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ザウエリズム 【Zawerhythm】 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2002-05-14-火

[]「内視鏡アニサキス」-0430- 「内視鏡とアニサキス」-0430-を含むブックマーク 「内視鏡とアニサキス」-0430-のブックマークコメント

 火曜日のお仕事は胃カメラから始まります。病棟の術後患者さんの様子とかざっとみて、動脈血採血とか酸素濃度の指示を出したその足で向かうのは内視鏡室。回診の前に組まれた検査のいくつかは、僕のお仕事なのです。

 大学にいた間は胃カメラを握ったことなんてほとんど無く、まるで手探りの状態で始まった新しいお仕事は、しかし内視鏡のエキスパートがかならず横に立っていてくださるので、とりあえずは一安心なのでした。正確には、もはや胃カメラではなくて、ファイバースコープなのですが、とにかくその長い管状の物体は、なかなか僕の思うとおりには動いてくれず、時に正常胃粘膜に吸引痕をつくってしまうのです。

 テレビゲームの戦闘機の動きにあわせて体を左右に動かす子供のように、ファイバーを持った僕はあちこちへ体をよじるのです。その動きを、技師さんとか看護師さんたちは、毎週のように見守っていてくれるわけで、いつか彼らが僕を安心してみていることが出来るようにしたいものだと思うわけです。

 いつもより一時間半くらい遅れて行う回診は、メンバーこそ違うものの滞りなく行われ、いつものようにカルテを書いたり指示を出したりしているうちに、時計はお昼を知らせるのです。僕らが毎日食べているお弁当は、病院正面の寿司屋定食屋みたいなところから届られるのですが、だいたいいつも得体の知れない食べ物を含む不思議な弁当なのです。そしてそういう得体の知れぬものに限って、大量仕入れなのか、すこしずつ形を変えたり変えなかったりしながら、やたらと続いて弁当箱に収まっているのです。いつも次の日の献立がなんとなく予想できるというのは、まるで残り物を使い回す家庭料理のようでもあります。

 火曜日は手術日ではないため、午後に検査を組んだりもします。今日はIVH(中心静脈栄養)2件。1件目は、こちらの病院に来てから一番手こずり、1時間くらいかけてようやく挿入成功したのです。右の鎖骨の周りはイソジンで広く消毒して、清潔な布で覆い、鎖骨の下を圧迫しながら、局所麻酔下に、細い針で鎖骨下静脈を探し、その深さと距離を正確に記憶して、一回り太い針で本穿刺を行うという手技なのですが、解剖学的に、静脈の近くには当然動脈があったり、そこらへんを通り過ぎると胸腔に達するので気胸の危険があったりもするのです。1時間もいじくっていた間に、微妙な感覚を覚えたので、とうとうIVH気胸をつくってしまったかと非常に気になったのですが、とりあえず大丈夫なようでした。ちなみに2件目は10分足らずで挿入。入りにくい人がなんで入りにくいのかはよく分からなくて、施行者をかえるとすんなり入ることも良くあり、相性みたいなものがあるのかも知れません。すごく太っていたりする人は、純粋に入りにくいし、かなり深く穿刺しないと静脈にあたらないので、気胸をおこすのが怖かったりもするのです。X線透視下に、針を通しておいてきた外筒の中にカテーテルを通して、気管分岐部のあたりまですすめ、糸で固定すれば無事終了。記念撮影のような気分で胸部X線写真を一枚撮って、気胸の有無など調べるのです。

 2件のIVHの間に呼ばれた救急外来にやって来たのは、顔から転んで唇の下を擦りむいた2歳児。泣かずに消毒させてくれましたが、擦りむくようなけがは、そのときに結構血が出るので、慌てて病院につれてくる親は多いのですが、正直、病院に来るまでもないと思うような場合も多くあります。線引きは難しいところだと思いますが、マキロン正露丸で結構なことが解決するような気もします。

 正露丸と言えば、腹痛から虫歯まで、幅広い用途に使われる家庭薬ですが、ある医者から、これがアニサキス(サバの生食などで感染し、胃や腸壁にかみつく寄生虫)にも効くという話をきいたのです。現代医学的模範治療は、内視鏡下に寄生虫を摘出するというものですが、正露丸の成分、クレオソートは、結構な確率アニサキスにかみつく行為をやめさせることがあるというのです。この場合、内視鏡治療は確実には確実ですが、手軽さも含めて正露丸に軍配が上がると思うのは僕だけでしょうか。ただし、正露丸の薬効には懐疑的な報告も多いですし、そういう意味では「民間療法」レベルの話なのかも知れません。

 夕方から、膵癌疑いの患者さんとその同居人に血管造影の説明。インフォームド・コンセント(説明と同意)というのもなかなか難しいところで、世の中にはいろんな人がいて、いろんな対応をするのです。血管造影目的で入院してきた患者さんですが、血管造影の同意書は、今日のところは患者さんに預けて返事は保留ということになりました。

 疲れたのでコーラ飲んだりしてから帰宅。今日はそんな感じ。

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2002-05-13-月

[]「外科医のお仕事」-0429- 「外科医のお仕事」-0429-を含むブックマーク 「外科医のお仕事」-0429-のブックマークコメント

 去年の今頃は六時や七時には採血始めてなけりゃならなかったわけですが、最近はだいたい毎日八時くらいに病院に行きます。月曜日はその週の予定手術のカンファがあるので、5階病棟からカルテと画像持って読影室へ赴き、シャウカステン(レントゲンとかをみるための道具)にフィルムをかけて、他の三人の外科医とオペ室の婦長改め師長を待った後、簡単にプレゼンテーションします。そして九時くらいから回診を始め、八階病棟から順に混合病棟を下り、外科がメインで使っている五階病棟の回診がすんだあと、ケモ(化学療法)の薬準備したり、点滴の指示出したり、点滴針指すのを失敗してみたりしながら、医局で昼食食べてオペ室へ。

 月曜日にやって来る麻酔科の先生は、僕に気管内挿管をやらせてくれるのですが、今日の患者さんは首の伸展が悪くて声帯が見えず、僕の出番無し。手術体位をとったら手洗いしてガウン着て、手袋はめて第二助手の立ち位置に立ちます。手を出して怒られたり手をださなくて怒られたりしながら、「ちなみにこのラインを何て言う?」なんて不意に問われると、確かに知っていたはずの解剖学用語が遙か彼方へ吹っ飛んで、声が上擦ってしまったりするのですよ。最近そんなのばっかりでちょっと自分がイヤなんですが。

 脂肪だらけのお腹を手こずりながら僕が縫って、執刀医が結んで、消毒して、ガーゼ当てたあと、消化器外科の宿命とも言える標本整理という時間があるのですが、これは正直、まだ好きになれないのです。今日の場合、手術でとれたのは腸間膜の着いたS状結腸と直腸で、この腸間膜の中から血管を追ってリンパ節をはずし、最終的には腸間膜を超から取り除き、それぞれ大きさはかったり写真撮ったりした後は、板に打ち付けてホルマリンで固定します。本当はこんな作業を、解剖学的知識のためとか、手術手技のためとかに生かせればいいのですが、まだまだ僕は時間がかかるばっかりで、少しのリンパ節に、おまけで脂肪を混入させて、病理医の負担を増やしているような気がします。

 外科医の仕事と言えば、華々しい手術シーンばっかり思い浮かぶのでしょうが、手術のあとには標本整理があって、病理医の手を経て確定診断に至るのです。テレビドラマでは扱われない部分ですが。

 そしてそのあまり得意でない標本整理をはじめようとしたとき、右下腹部痛を訴える少年救急外来に来ていると連絡が入るのです。ここ赤十字病院は言ってみれば僻地にある病院で、かなり広い地域を医療圏としています。日赤精神相まって、救急患者はそれなりに多いのが特徴なんですが、ここんとこ立て続けに腹痛ばっかり診ています。少し前は、鼻出血とか鼻骨々折とかばっかり診ていたような気もするのですが、こういうのにも流行りがあるのでしょうか。

 僕の病院にはかなり熟達した技師さんが、エコー(超音波)でお腹の隅々まで本当に良く診て下さるのです。腸管から虫垂を追って、いわゆる盲腸、正しくは虫垂炎の診断、あるいは除外診断をかなりのところまでやって下さるのです。エコーとか、内視鏡とかいった画像診断は、画像を得るためにも高度な手技が要求されるもので、僕が一人で当直しているときなど、僕一人にそれらの画像を扱う義務が生じた時は、内心震えるのです。最近は、救急でもCTくらいまでならすぐ撮れますが、それを読むのは僕なのであって、急に完璧にはならない以上、じわじわと登っていくしかないのです。登っていく最中にも患者さんは容赦なくやって来るのであって、僕は当然、僕の能力外のことについては見逃す、というか、逃す前にまだ見えていないという事態が生じると思うのですが、どこまでが妥当な医療で、どこからが医療ミスなのか、いつもそのジレンマに陥るのです。

 とりあえずその患者さんは、腸間膜リンパ節炎の所見こそあるものの、手術や入院は要しないとの判断で、帰宅したのでした。僕は術後の患者さんを診たり、動脈血採血したり、標本整理の続きをやって病理伝票書いたり、カルテ書いたりしたあと、コンビニに寄って帰宅したのでした。今日はだいたいこんな感じです。

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