいそうな犠牲者だったとしても、それはあくまで“必要悪”にすぎません。その人たちの犠牲のおかげで、現にたくさんの将兵や市民の命が救われたのです。

 そして、東京大空襲についてはアメリカでは原爆の影にかすんじゃってる感じがあります(一緒にされてるというか)。なので、まさかそんなことあったわけがない、って言う人がいてもおかしくはないかもしれません。

http://pub.ne.jp/bbgmgt/?entry_id=1265173
すなわち,戦争に勝つためには一般庶民=非戦闘員を焼き殺すことも不可避であり,焼夷弾による「大量殺戮」を当然視したのが,このルメイ将軍の戦術であった。ルメイは,第2次世界大戦後,空軍中将に昇進,空軍参謀総長にもなる。

 ルメイは1964年,日本の航空自衛隊創設にさいして戦術指導をおこなった功績により,日本政府より勲1等旭日大授賞を授与された。これは,参議院議員で元航空幕僚長の源田 実の〔真珠湾攻撃ミッドウェー海戦などの航空参謀だった人物〕の推薦があったからだという。なお,勲章は本来,授与に当たって直接日本の天皇から渡される(天皇親授)のが通例であるが,ルメイは昭和天皇に面会できていない。

 とか手打ちにしちゃってますしねぇ。平和条約で外交保護権を放棄しちゃったんで、遺族からの損害賠償請求もアメリカ政府じゃなくて日本政府にしかできてないですから、アメリカではほとんど取り上げられてないでしょうし。

NPJ 東京大空襲訴訟 2013.10.17
<原告らが主張する被告国の責任根拠>
1  外交保護義務違反
  東京大空襲は無防守都市に対する無差別攻撃であったので、明らかに国際法違反である。そのため東京大空襲の被害者はハーグ陸戦条約3条に基づき国際法違反の空襲を行ったアメリカ政府に対して損害賠償請求権がある。

  しかし、日本政府は対日平和条約により空襲被害について、国際法上の外交保護権を放棄した。これにより、東京大空襲の被害者はアメリカ政府への損害賠償請求権の行使が著しく困難または不可能になった。
(以下略)

で、アメリカ人が「ヒロシマ有った説」と「ヒロシマ無かった説」を「両論併記」などとしたらどう思うんだか。

 やーなにしろ、進化論を学校で教えない州がある(アメリカの州立高校では、8割が“進化論”を教えないそうです… - 人力検索はてな)くらいなので、そういう人がいたとしても特に何も思わないですね。進化論そのものも仮説に過ぎないので(どんな論理でも仮説にすぎないという意味で)、疑念を抱くことも否定することも自由ではあるというものの、宗教入ってくるとそもそも議論すらできません。日本は宗教が入らないだけまだましです(まあ、思想は入るけど、信じてる人の規模が違う)。

米国人の48%は進化論を否定 | スラド Linux
本家/.の記事より。Newsweekが行った調査によると、アメリカ人成人の91%が神の存在を信じており、また48%が進化論を否定、人類は最初から現在の姿かたちで神に作られたと信じていることが分かった。また、大卒者の1/3以上(34%)は、聖書にある天地創造の内容をそのまま事実として受け入れており、地球は誕生から1万年ほどしか経っていないと答えた人も多かったと言う。

 わきから見てる事情をよく知らない人間にとっては、どんなとんでもだろうが、そういう意見があることそのものが興味深いのです。とんでもかどうかは、まともな判断力があれば判断できるでしょう。併記すること自体が支持すつことになるって、それは読む人には判断力がない、と言うようなもんではないですか。

 もちろん、認知不協和は当然入ります。加害者は被害を低く、被害者は高く見積もるものです。「自分が加害者だとは思いたくない」心理的にはどうしようもない動きですから、日本が加害者だという主張をするときにそれが入ってくるのは避けられません。どこでも認知的不協和に耐えきれない人はいます。

 原爆について必要だったかどうか、についても日米で意見傾向は割れてますよね。

 日本はややこしいことに、被害者でも敗戦国でアメリカの支配を受けてましたから、多く見積もることはなかなかできないみたいですけど。実際に被害を受けた人は10万どころじゃない、っていってたりするみたいですよ。

http://www.hyogo-kokyoso.com/heiwazemi/messages/23.shtml
被害人数についても、金田茉莉さんは10万人どころではなく、20〜30万人だと予測しています。それは、灰になってしまった死体や川に流されてしまった死体などは数に含まれていないからだそうです。

 そういう認知的不協和は当然あるものとしないと、この手の話は進まんでしょう。ってどこに進めたいのかどうかすら知りませんが。