Hatena::ブログ(Diary)

横浜の税理士中山のCoffee Break

  事務所のホームページはこちらです ⇒中山美千代税理士事務所

2009-07-20

繰延資産か?前払費用か?

| 23:37

毎月郵送されてくる『東京地方税理士界』の7月号の記事です。

ベテランのA税理士さんが、Y弁護士さんから損害賠償請求の内容証明郵便を受け取ったという恐ろしい話が紹介されていました。

損賠賠償請求の内容は、次の通りです。

融資の際に支払う保証料をA税理士は、前払費用として処理していたが、当該保証料は法人税法上の繰延資産に該当するので、金額20万円未満であれば、その全額を支払事業年度の損金の額に算入すべきである。したがって、損金の額に算入した場合との税額の差額を数年分にわたり損害賠償すべきである。

う〜んと唸ってしましました。

私も前払費用として処理していました。理由は、”繰上返済した時に未経過分を返金してもらえるので、融資期間内で、費用配分の原則に則って均等に期間配分する”ものだと思い込んでいたからです。

”思い込んでいた”というところが間違いで、契約書に「繰上返済の場合に保証料を返金する」と書いてある場合と書いてない場合で、処理が違うのだということをこの記事の解説を読んで知りました。

未経過分の保証料が返金されるもの→前払費用
未経過分の保証料が返金されないもの→繰延資産

財務諸表論の勉強をした時に、前払費用と繰延資産の違いは押さえたはずなのですが・・・。

支出した時点で役務の提供を受けているものは繰延資産、そうでないものは前払費用です。つまり、返金されるということは、時の経過に応じて費用化されていくということなので前払費用。返金されないということは、支出=役務提供完了とみなされるので繰延資産ということです。

例えば、事務所を借りるときに支払う礼金は返金されないので繰延資産です。

繰延資産ならば、20万円未満のものは一括して損金算入できる一方、前払費用は、期間按分しかできないという法人税法上の決定的な違いがあります。

この記事にもあるように、横浜市や神奈川県の保証協会は契約書に「繰上返済時に保証料を返還しない」と書いてあるのに、実際には返してくれるということが混乱の原因になっているようです。不動産賃貸における礼金のように返金されないのであれば、迷いなく繰延資産にしてたのに・・・(泣)


法人税法施行令では次のように、繰延資産は、前払費用に該当しないものと定義しています。

法施行令14条(繰延資産の範囲)

 法第2条第24号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く)のうち次に掲げるものとする。

融資の際に支払う保証料が繰延資産であるとすると、次の規定のものに該当します。

法施行令14条 第1号 

 六 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの

   ホ イから二までに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用

そして、前払費用の定義は次のとおりです。

法施行令14条 第2号

 前項に規定する前払費用とは、法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供をうけるために支出する費用のうち、その支出する日の属する事業年度終了の日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。


不動産賃貸の場合は、必ず賃貸借契約書のコピーを貰って、契約期間・礼金の取扱い・敷金や保証金の償却方法等をチェックしていますが、融資保証料については、計算書で保証期間や料率をチェックするだけで、契約書を貰ったことはありませんでした。

それにしても、今まで、繰上返済をして保証料の返金を受けなかったという記憶がないのに、契約書上は返金しないことになっていて、それが損害賠償請求にまで波及するとは・・・。

思い込みは、怖いですね。そして弁護士さんも・・・。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/zeirishi-mic/20090720/1248100678