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2012-03-07

日本の失業率が低い理由とワークスタイルの変化について

前回は失業率の話をしました。
アメリカでニートが大量発生したらしい

これに関連して、今日は日本の失業率に関する話です。
最近の日本って不景気だとか、就職難がどうとか言わることも多いですが、実は欧米の主要国に比べたら失業率は低いんですね。
※(追記)計測方法なども国によって異なるようなので、もちろん単純に国際比較はできないですが、その辺りは今回は無視することにします

下のグラフを見てみましょう。

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(引用:失業率の推移(日本と主要国)

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアより全然低いですね。欧米はだいたい8−10%なのに対し、日本は4.6%です。でも、よく見てみると90年代初めまでは、もっと圧倒的に低かったことが分かりますよね。
実は、日本の失業率は第一次オイルショックの直後1974年から15年間ほど、2%程度とものすごく低かったんです。

―――――

これはなぜでしょうか。
もちろん1つには、日本の景気がよかった、というのが挙げられると思います。
高度経済成長後のいわゆる「安定成長期」ですね。高度経済成長期ほど成長率は高くないけど、安定して成長していた時期です。

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(引用:経済成長率の推移

安定成長期に当たる1974-1991年の15年くらいの平均成長率は4.2%です。
高度経済成長期に当たる15年間の平均成長率が9.1%、バブル崩壊から現在までの「失われた20年」の平均成長率が0.9%なので、ちょうどその間くらいです。


でも実は、もう1つ、日本の伝統的なワークスタイルが関係しているんです。


一般的に、景気が良くなって財・サービスの生産量が増大すれば、生産に投入される労働力は増えますよね。逆に、景気が悪くなって財・サービスの生産量が低下すれば、生産に投入される労働力も少なくなります。

じゃあ、ここでいう「労働力」ってなんなんでしょうか?労働者の数だけで決まるでしょうか?
でも、100人の人が1日1時間ずつ働くより100人の人が1日15時間ずつ働く方が「労働力」は多くなりそうです。
「労働力」を理解するために、これを因数分解してみましょう。

「労働力」 = 「労働者の数」×「1人当たり労働時間」

となります。つまり、「労働にかける時間の総和」ということになるわけですね。

そう考えると、もし不景気になって労働力の需要が減った場合、会社は労働力を減らさなくてはならないわけですが、その減らし方は2通りあることになります。

1.「労働者の数」を減らす
2.「1人当たり労働時間」を減らす

実は、アメリカでは1を行うのに対して、日本では2を行うのが一般的でした(今も多分そうだと思います)
つまり、アメリカでは不景気になるとどんどんリストラして労働者を減らしていくのに対して、日本ではまず労働者1人1人の労働時間が調整されるわけです(特に、いわゆる9時−5時の8時間の中から調整するのではなくて、その他の労働時間、つまり「残業」から減らされることが多いです)

するとどうなるでしょうか。
アメリカでは不景気になるとリストラが行われて失業者が増えるので、失業率は上昇します。ですが、日本ではあまりリストラが行われず、労働時間が減らされるだけなので失業者はさほど増えません。つまり、失業率はほとんど下がらないわけです。これによって失業率は低く抑えられてきたわけですね。

また、リストラがあまり行われないことによって、日本で長く行われてきたといわれている「終身雇用」が可能となるわけです。

―――――

そして、日本の失業率が低く抑えられてきたのにはもう1つ要因があります。
それは、前回の記事、
アメリカでニートが大量発生したらしい
で書いたのとまったく同じ理由です。

つまり、「失業率」と「失業者」は違うよ、ってことですね。

ちょっとおさらいしておきましょう。
「失業者」というのは、ただ単に職に就いていない人を指すのではなく、「働く気があるけど職に就いていない人」を指すんです。だから、学生や主婦、ニートなど、働く気がそもそもない人は職に就いていなくても「失業者」には含めません。だから、失業率が減ったからといって、失業者が就職したのかというとそれは分からないよ、もしかしたら失業者が就職をあきらめて「非労働力」になったのかもしれないよ、という話ですね。

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日本の場合はまさにこれなんです。

つまり、日本では職を失った人の多くが「非労働力化」する、といわれているんです。
職業を失ったことで再就職をあきらめ、求職活動をやめてしまうわけですね。特にこれは女性に多いとされています(日本では「女性は働かなくてもいい」、という考えが強いのが1つの大きな要因かもしれません)

実際に、調べてみると、「非求職就業希望者数」と「GDP成長率」は負の相関にあることが分かります。つまり、不景気になると求職活動をやめる人が増える、というわけですね。

こうなると「労働力人口」そのものが減少するので、失業率を計算するときの分母が減ることになって、失業率はさほど変わらないということになるわけです(この辺が分からない方は前回の記事を読んでもらえると分かるかと思います)

―――――

日本の失業率が低かったのは、「安定成長」のおかげでもありますが、日本の「終身雇用制度」だったり、日本人女性などの仕事に対する価値観も影響していたわけですね。こんなところにも国の特色が出るというのは面白いですね。

でも、今その「終身雇用制度」は少しずつ変わってきているような気がします。実際に、転職希望者の比率は80年に比べて倍増しています。

イケダハヤトさんなどがおっしゃっているようなより「効率的な」働き方もこれからどんどん認められていくのではないかなと思っています。

9時5時の固定労働時間制を敷いている場合は、スタッフがいくら業務の効率を上げようと、生まれた余剰に新しい仕事が割り込んでくるのみだったりします。

これでは努力をするモチベーションは削がれますし、決められた労働時間に合わせて労力を調整するインセンティブも働いてしまいます。工場労働時代の名残が悪い形で残っている、と表現できるでしょう。

これからの時代は、効率的に目標を達成し「時間的な余剰」を生み出したスタッフには、その余剰をどう使うかの裁量を持たせることが望ましいと僕は考えます。

(略)

前時代的なワークスタイルの変革が進み、もっともっと、楽しくクリエイティブに働ける人が増えていくと良いと願っています。

(引用:頑張って生みだした時間的余剰に、勝手に別の仕事を割り当てない(ikedahayato.blog))


また、今「ノマド」という働き方が注目されてきています。

その辺は
elm200 のノマドで行こう! のelm200さんや、
女。MGの日記。 の玉置さん
などがブログなどで詳しく述べてくださっているのでそちらを読んでもらうとして、そういったワークスタイルの多様化は個人的にすごく興味のあるところでもあります。

一方で、
ノマドワーキングを目的にすると不幸になるのでは?(GoTheDistance)
など、最近たまに見られるような「かっこいいからみんなもとりあえずノマドしようぜ!!」的な流れに疑問符を付ける人もいます。
(僕もノマドという生き方、働き方自体は素敵だと思うのですが、「ノマドをすること」自体が目的となるのは少し違うかな、と思っています。)


今後ワークスタイルがどのように変わっていくのか、楽しみですね。


ではー。

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