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2009-03-15

建更の満期金

| 09:08

建物更生共済契約いわゆる『建更』という損害保険商品があります。

掛け捨てではなく、積み立て部分が結構大きく、満期時には満期共済金を受け取ることができます。

不動産所得のある方の確定申告を行っているとかなりの確率でこの建更が出てきます。

我が家の学資保険と同じくJAの商品ですが、農業をしていなくてもJAの共済に入ることができることや地震による損害保障もセットされている*1などの特長があるからだと思います。

建物更生共済 むてき|JA共済

この建更は積立部分がありますから、掛金として支払った全額を保険料とすることはできません。

必要経費に算入ができる部分と積立部分があります。「共済掛金内訳のご案内」などにきちんと必要経費算入金額を明記してくれていますから、その金額だけを不動産所得の計算上経費として処理します(それ以外の金額は保険積立金)。

満期金を受け取った時は、所得税の一時所得として課税されます。

一時所得の計算方法は次の算式です。

一時所得の金額*2=収入金額−収入を得るために支出した費用−特別控除額(最高50万円)

不動産所得を計算する時に、経費にならなかった部分(保険積立金)がこの一時所得を計算するときの「収入を得るために支出した費用(=一時所得の経費)」になります。

つまり、掛金の全額がどこかで経費になるということです。

今年の確定申告では、相続で引き継いだばかりの建更の満期金に出会いました。

被相続人から相続した賃貸用不動産とセットでその建物に掛けられていた建更を相続して、1年もたたずに満期を迎えたというケースです。

相続人としては、相続税がこの建更にも課税されたばかりなのにまた所得税も課税されてしまうの???という心境です。

建更などの損害保険契約に関する権利については、積立部分があるので財産価値が認められることや相続によって相続人にその契約に関する権利が承継されることから、解約返戻金相当額を課税対象としています。

税法を確認してみましたが、建更が分類される損害保険契約を相続においてどのように評価するのかを直接規定している条文をみつけることができませんでした。

次の財産評価基本通達214の規定を準用しているようです。

財基通214(生命保険契約に関する権利の評価)

 相続開始の時において、まだ保険事故(共済事故を含む)が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時において当該契約を解約した場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価する。

 (注1)本項の「生命保険契約」とは相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険契約をいい、当該生命保険契約には一定期間内に保険事故が発生しなかった場合において返還金その他これに準ずるものの支払がない生命保険契約は含まれないのであるから留意する。


相続でこの建更の契約を相続した後で、契約が満期を迎えた場合には、その相続人の一時所得として課税されます。

相続から満期までの期間があまりにも短いと、特に2重に課税されて損したような気分になってしまします。

相続人の一時所得の計算上控除する「収入を得るために支出した費用」は、相続人が支払っていた部分も含み、不動産所得の経費としていた分は除きます。

所基通34-4(生命保険契約等に基づく一時金又は損害保険契約等に基づく満期返戻金等に係る所得金額の計算上控除する保険料等)

 令第183条第2項第2号又は第184条第2項第2号に規定する保険料又は掛金の総額には、その一時金又は満期返戻金等の支払を受ける者以外の者が負担した保険料又は掛金の額(これらの金額のうち、相続税法の規定により相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなされる一時金又は満期返戻金等に係る部分の金額を除く)も含まれる。

この通達のカッコ書きは契約者・保険料負担者・一時金の受取人の組み合わせによって、相続・遺贈・贈与となる場合は所得税法の範疇ではないので相続税法に則って処理して下さいという意味です。

また、所得税施行令第183条と第184条はそれぞれ年金形式で受け取る満期金で雑所得となるものを表していますが、所得税法の一時所得について規定している第34条に参照すべき施行令として第183条と第184条が掲げられていますので、この規定を準用しているようです。


国税庁のHPにも建更に関する質疑応答が次のように掲載されています。

建物更生共済契約に係る課税関係|相続税・贈与税目次一覧|国税庁

*1地震保険料控除の対象となっています

*2:所得税を求める段階では、上記の算式で求めた金額の2分の1に相当する金額を他の所得と合算

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