日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

自転車で城南地区ギャラリー11軒、DOMANI展、そして川俣正

お天気は悪くないけれど、くっきり冬晴れ、という感じでは無さそう。南に下るよりも、東京のほうへ行ってみよう。というわけで、10時半ごろに自転車で出発する。国道1号線を通って、古川橋まで。25.7km、1時間15分の所要時間、ここまで信号で停止した回数を数えていたら、27回だった。信号で停車している時間だけで20分か30分はありそうだねえ。12時にオープンするMISA SHIN GALLERY
MISA SHIN GALLERY
元工場だったところの重い重い扉を開くと、アイ・ウェイウェイの巨大なシャンデリアが。一目で見尽くせないスケールと眩さ、殺風景な工場の空間を占拠する存在感がなかなか良い作品だった。おなじ通りを西に進んで、児玉画廊
Kodama Gallery
コレクション展。堀川すなおの、工業的なモチーフ、キャンバスを隆起させた表現がなかなか面白かった。3階に上がって山本現代
YAMAMOTO GENDAI
立石大河亞個展「音雷韻走査」、15年以上前の作品で、ドイツの企業かな?がコレクションしていたもの、目に楽しい鮮やかな大画面の作品。ガントリークレーンをキリンに見立てていたり。ここはオススメ。2点あった版画もモチーフが好き。2階に下がってNANZUKA UNDERGROUND
NANZUKA - contemporary art gallery
グループ展、リナス・ファンデ・ヴェルデ、五木田智央、佃弘樹。それぞれ傾向が違いながらすべてモノクロ作品であるため、白い壁にとても映えている展示空間になっていた。個々の作品はあまり…。さらに天現寺方向に向かい、TOKIO OUT OF PLASE
GALLERY OUT of PLACE
床を照らす赤い蛍光灯、十字に交わる閃光が回転し、虫の声を合成した爆音がヘッドホンから漏れ聞こえてくる。あまりピンとくる展示ではなかったけれど、この擬態美術協会と鍵豪の過去の作品を見たら、カセットテープを使った音の時間をずらすような作品は面白そうだった。あと、開くと開いた回数がカウントされるだけの本とか。
さて、白金高輪周辺は以上。天現寺の交差点を曲がり、広尾駅前を過ぎて、麻布高校方面に坂道を登る。下校してくる中高生が大勢、変わらんなー、ここは。そういえば今日はセンター試験でしたね。盛岡町交番前を過ぎて中国大使館前を通り、テレビ朝日通りを六本木方面へ。昼飯は

お探しの店舗のページはありませんでした

こちらで。いや、自転車なのでビールは飲めないんだけどね、ビールも凄くうまいんだよ。そしてピザがまた美味い。ちゃんと釜があって、しっかり焼いてくれるピザが絶品であります。安いし。ビスマルクのピザを堪能、こんどはゆっくりビールも飲みにくるぞ!
六本木ヒルズ前を抜けて、ミッドタウンへ。デザインハブで
Tokyo Midtown Design Hub | 東京ミッドタウン・デザインハブ
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/g-parn/g_parn/web_content/event_hub_shiawase.html
にんげんをしあわせにするデザイン、という展覧会。ん、そんなに面白いものは無し…。この空間すごく贅沢だけど、維持していくのも大変だろうに…。それから国立新美術館に移動。印象派とかその手の企画展をやっている時いがいは、本当に空いてるよねー、ここ。立派な駐輪場があることを今回知りました
Home - Skiing for Everybody
DOMANI・明日展文化庁がお金を出して海外に派遣している作家の作品展。『美術界の明日を担う作家たちの多彩な表現が一堂に会する』と書かれていて、つまり並べ方に一定の傾向とか意思があるわけではないので、全体の構成はぼんやりしている。だから、個々に切り替えて、興味を惹かれる作家がいたら面白いなあ、と思えばいいのでしょう。
古郷秀一の彫刻、たわんだ鉄板、張り巡らされた鉄棒と鉄の壁の対比、あるいは掘られた木片が積み上がる、物資の存在感がビビッドな彫刻が好きです。遠山香苗の絵は画面にカラフルな四角い飴をちりばめた作品で綺麗なんだけど、補助線のような黒い線の意味がイマイチわからず、小さい作品は大きい作品をただ縮小しただけのようで『四角』の単位としての意味が見えてこないなあ、と。綺麗なんだけど。神戸智之の日本画は空間の構成がとても好きです。追いかけてみたくなる。山口紀子も良かったな。最後に町田久美の作品で、やっぱりあの線がすごいねー。グッズショップ、なんでも作品のグッズを作ればいいというものでは無いのでは。
国立新美術館は2月に入ると文化庁メディア芸術祭がありますね。また混むんだろうな。美術館を出て、北上。青山一丁目の交差点まで出て、青山通りを渋谷方面へ。表参道に出て、ラットホールギャラリー
RAT HOLE GALLERY
展示空間を部屋に見立てた家具的な作品なのだろうか?結構面白かった。すみません、ボキャブラリーが貧困であまり言葉がみつからないですが。表参道の裏手って、オサレだけどどこがどうお金になっているのかよくわからないものが沢山あって、ほんと、私が心配する筋合いではまったくないのだけれど、不思議な気分になりますですね。どうなっているんだろう。ここのギャラリーもその一つです。
そういう不思議群をぐるぐる眺めてから、表参道の大通りに出て、本日オープンのルイ・ヴィトンのギャラリー
表参道「ルイ・ヴィトン」に新アートスペース「エスパス」-世界2拠点目 - シブヤ経済新聞
ビルの7階にあり、天井が高く、周辺の景色がとてもよく見える、気持ちの良い空間だった。エルメスの銀座と良く似ていますね。店員さんは、ここから神宮の花火が良く見えます、なんて話をしていた。作品のほうはグザビエ・ヴェイヤン「"Free Fall" by Xavier Veilhan」、おー、突き放しとるねえ。
明治通りを通り過ぎて原宿駅前のほうに出て、改装中の代々木競技場を見ながら渋谷方面へ。トーキョーワンダーサイト渋谷
トーキョーアーツアンドスペース | 東京から新しい芸術文化を創造・発信するアートセンター
カオス・ラウンジの荒川智則のほうは、うーん、メディア展開的な面白さはあるかもしれないけれど、この展示単体ではどうとも。何か全体から面白いものが生まれる可能性はあると思うけれど、観客として立ちあう意義は感じず。遠藤一郎のほうも、どうなんだろ、みんな楽しそうだからいいか。
渋谷駅前を通り、明治通りを南下。恵比寿へ。ナディッフ
MAINTENANCE-NADiff
写真分離派宣言、これ、今後も継続的に活動するのかしら、今回の展覧会限り?継続するなら追っかけてみたいです。鷹野隆大の写真が、なんちゅうんだろう、凄いね。2階の展示も見て、さて次は。駒沢通りをまっすぐ西へ、ミヅマの中目黒
MIZUMA ART GALLERY : 展覧会・イベント
大島梢の作品がとても良かった。細い線の積み重ねで描かれた線が、まるで細胞の集合が生命を得るような感覚で、心の中に深い世界が構築されていくような快感を覚える。うーん、これは結構素直に、部屋にあったらいいなあ、欲しいなあ、と思いました。過去の作品を見ると、同じギャラリーの池田学とか鴻池朋子とかの影響が多少感じられたりしながら、どんどん良くなっている感じで。作家さんも在廊していた。横浜出身の同い年の人だった。さらに駒沢通りを西へ。青山目黒
AOYAMA | MEGURO
目黒通りだけじゃなくて、駒沢通りにもオサレインテリアショップみたいの沢山あるんだねえ。青山目黒では、森田浩彰『タイムクエイク』地震とそれにまつわる事象を扱っている。ポルターガイストのように鳴動する材木がびっくりしました。
さて、もう17時だ。思いのほかな時間。帰らねば。山手通りから国道1号線に入って戻るのが楽なんだろうけれど、同じ道を通るのも面白くないので。駒沢通りをさらに西進し、五本木をちょっと過ぎたあたりで脇道へ。目黒通りのほうに抜ける。環状7号線を越えて、中根から自由通りへ。自由が丘の駅前、奥沢の駅前を抜けて、静かな住宅地。とにかく自由通りをまっすぐ行くと、雪が谷大塚に出ます。
ここから中原街道を進むとすぐに多摩川を渡り、神奈川に入ったら綱島街道を進む。日吉綱島あたりはかなり渋滞。菊名駅前からは旧綱島街道に入り、六角橋商店街。下って国道1号線を通りこして、国道15号線まで突っ切って、みなとみらいを経由して馬車道、そしてBankART Studio NYKまで。26.5km、1時間30分。暗くなっていたし、細い道を通ったりしたし、疲れてもいたし、やっぱり行きよりも時間がかかりますね。
BankART Studio NYKでは、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科の卒業制作展と、先端芸術表現専攻の修了制作展
http://www.sentan2011.com/top.html
駆け足でさっと見ただけなので、もう一度きちんと見るけれど、現代美術館のトランスフォーメーション展にも出展していてとても面白かった及川潤耶の作品があったり、レベルがとても高いです。しかして、本日の目的は、こっちなのだ
http://www.geidai.ac.jp/labs/specula2010/schedule07.html
川俣正と桂英史による『都市と芸術をめぐる現実(リアリティ)』は、立見多数の会場満員。さっきまでのオープニングパーティーでちょっとワインが入っていたせいもあるのか、最初っから川俣さん含めて飛ばしまくりで、ちょっともう、内容についてはまとめようが無い。開始早々、川俣さんが瀬戸内とかあいちとかバッサリで挑発的だ。聴衆側にいる、先端の先生がどんどん絡んでいっていつまでも続きそうな雰囲気。こういう、まとめようもないけれど沢山引っ掛かり、フックが作られるような話が大好きです。
質問のコーナーになると『質問のふりして自分の意見を言う』メソッドの人が…というかそういう人ばかりで、質問だけした学生には『おまえはどう思ってるんだ』と突っ込みが入るような、とにかく全員が『俺にもしゃべらせろ』状態で、うーん、楽しい。『質問のふりして自分の意見を言う』は特殊な場合以外は凄く正しいことに思えてきたぞ。気になるフレーズ、ヒントは沢山出てきたけれど、心の中にとどめておこう。とにかく、アーティストにしても、観客にしても、なにものか、実態があるわけでもないルールに自縄自縛になっている現状への不安不満というもの。
終了後、昨日も会った方と2人で馬車道台湾料理屋へ。
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いや、すごい、メニューに目移りする。面白いものがいろいろあるじゃないですか。ハーブの葉っぱを揚げたもの、セロリ、臭豆腐の味噌炒め的ななにか、そしてゴマ油味の鳥鍋、みんなとても美味しゅうございました。ほんと、横浜は中華街以外に面白い店が沢山あるよなあ。
店の前で別れて帰宅、大変充実したよい一日でありました。本日の走行距離は70km