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だるっと大阪、道中『「昭和天皇実録」の謎を解く』を読む

どうも具合悪い、寒くて風邪ひいたろうか…。5時過ぎに家を出て、新横浜から新幹線でぐっすり眠って新大阪。客先へ移動してお仕事。夕方、少し早目にあがる。
さて、文春新書『「昭和天皇実録」の謎を解く』を読む。

この本、実録がどこを重点的に書いてどこを書かなかったか、という点から、実録がどう読まれたがっているかを解析していて面白いんだけど、結局、この本自体もそこに寄り添うように書かれていてなあ…。そこはそれ、半藤一利と保坂正康ですからね。
実録としては、やはり、昭和6年あたりから昭和16年までが興味を惹く。昭和天皇が、大日本帝国が世界から孤立して戦争に向かっていった道にどの程度関与していたか、あるいは関与できなかったか、の部分がやはりいちばん面白い。昭和13〜15年あたりの記述が薄いのは、昭和天皇に有利になる材料が少ないんでしょうね、などと言い合う評者。
昭和天皇実録を編纂の意図通り素直に読むと、若いうちから聡明で広い視野を持ち、世界からの孤立と戦線の拡大を憂慮して、出来る限り押し留めようとしたが、立憲君主の立場を誰よりも理解し、世界を敵に回すことを止めること能わずであった悲劇の昭和天皇…ということになるんだろうか…。しかし、昭和天皇、中国の戦線拡大にしても、それやると欧米を刺激するだろ、みたいな憂慮はするんだけど、中国大陸そのものに対する視線は、あんまりよくわからないんだよね。ましてや朝鮮半島に対しても。
戦後も沖縄について、などの部分はなかなか興味引く部分でありました。しかしですな、まあこの本の序盤で、半藤一利、かつては大元帥陛下としての昭和天皇の戦争責任について考えたこともあったが、在位六十年の式典で頰を伝う涙を見て、それ以来、私は「臣一利」になりました、と“信仰告白”してましてね…。うん。来月、岩波新書から原武史昭和天皇実録本も出るらしいので、併せて読みたいと思います。
夜は、羽田から鎌倉へ直行。鎌倉って昼間にしか来た事なかったけど、夜はあの賑やかな小町通りもとても落ち着いた雰囲気で。『ヒグラシ文庫』でちょっと飲む。さらに同じフロアの別の店にも。地元の人の濃密だけど洒脱な空間があって、鎌倉、夜の顔もいいな、と思った
在華坊(@zaikabou)/2015年08月28日 - Twilog