アメリカ人と日本人のお金に対する感覚の違い

前回のMovieBeamの話の中で、STBの初期費用負担の違いが大きいということを書いたが、どうもこのあたりの日本人とアメリカ人の感覚にギャップがあるようだ。「毎月リース料取られるより、最初にお金出して買ってしまった方がいいではないか?」と思われた方のために、ちょっとこの感覚の違いについて書いてみようと思う。

日本人は古来貯蓄を美徳としてきたところがある。買い物も現金払いが多かったり、クレジットカードを使っても1回払いで済ませるのが普通のような感覚がある。借金ともなると、どうも後ろめたいという心理もあるのか、「むじんくん」のような人と会わずに借金できるシステムなんかもできたりする。

一方のアメリカ人はどうだろうか?以下の数字を見ていただきたい。

・家庭あたりのクレジットカード借金の平均額 = $9,000
・クレジットカードの毎月の請求額の一部、あるいは全部を翌月に持ち越す人の割合 = 40%
・クレジットカードの毎月の最低支払い金額(請求額の4%)しか払わない人の割合 = 7%

驚いた方も多いのではないだろうか?消費も盛んなら、借金も盛んなのである。

リテールでのプロモーションの違いにも同様の傾向は現れている。
日本ではポイント還元、つまりその場で割り引いてくれるのが好まれているようだが、アメリカのリテールで一番効果のあるプロモーションは金利0%。つまり分割払いにしても金利が付きませんよ、というキャンペーン。初期費用がかからない買い方を前提にしているわけである。

うちのポストには毎日のようにいろいろなクレジットカード加入のお誘いのジャンクメールが入ってくるが、どれを見てもでかでかと宣伝しているのが"0% Balance Transfer"。つまり他のクレジットカードから借金を移しかえても金利は付きませんよ、というのをエサにしているわけだ。

ところで、これだけクレジットカード借金が多いと、さぞかしクレジット破産も多いだろうと思われるだろうが、ある研究によるとアメリカ人の自己破産のうち、クレジットカード破産はなんと1%しかないそうである。では何が原因になっているのか?約3分の1が医療費破産、別の3分の1が離婚破産なのだそう。