猿゛虎゛日記(ざるどらにっき) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008年04月30日

差別はしちゃダメたよ

今日、某ファーストフード朝日新聞を読んでいたら、ある特集記事がのっていた。「『格差』の国で」の第二回ということなのだが、見出しは「匿名性『ネット弁慶』に 引きこもり男性」である。

内容は、05年ごろから「自宅に引きこもりがち」になった男性(27歳)が、昨年1月に公開(現在は閉鎖)したホームページについて。ホームページのタイトルは「B地区にようこそ!」で、「B」は、被差別部落地区のこと。「愛知岐阜三重県内にある部落地区とされる地名や写真を公開するページ」だったそうだ。彼は、地区内の会社を中傷する文書をHPに掲載した名誉毀損の疑いで愛知県警に逮捕され、昨年10月、懲役1年執行猶予4年の有罪判決を受けた、ということだ。

記事の論旨についてはさしあたりおく。

ところで、この記事には、そのホームページの画面を映した写真が載っている(現在は閉鎖しているはずなので、どこかにキャッシュされているページに編集部がアクセスして撮影したのだろうか?)。ただし、「一部をぼかし処理しています」とのことだ。

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これを見ると、『NHKにようこそ!』のキャラクターのイラストの横に、「差別はしちゃダメだよ」という文字が見える。

これは、おそらくホームページ作成者の男性が書いたのだろう。で、これはつまり責任逃れのつもりだったのだろう(半分は皮肉なのかもしれないが)。自分はデータをあげているだけで、そのデータを使って差別をする者がいたとしても、それは、ホームページ訪問者の自己責任であって、掲載者には責任はない、と。

事実、このページは、記事によるとだが、多くの反響があったそうだ。

ネット界の住人(記事のママ)が、ハンドルネーム(ネット上の名前)で次々に呼応し、感想を書き込んできた。「よく調べたな」。ほめるコメントもあり、ますますのめりこんだ。

ということだ。

おそらく「自分は直接差別しているわけではない、需要に答えているだけだ」と言いたかったのかもしれない。これも、ある意味で、差別のアウトソーシングである。

ところで、もやもやしたままこの記事を読み終え、何気なく下に視線をずらしたとき、ちょっとあぜんとするものを見つけてしまった(というわけで帰りに朝日を買って、これを書いている)。

それは、この記事と同じ面の、下3分の1ほどを使った、大きな『週刊朝日』の広告である。

一番大きな活字の記事見出しが、こうなっていたのである。

「全国1800高校調査 大学「実」合格者ランキング 水増しなし 本誌独自 『サンデー毎日』には出ていない」

そのすぐ横にはこれである

東京六大学「バカ度」調査 常識なき学生が増殖中!」

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なんというか、ブラックジョークとしかいえない状況になっていた。

その後コンビニで当該号を立ち読みしたが、もちろん、ランキングの高校名は、「ぼかしなし」ですべて実名が出ていた。

新聞の特集記事と、週刊誌の記事を書いた人物はもちろん別人であろうが、しかし同じ朝日である。

週刊朝日』になぜこのような差別的な記事を載せるのか、と聞いてみたら、たぶんこういう答えが返ってくるだろう。「読者の需要があるから」と。これは、「訪問者の需要があるから」という「B地区」作者の理屈と、まったく同じであることは言うまでもない。

そうなると、この「『格差』の国で」という記事自体が、朝日にとっての「差別はしちゃダメだよ」なのではないか、と薄ら寒い気持ちがしてきてしまうのである。


……というこのエントリー自体が、今度は、私という存在にとっての「差別はしちゃダメだよ」なのかもしれないのだが。


ところで、もう一つ気になることがあって、問題の記事の結末の文はこうなっている。

「男性はいま、自宅近くの鉄工所で働く。家族によると、仕事以外でパソコンを使うことはないという。」

働きはじめたことと、「ネット界の悪い住人」たちとつきあうのをやめた?ことが、何か関係があるとでもいいたいのだろうか?

ところが、そもそも記事冒頭では、こうなっているのである。

「〔ホームページを〕作ったのは東海地方に住む無職男性(27)」

「当時無職」でもなんでもなくただ「無職」である。

で、この記事では、検事が取調べで動機を尋ねた供述調書が引用されている。

「引きこもりやニートと呼ばれる立場になったあなたが、下位にまだ人がいると思って、自分の立場を保とうとしていたのではないか」

問いに男性は答えた。

「そうではないと思いますが、心の中に、差別意識があったのかもしれません」

本人が「そうではない」と答えているのに、どうやら記者は、「無職」とこの事件をどーーしても結び付けたいようである……。

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