猿゛虎゛日記(ざるどらにっき) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008年08月31日

モンスター・ライブラリーユーザー

モンスター○○っていうのは、ほんとうに増えているようだ。今度は図書館利用者にも出てきた。「図書館にホームレスがいるといやだから追い出してほしい」などという理不尽なクレームを言ってくる、モンスター・ライブラリーユーザーというのが出てきたようだ*1http://d.hatena.ne.jp/Romance/20080830#p1という記事のブックマークにも、大量に現れている。http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/Romance/20080830%23p1 まあ、ここでヘイトスピーチをくりひろげているひとたちのどれほどが図書館をよく利用するのかわからないけど。あ、私ですか?私はほとんど図書館は利用しません。本は90パーセント、ドトールで読んでるので。人の話し声とか、コーヒーとかミラノサンドのニオイがないと集中できないんで。

それはともかく、あなたが図書館を利用したくて、たとえば市立図書館に行ったとする。それは、本が読みたい場合もあろうが、ただ返却のためかもしれないし、あるいは、ちょっとトイレをかりたいからかもしれないし、本を読みながらクーラーで涼みたいからかもしれない。休館日でもないかぎり、自動ドアをあけて、なんの抵抗もなく中に入ることができるし、なんのためにきたのか?なんて入り口で尋問されることもない…と思って、入ろうとしたそのとき…

入り口に人がたっていて、「あなたはダメです」と言われて、とうせんぼされ、入ることを邪魔された。他の人はどんどん入っている。「なぜ入れないのですか?」と聞くと、「あなたは○○だからです」という答えが返ってきた*2。あなたにとっては、この「とうせんぼした人」こそ、「迷惑千万な人」以外の何ものでもない。

つまり、○○の人を、○○だからという理由で図書館にいれない、というのは、○○の人に対する「迷惑行為」である。「○○を図書館に入れるな!」という要求は、「○○に迷惑行為をしろ!」という要求と同じなのだが、そういうことを言う人は、自分が「迷惑行為」を要求しているなどとは思っていない。いやむしろ思いたくない。というわけで、彼らはこういうのである。「いや、迷惑行為することを要求しているなんてとんでもない。私たち善良なライブラリー・ユーザーこそ、あの○○に迷惑行為を受けているんです。」と。で、その、「○○から受けている迷惑行為」なるものが何なのか?と聞くと「えーと、ニオイがくさくてこまります」とか「あの人は本を読む場所に本を読みにきてませーん。おかげでボクがすわれませーん」とか言うわけだ。つまり、なぐることは決まっているんだけど、あとから「なぐる理由」とやらをでっちあげる、ていうやつとたいして変わらないのだ。

○○が嫌いな人、○○に偏見を持っている人、というのは、○○を差別したい、○○に「迷惑行為」をしたい、という気持ちがどんどん高まってくるらしい。そこで、それを正当化するために、○○の悪いところ、「迷惑」なところ、とやらを血眼になってさがし、言いつのる。さらにそれによって、ますます○○を嫌う感情をたかぶらせていく、というマッチポンプである。

そうして、「トンデモなくいやなものが、とつぜん向こうからやってきたんだ、だから消えてなくなってほしい」と思いはじめたころには、そもそもその「いや」な性質を自分たちでそこに貼り付けたということはすっかり忘れているのだ。

あと、マッチポンプというのは、ただの感情の話というわけではなく、社会構造としてマッチポンプが組み込まれているということです。こちらからの孫引きで元の本は見ていませんが、売春について書かれた三浦俊彦のこの文章は、まさにホームレス問題にもあてはまりますね。

“ある事柄Aは悪だからと社会的認知を妨げて、Aの社会的不適合を生み出し、その不適合ゆえにAを悪と判定するパターンは、マッチポンプの典型例です。”(三浦俊彦『論理学がわかる事典』)

 * * *

ところで、以前、中国の貧困層を描いたNHKドキュメンタリーのことを書いた記事http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20071003/1191441794で、ネットでみつけたこの番組に対するこういう感想を紹介した。

内蒙古の出稼ぎの若夫婦、あの夫はなんだ、仕事がない、金がないといいながら、タバコばかり吸っている。まず禁煙して、貯金しろよ、春節に夫婦二人も帰らずに倹約して、母親の治療費ぐらい捻出したらどうだ。あの男はなにがしかの取材協力費をとっているのではないか、との声

http://d.hatena.ne.jp/zarudora/20071003/1191441794

で、こういう人がいたらどうだろうか。ものすごく風呂が好きで、毎日銭湯に行っているホームレスがいたらどうだろうか。こういう風に非難されるのだろうか。

ホームレスのあの男はなんだ、仕事がない、金がないといいながら、風呂ばかり入っている。まず禁銭湯して、貯金しろよ

とか。それとも、みだしなみを考えて立派だ、とほめてくれるとでもいうのだろうか。

まあ、何をいっても、結局「働かないのが悪い、働けば風呂にも入れるし家にもすめるしタバコも吸えるのだ」という声がわきおこってくるのが目に見えているので、むなしいんだけども。

つまり、「まあ、皆ほんとに労働しない人*3嫌いだよね。」というのは、id:madashanさんの「まあ、皆ほんとに労働好きだよね。」の正確なうらがえしなんだな、たぶん。

働くことについては今度書きます。

*1:kmizusawaさんのブクマコメントにあるように、まあ、そういう人は昔からいたんでしょうけど。

*2:「市外在住だから貸し出しません」とかはあっても、「○○だから入れません」という公立図書館はあるのだろうか?大学図書館は、「大学関係者ではないから入れません」が普通だが、私はこれは大いに問題だと思っている。

*3:実際には、ホームレスは労働をしているわけで、つまり正確には「労働しないと思われている人」だけど。

IamBarIamBar 2008/09/01 08:07 >私はほとんど図書館は利用しません。本は90パーセント、ドトールで読んでるので

ドトールの利益率を圧迫し、愛すべきジャーマンドッグを値上げに追い込んだモンスターカフェユーザーのブログはここですね。わかります。

政府は女性もドトールを利用しやすいよう、長時間利用客へのザワークラウトドッグの注文を義務化すべきだ。

kuriyamakoujikuriyamakouji 2008/09/01 16:26 生田武志のホームレス関係の講演に参加してビデオを見たのですが、
登場するホームレスのおっちゃんが、タバコをしょっちゅう吸うのです。
生田さんは、中学校や高校でもこのビデオを持って課外授業をする時に、
必ず生徒達から質問されることは、「どうして、おっちゃん達は、缶やペットボトルなどを回収しても、時給100円ぐらいしかならないのに、何でタバコを吸うのか」と言われるらしい。
どんな風に答えたか失念しましたが、スケモクってありますからねぇ。
僕の知る限り図書館ではホームレスがもっとも静かです。
大人しくしている。多分、一番騒々しいのはモンスター○○さんたちかも知れない。

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