anastomosisのこと。

 セグロシャチホコという未見の蛾がいて,その学名が Clostera anastomosis である。 属名は「紡錘形」で蛾全体の姿からで簡単。種小名で詰まった。
 anastomosisをネットで検索してみると「吻合手術」でヒットする。??? 「吻合」って,切れた血管を縫い合わせてつなぐことである。さすがに蛾に吻合はないだろう。という訳で没。
 ギリシア語の辞典では,「anastomôsis 出口・開口部」とある。動詞だと「anastomoô 大口を開ける」。やっぱり分からん。
 というわけで,最後の手段(実はこれを最初にやらねばならないのかもしれない)。命名者リンネの原典に当たることに。『Systema Naturae』は無料公開されていて,わたしはダウンロード済みである。
 506ページ。成体の記述部分を訳出してみる。( )はわたしによる補足。

anastmosis
P.Bombyx(リンネはシャチホコガをPhalaena属Bombyx群に分類している。Bombyxとはカイコのこと),螺旋状の舌を持つ。翅は(体の横に)曲げられていて,灰白色に近い灰色。縦筋(横線)は3本,白く,少し開いている(=subanastomosantibus)。

 なるほどねえ。横線が平行ではなく「口が開いている」というココロらしい。


 いきなり何が始まったのかというと,少しずつHP用「ホカイドの蛾の学名」の原稿を書いていて,そのための補足記事である。
 種ごとの項目をコンパクトにしたいので,ごたごたした考証はこちらにリンクで飛ばすことを思いついた。記事の公開時にここに向けてリンクが貼られる予定。
 いよいよ本気でラテン語を読まねばならなくなった。だいたいが調べ事とか勉強は好き。仕事が嫌い。