2011年にiTunesの曲を1曲オススメするということ

友達がね、こんなことツイートしてたの。
「この曲最高だから聞いておけ、って曲を1曲教えてください。iTunesの1曲無料ダウンロード権を忘れないうちに使ってしまいたいのです」
そんなこと言われたら自分のオススメ伝えたいじゃない? 考えたわけですよ。考えたんですけど……出てこない。いや、好きな曲はいっぱい出てくるんですけど、この1曲ってのがなかなか決められないんです。
たとえば俺の最も好きなJ-POP3曲のうちの1曲、RCサクセションの「冷たくした訳は」をオススメすることは簡単なんだけど、自分にとっての好き過ぎる曲をオススメするのが正しいのかな、とか思っちゃうんです。オススメして「イマイチでした」って言われるのは別に平気なんだけど、相手としては「イマイチでした」って言いづらいんじゃないの、みたいな。
たとえばiTunesで過去に自分が買った曲を思い返してみて、CCCDだったばかりに発売当時音源買えなくてiTunes日本上陸後に購入した、Heartsdalesの「CANDY POP feat.SOUL'd OUT」ならどうだろうなんて思ったんだけど、よく考えたら今さらHeartsdalesってこともないんじゃないの、みたいな。
たとえば昨年2010年の俺にとってのベストワン曲であるところのBerryz工房の「君の友達」をオススメして、そんで「この曲についての俺の気持ちを書いたのがこのエントリです!」ってURLを教えて、そんで……それはただ気持ち悪いだけなんじゃないか、みたいな。
っていうか「1曲って!」ってところにぶつかっちゃうんです。これが10曲ぐらい、カセットテープ作る気持ちで選んでいくならある意味逃げ場もあるんだろうけど、1曲だけとなったらそうはいかない。どうしてもそこで「なぜその曲だったか」ってところに行き着いちゃう。数多ある楽曲を排して何故ゆえにお前はその曲「だけ」を選んだかっていう命題から逃れられなくなっちゃう。
もう一個。1曲200円とかするわけでしょ、iTunesの曲。まがりなりにもお金(とほぼ同義の権利)を使わせるわけじゃないですか。それは繰り返し聞いてもらわないと意味がない。だって──1回聞いて終わりでいい曲ならYouTubeのURL貼り付ければ済む話ですもの。
……これって結構見逃せない問題だな、って思って。アルバム単位で音楽を聴くというスタイルから曲単位で聴くっていうスタイルにほぼ移行しちゃってる2011年において、その1曲をプレゼントするという行為の前には、YouTubeっていう名のあまりにも素晴らし過ぎる、グレーゾーンの便利ツールが立ちはだかってしまうんですよね。手元に残るCDではない時点で「この曲ならYouTubeで十分だったな」って思わせない何かが欲しい、って思っちゃうわけですよ。
そんで、結局、考え抜いた結果俺の出した結論は……田辺マモルの「ハワイの詩」でした。理由は「曲が長くてYouTubeの制限10分に収まらないから!」。最後まで聞くためにはちゃんとした曲を手にするしかない! これだ! 間違いない! 俺かしこい! バッチリ! そう思ってましたよ、iTunesで検索して「ハワイの詩」なんか売っちゃいないってことを知るまではね。
結局俺は友人のツイートを無視したまま現在にいたるわけで。
無視っていうか、まあ無視か。
なんつーの、それだけ俺がその友人のこと好きで真面目に考えてるってことよ。あるいは、どんだけその友人に俺が良く思われたいか、カッコイイトコ見せたいと思ってるか、ってこともあるね。